ペタペタペタペタくっついた:南部山間地域【都道府県シリーズvol.26徳島県part1】
徳島県は地形的特徴から11の地域に分けられます(※私個人の見解です)。
今回は南部山間地域の地形と地質のお話です。
場所の再確認
おさらいです。
南部山間地域は上図の⑧です。
阿南市、那賀町、美波町、牟岐町、海陽町それぞれの一部地域です。
地形を見る
では行ってみましょう!
図の青線で囲った地域が南部山間地域です。
地域範囲全体が見えるギリギリまで拡大してみました。
全体的に山深いですよね。
北東のものずごく蛇行した谷地形が気になります。
また南西部ほど東西方向の尾根や谷が目立ちますよね。
南西だけ拡大してみました。
プロローグでも少し触れましたが、この東西方向の地形は地質が影響しています。
徳島県南部山間地域の生い立ち
この地域がどんな歴史をたどってきたのか?地質図を見てみましょう。
いやぁ~見事な縞々ですね。
ところどころにポツポツ見える薄い水色や緑は現在の河川堆積物などで、それ以外は全て縞々ですね。
これらは大きく分けて3つの時代にわたって出来た地質です。
〇ステージ1:古生代石炭紀中期~ペルム紀後期
まだ恐竜がいない約3億2000万~2億5千万年前、海洋プレート上で海底火山が噴火(玄武岩)したり、泥(泥岩)やプランクトンの殻(チャート)が堆積したりしました。
それが長い年月をかけて移動し、ユーラシア大陸の縁にペタリとくっつきます。いわゆる付加体です。
北の方の赤で囲った範囲です。
〇ステージ2:中生代ジュラ紀中期~白亜紀後期
時間は飛んで恐竜が生きていた約1億7000万~6600万年前。
この時代にも同じように海洋プレート上にチャートや泥岩、砂岩、石灰岩(もとはサンゴ礁)などが堆積します。
そして長い年月をかけて移動し、大陸にくっつきます。
まるでベルトコンベアーで運ばれた粘土が次々と壁に貼り付くように、大陸の端っこに堆積物がくっつきます。
この時代の付加体はこんなに広い範囲です。
しかし、この範囲全部が全く同じ時代ではなく、北から南に向かって徐々に新しい地層になっていきます。
なぜでしょう?
海洋プレートはこのように、海底火山が玄武岩溶岩を噴出しつつ、その岩盤(玄武岩)が左右に広がっていきます。
図の左から右側のように変化していきます。
火山を挟んで左右対称で同じ時代の玄武岩が広がっていきます。
海洋プレート(玄武岩)が徐々に移動するうちに上に堆積物(泥・砂・プランクトンの殻・サンゴ礁など)が溜まっていきます。
ということで、後からくっついてきた堆積物ほど新しいのです。
つまり、南の方から海洋プレートが沈み込み、付加体がつくられました。
だから南ほど新しくなります。
(※西日本は日本海ができた時代に時計回りに回転したと言われていますので、くっついた当時は南東からプレートが沈み込んでいたと考えられます)
〇ステージ3:新生代古第三紀中期~後期
また時が飛んで約5600万~2800万年前に堆積した砂岩や泥岩がペタリとくっつきました。
南部の赤で囲った範囲です。
このように、徳島県南部山間地域では、約3億2000万~2800万年前の約3億年間の堆積物が順番に次々とペタペタくっついて出来た地域だったのです!
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
原 英俊・青矢睦月・野田 篤・田辺 晋・山崎 徹・大野哲二・駒澤正夫(2018)20万分の1地質図幅「高知」、産業技術総合研究所.