あちこちで火山が大噴火?!:南西部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.42鹿児島県part1】
鹿児島県は島が多く、沖縄本島の北隣の島までが鹿児島県に属しています。
島しょ地域も含めて15の地域に区分でき(※筆者個人の見解です)、九州本土は13地域となります。
今回は九州本土南西部の平坦~中山間地域を見てみましょう。
位置の確認
再確認しましょう。
周辺都道府県との位置関係はこんな感じです。
そして鹿児島県全域は沖縄付近まで及んでいます。
九州本土の地形区分は上図のとおりで、今回は⑦地域の地形と地質を見ていきましょう。
枕崎市・指宿市の全域と日置市・南さつま市・南九州市の一部地域です。
地形を見る
では行ってみましょう!
⑦地域は南西の薩摩半島(さつまはんとう)の先端部にあたります。
やや標高の高い山はあるんですが、まとまった広い山地にはなっていないので、そこまで山深いイメージはないですね。
真ん中南部には扇状地のような地形はありますが、その土砂の供給源になりそうな山地が見当たらないのが気になります。
そして南東部には丸い湖が見られ、火山っぽい雰囲気。
地域境界を入れてみました。
①北西の平野部
②西の山がちな地域
③中央の扇状地と台地が多い地域
④東の湖と山地が目立つ地域
だいたい、こんな感じで地形の特徴が分かれますよね。
おそらく地質が関係しているのでしょう。
確かに、それぞれの地域ごとに目立つ地質の色が違います。
大地の成り立ち
では、どのような歴史をたどって現在に至るのか?見てみましょう。
大きく分けて全部で4つのステージになります。
〇ステージ1:中生代前期白亜紀~後期白亜紀
まだ恐竜が生きていた中生代白亜紀の約1億2500万~9000万年前、日本はまだユーラシア大陸の一部でした。
この時に海洋プレートの上に溜まっていた堆積物が大陸の端っこにくっつきます。いわゆる付加体です。
赤で囲った範囲内の、黄色が砂岩、黄緑色が砂岩泥岩互層です。
この地層がこの地域の地質の土台になっているようです。
〇ステージ2:新生代新第三紀中新世~鮮新世
恐竜が絶滅して約5000万年が経過した約1600万~258万年。
日本が大陸から離れる約1600万~1200万年前にマグマが貫入し、地下深くでゆっくり冷えます。
その後の約720万~258万年前に地上に安山岩溶岩類が噴出します。
赤で囲った範囲内の濃いピンク色が花崗閃緑岩。濃い黄色が安山岩溶岩類です。安山岩溶岩は囲った範囲内以外にも細かくあちこちに点在しています。
〇ステージ3:新生代第四紀更新世
日本列島がだいたい今のようなカタチとなった約180万~1万年前。
薩摩半島の東部を中心に火山活動が活発化します。
赤で囲った範囲内の茶色が安山岩、紫色が玄武岩、黄色がかった灰色が火山扇状地堆積物です。
そして約11万年前、北東の鹿児島湾内で大規模な火山噴火が起こります。
この噴火で鹿児島湾内に阿多(あた)カルデラが形成され(※海底なのでハッキリ解明されていないらしく、諸説あるようです)、火砕流堆積物が広く堆積します。
赤で囲った範囲内の薄いピンク色です。
そして約2万9000年~2万6000年前に姶良カルデラが形成される大噴火があり、また火砕流堆積物が堆積します。
上図の赤範囲内の濃い方のピンク色です。
〇ステージ4:新生代第四紀完新世
約1万年前から現在にかけて。
東では引き続き火山活動が活発で、西では砂丘堆積物や河川堆積物がたまります。
東のピンク色が火砕流堆積物、南の茶色が安山岩です。
円形の湖も、この時期に活動した火山の火口だそうです。
そして西の薄い黄色が砂丘堆積物、薄い青灰色が河川堆積物です。
カルデラができるような大噴火が何度も起きている、まさに火山の多い地域ですね。
以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
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参考文献
川辺禎久・阪口圭一・斎藤 眞・駒澤正夫・山崎俊嗣(2004)20 万分の 1 地質図幅「開聞岳及び黒島の一部」、産業技術総合研究所.
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