近いのに会えなくて震える:高知県西部山間地域【流域を考える旅vol.14】
西野カナさんは特別ファンでもなんでもないのですが、この歌詞をふと思い出しました(笑)
近いのに!!と歯がゆくなる地形が高知県西部山間地域にありましたので、今回はそのお話です。
場所は?
再確認しましょう。
高知県の西部山間地域は上図の⑧です。
檮原町、四万十町の全域と津野町・中土佐町・黒瀬町・四万十市・宿毛市の一部地域で構成されます。
海はすぐそこなのに??
では行ってみましょう!
地域全域の地形を見渡すと、こんな感じ。
全体的に山がちな中、東の幅が広めの谷が密集してるのが気になります。
これこれ!
パッと見た感じ、北の方に上流部があって、東の海に注いでる感じ?
・・・ん??
この縮尺で見る限りでは海に注いでいそうな谷は無いですね(;^_^A
しかも西の方も谷がかなり狭いようですし、どこに流れてるんだ??
さらにズーム!
やはり東の海へは注いでいないっぽい。
一方、南西の方は谷幅は狭いけど、一応はつながっているように見えます。
はじめに下流を確認してみます。
赤丸範囲を拡大して国土地理院地形図をかぶせてみます。
かなり矢印小さいですが(左の赤丸)、やはり西へ流れていました。
そしてこの川、四万十川(しまんとがわ)だったんですね。
「最後の清流」とも言われ、非常に綺麗な川として有名です。
是非、行ってみたい!
本当に海に流れていないの?
海に面した上流部を確認してみましょう。
赤丸で囲った4か所を詳しく見てみます。
南の方から順番に確認していきましょう!
①流域
ここの場合、もし南に流れるにしても、すぐ海ではなく、南を流れる伊予木川(いよきがわ)へ合流することになります。
気になる場所が3つ!
この3か所は開けた谷がスパッと切れてる雰囲気。
さすがに南の伊与木川には流れてなさそうですが、気になりますね。
西から見みましょう。
赤丸の箇所は、昔はもっと南東へ谷がつながっていたのが、浸食でなくなってしまったように見えます。
東の2箇所もすごいです。
特に左の平坦地は広いですよね。かつて広い谷だったのが、今まさに浸食されている途中のように見えます。
②流域
ここの場合は尾根がはっきりしていて、海方面への流れはありませんね。
でもスゴイです。
赤点線の尾根に立ったと想像して見てください。
海までは2kmもありません。すぐ目の前に海が見え、波の音も聞こえそうです。でもここに降った雨は、ほんのちょっとの違いで海方面へ流れるものと、四万十川へ流れるものに別れてしまうのです。
③流域
むむ!
ここにも「切れた谷」が2箇所!
南から見ましょう。
やはり、昔は東の方に谷がつづいていたように見えますね。
こちらも、もっと北に谷がのびていそうな雰囲気なのにブツリと切れています。浸食されたのでしょう。
④流域
ここも一か所見えますね。
これです!
やはり切れてるように見えます!
川の流れが違ってた?
検索してみたら、そういう説はあるようです。
が、論文などは見つかりませんでした。
このあたりは四万十川の中流域ですが、それでこの谷幅は広いですし、網の目のように密集しているのも不自然です。
地質図を見ると一帯は泥岩(薄緑色)が広く分布しているので、削られやすいのだろうとは思います。
ただやはり、①流域のこの広い平坦地が切れているような地形は非常に気になります。
ここからは、あくまで私の仮説ですが
昔はこんな感じで、南(伊与木川)へ流れていたかも知れません。
そしてこの地域は、白亜紀の付加体の地質。つまり昔からずっと南の海洋プレートから押されている地域です。
押されれば圧縮されて隆起します。
海沿いの山が隆起して高くなったり、もしくは地震が原因の土砂崩れで堰き止められたりで伊与木川方面へ流れず、湖になってた時期があったかも知れません。
西の川幅が狭まるところ、南の支流の川幅とほぼ同じなのも気になります。
昔は青矢印のような流れだったのが、湖が溢れて西に流れて今のようになったと考えると、ちょっとロマンを感じませんか?
今回は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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