『このままじゃダメだ、変わりたい』記念日
2年前の春。
私はカフェの専門学校を卒業し、飲食業界に飛び込んだ。
高校時代からのアルバイト歴を含めると、4年間も携わってきていた職業だったので4月に入社するや否や、沢山の仕事を与えられた。
基本的な業務は入社前からアルバイトとして働いていたため、卒なく熟(こな)せた。在庫管理にアルバイト育成、それに予算管理...
正社員が3人という形態だったため、詰め込むように仕事を覚えさせられた。
勤務時間は、朝9時~夜10時は当たり前。時にはレジの金額が合わず終電近くまで残ることもあった。
残業代なんて出るはずもなく、勤怠カードはきっちり8時間労働として黒を白に塗りつぶされる。
ボーナスだっていくら売上が良くても樋口さんひとり居れば良い方だったし、休みは月6あればいい方。
これが、哀しくも飲食業界の現実。
そして最も怖いのが、この労働時間・社員待遇が「当たり前」として日本の外食産業に深く根付いてるということ。
2016年の4月~12月までの間、私は飲食業界の闇を自らの五感を通して直に体感した。
胃に穴があいたって、
シェフが倒れたって、
店長が月0休みになったって、
飲食店は今日も、明日も営業をやめたりしない。これだけ飲食店があったら、事情を説明すればお客さんだってそこまで怒り狂ったりしないはずなのに...
それでもお店を休めないのは顧客をほかのお店にとられたくないというシビアな実態と、自分の料理を楽しみにしてくれてる人を裏切りたくないという料理人の強い想い。
でもその料理人が過労で倒れてしまったら身も蓋もないのにそんなことは皆、見て見ぬ振り。
当時、そんな不条理な環境に疑問を感じて日本の労働環境について無我夢中で調べたのを今でも覚えている。
そしていつの間にか、仕事を自ら行うことを忘れ、与えられたことを淡々と行うAIよりもロボットな自分に気づいてしまった。
このままじゃだめだ。
自分の人生を後悔したくない。
私はたくさん悩んだ。
たくさん、たくさん、考えた。
その結果辿り着いた答え。
「この業界の中で働いているままじゃ日本の労働環境を、飲食業界を、そして自分自身を、何もかも変えられない」
そう思い、転職を決めた。
これが社会人1年目。
新卒で入社した会社を辞め、飲食業界から離れると誓った一回目の転職理由だった。
いただいたお金は全て息子に捧げます