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山のテッペンなのに???:徳島県南部山間地域【ふるさと探訪vol.11】

徳島県の南部山間地域を流れる那賀川沿いには取り残された蛇行跡がいくつもあり、そこに集落ができていました。
今回はもうちょっと上流部を見ていきましょう。

場所の確認

少しおさらいです。

区分_番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

南部山間地域は上図のの地域です。

⑧地域市町村

那賀町のとある地域のお話です。


地形をみる

では行ってみましょう!

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西から東へ。途中から北東へ大きく蛇行しながら流れているのが那賀川です。

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河川沿いには蛇行跡などの平坦地が点在していて・・

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それぞれに人が住んでいます。

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でも上流の方を見ていくと、平坦な土地が少なくなってきました。
急流で土砂がたまりにくいのでしょう。

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でも良く見ると川沿いではなく、山にも気になる場所が・・。

山頂の畑

ここ、畑か田んぼっぽくないですか?

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那賀川の北岸に急崖があって、その上にゆるやかな地形があります。
尾根です。ほぼてっぺんなのに(;^_^A

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いやぁ・・スゴイ。
つづら折りの道路の先に水田地帯お寺。田ノ久保という集落でした。
もしかして、お坊さんが修行のために山頂にお寺を建てたのが始まり?

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空中写真をかぶせてみると、確かに棚田状になっています。
でもいくら修行のためとはいえ、水がなければ水田はつくれないし、人は住めません。こんな山の上に水はあるのでしょうか?

山頂の畑がけ

その秘密はコレかな?と思っています。
赤線で囲った範囲に直線状にのびる崖がありますよね。
層理面(地層の面)なのか節理面(割れ目)なのか断層なのかは分かりませんが、地質が原因でできた地形と思われます。
この地形に沿って山頂から水が流れてきているのでしょう。


地質を見る

地質図を見てみましょう。

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田ノ久保集落は図の中央。水色に塗られています。
これは恐竜が生きていた時代、中生代白亜紀の中頃(約1億2500万~1億年前)に海に堆積した泥岩です。
北東と南西の青色は石灰岩(当時はサンゴ礁?)です。

泥岩は風化すると軟らかく粘土状になるので、保水性が良く耕しやすく水田に適した土地になります。
もしかしたら地すべりで緩やかな斜面になったのかも知れませんが、このスケールの地形図では証拠が見つかりませんでした。
もし地すべりだとしても、那賀川の浸食で大部分が削られ、今はほんの一部だけが残ってる状態かと思います。

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こんな感じで断面を切ってみます。

断面図

赤矢印の範囲がだいたいの集落範囲です。
いやぁ、凄いですよね。
3Dを見てみましょう。

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何も知らなければ、こんな山のてっぺんに人が住んでいるとは思えません。
我々日本人のご先祖様は、本当に逞しい。
自然の中に少しでも隙(緩やかな土地)があれば住み着いてしまうのですから。見習っていきたいものです。

今回は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。

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