海になったり陸になったり:南東部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.34愛知県part1】
愛知県は地形的な特徴で10地域に分けられます(※筆者個人の見解です)。
今回は南東部平坦~中山間地域の地形と地質のお話です。
場所の確認
確認しましょう。
南東部平坦~中山間地域は上図の④です。
渥美(あつみ)半島を含めた緑色に着色した地域です。
田原市の全域と新城市・豊川市・豊橋市それぞれの一部地域です。
地形を見る
では行ってみましょう。
境界線を入れました。
東の県境に山地がありますが、大部分は丘陵地や扇状地です。
北東から南西に豊川(とよがわ)が流れ、まるで両サイドの扇状地を切っているように見えます。
渥美半島は先端付近に山地がありますが、大部分は平坦地や丘陵地で標高は低めです。
地質図を見ると薄い緑色系統が多く、若い時代の地質が多そうな雰囲気です。
大地の成り立ち
ではこの地域がどんな歴史をたどって形成されたのか?見ていきましょう。
〇ステージ1:中生代ジュラ紀中期~後期
恐竜が生きていた時代の約1億7400万年~1億5700年前、日本が大陸の一部だった頃、海洋プレートの一部やプレート上の堆積物が大陸縁辺部にくっつきます。いわゆる付加体です。
チャート(オレンジ)、玄武岩(緑)、石灰岩(青)などは地層ができた年代は古生代石炭紀中期~後期(約3億2300万年~2億9800万年前)と古いのですが、大陸にくっついた時代がジュラ紀です。
〇ステージ2:中生代前期白亜紀~新生代古第三紀暁新世(ぎょうしんせい)
恐竜がいた最後の時代である中生代白亜紀から、恐竜が絶滅した後の新生代古第三紀にかけての約1億1300万年~5920万年前。
付加体が地下深くで圧力の作用で変成します。
東の赤線で囲った範囲で、青が泥質片岩(もとが泥岩)、緑が塩基性片岩(もとが玄武岩)、オレンジが珪質片岩(もとがチャート)、濃い紫が角閃岩(かくせんがん:もとが玄武岩か斑レイ岩)です。
またやや遅れて白亜紀後期の約8400万~6600万年前にマグマが貫入し、地下深くでゆっくり冷えて花崗閃緑岩になります。
北東の濃いピンクで、この地域内では端っこがわずかに入ります。
またこのマグマの熱で付加体が変成します。
北西の赤線内に泥質片麻岩(もとが泥岩)、珪質片麻岩(もとがチャート)が形成されます。
〇ステージ3:新生代第四紀更新世チバニアン
時代はど~んと飛んで約77万年~13万年前、渥美半島の南部を中心に砂や泥などがたまります。
これらの地層の分析の結果、海になったり陸になったりを4回も繰り返したことが判明しています。
この時代は氷河期で、暖かくなって氷河が融ければ海が高くなり、逆に寒くなると氷河が大きくなって海が低くなる・・を繰り返していました。
赤で囲った薄緑色の地層です。
〇ステージ4:新生代第四紀更新世後期~現在
約13万年前から現在にかけて、段丘堆積物、砂丘堆積物、河川堆積物などが溜まり、現在に至ります。
赤枠で囲った色と地層の関係は以下のとおりです。
薄黄緑、薄緑:段丘堆積物
薄黄色:砂丘堆積物
薄灰色:河川・海岸堆積物
薄茶色:埋立地
以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
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参考文献
中島 礼・堀 常東・宮崎一博・西岡芳晴(2008)豊橋及び田原地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅)、産総研地質調査総合センター、113 p.
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