ホットケーキを、食べたんだ
悩みのないひとなんて、いない。
けれどあったかいホットケーキを食べている時だけは忘れられたんだなあ。
おやつによく作ってもらった、懐かしの味。
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久しぶりに喫茶店でホットケーキを食べた。
本当は期間限定の、ほうじちゃ味のケーキセットが食べたかった。
でも売り切れてしまっていた。
わたしは期間限定によわい。
スペシャル、特別だから、これを逃したらあかん、と思ってしまう。
多分他にもそういう人、結構いるんじゃないかなあ。
売り切れです、と言われた時、とっさに
「じゃあ、ホットケーキを」
とお姉さんに注文していた。
なんでやろう、ホットケーキはスペシャルじゃない。
ホットケーキミックスさえあれば、家でも作れるのだから。
◆
きっと外で「スペシャル」を求めるのがしんどかったのだと思う。
世の中のもの全部特別で、スペシャルなのは実際そうなのかもしれないけど、ちょっとそういうのが今はしんどいなあ、と思った。
スペシャルはすごい、でもそういうのって時々とても疲れる。
「お待たせしました」
と並べられたプレートを見て、あぁ、わたし本当はケーキセットが食べたかったんじゃなくて、これが食べたかったんや、と思った。
10分待って出てきたホットケーキは、まだあたたかい。黒蜜ソースをとろとろかける。
口に入れると、バターと生クリームがじゅわっと溶けて、こころが本当にほっとあたたまる。
ケーキセットが売り切れていてよかった。
今日、このホットケーキを食べられて、よかった。
ありがとうございます。文章書きつづけます。