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ず~っと、くっついてばっかり!:中央部山間地域【都道府県シリーズvol.44和歌山県part1】

和歌山県は県の大半が山間地域でした。
今回はそのうちの1つである中央部山間地域の地形と地質を見てみましょう。

場所は?

再確認です!

26_周辺都道府県01

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

和歌山県は紀伊半島の南西部に位置しています。

26_地形区分

中央部山間地域は上図の地域。

2607_地域市町村02

湯浅町・広川町・由良町・日高町・御坊市・印南町・みなべ町・有田川町・田辺市・上富田町それぞれの一部地域です。


地形を見る

では行ってみましょう!

画像4

やはりパッと見た感じでも山間地域が多いのは分かりますね。

2607_地域範囲_地形図

地域範囲を入れてみました。山ですね~(笑)
真ん中あたりを流れている川は、このスケールで見ても蛇行してるのが良く分かりますよね。

それと全体的に概ね東西方向に尾根が連なっているように見えます。

2607_地形図01

だいたいこんな感じです。
上の図と見比べて見てください。

これはもう、地質が関係してるっぽいですよね。

2607_地域範囲_地質図

やはり!
地質の分布は概ね東西方向で、断層(黒線)も東西方向が多いですよね。
これが原因で東西方向の地形ができているようです。


大地の成り立ち

ではこの地域は、どのような歴史をたどって現在に至るのか?見てみましょう。
全部で3つのステージになります。

〇ステージ1:中生代後期ジュラ紀~前期白亜紀
まだ恐竜が生きていた約1億6000万年~1億年前
この時、日本はまだユーラシア大陸の一部(はじっこ)でした。
そして海洋プレート上の堆積物プレートの一部がくっつきます。いわゆる付加体ですね。
そして同時に、海底にが溜まりました。

2607_付加体前孤堆積盆

付加体模式図:産業総合研究所の図に筆者一部加筆(赤点線)

付加体がくっつくと同時に、海洋プレートにギュウギュウ押されているため、一部が盛り上がります。
そうすると上図の赤点線のように前弧堆積盆(ぜんこたいせきぼん)と呼ばれる盆地ができ、ここに砂や泥が溜まるんです。

2607_地質図01

赤線で囲った範囲内の灰色が付加体の混在岩(メランジュ)です。またこの縮尺だと見えづらいですが、灰色の中にポツポツあるオレンジがチャート。青が石灰岩です。
ちなみに付加体がくっついたのはこの時代ですが、もとの地層ができたのはもっと古い時代で、チャートや石灰岩は古生代ペルム紀前期~中生代ジュラ紀(約3億~1.45億年前)です。
そしてこれまた縮尺的に見えづらいんですが、灰色の南の薄緑が盆地に溜まってできた砂岩泥岩で、薄茶色が礫岩です。

〇ステージ2:中生代後期白亜紀
約1億年~6600万年前、またしても付加体がくっつきます。そして盆地に堆積物が溜まりました。同じパターンです(;^_^A

2607_地質図02

広い範囲ですね!
灰色が混在岩で、その中に島状に点在しているオレンジがチャート、緑色が玄武岩です。この場合もチャートや玄武岩ができた時代はもっと古く、約1.5億年~9000万年前です。
そして南の緑色・黄緑色も付加体で、泥岩砂岩互層(泥岩が多い)と砂岩泥岩互層(砂岩が多い)です。

そして北部の薄緑色が盆地に溜まってできた砂岩泥岩互層です。

〇ステージ3:新生代古第三紀始新世~漸新世
恐竜が絶滅した後の約5600万~2800万年前、この時もまだ日本は大陸のはじっこで、またしても付加体がくっつきます。そして盆地に堆積物が溜まります。
またまた同じパターンです(;^_^A

2607_地質図03

緑色・黄緑色・黄色が付加体で、順に泥岩砂岩互層・砂岩泥岩互層・砂岩です。そして南部に見える水色が盆地にたまってできた泥岩です。


ということで、和歌山県の中央部山間地域は、ず~っとくっついてばっかり!な地域でした。
新婚カップルの話を期待した人、スミマセン(いないか、笑)。

以上、お読みいただきありがとうございました。


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