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ポッコリ山がきっかけで、地質学発展の歴史を知る①:東部山間地域【地質応用編No.4】

富山県の東部山間地域では、日本列島がまだ大陸の一部だった中生代三畳紀(約2億5000万年~2億年前)から現在までの地質が分布しています。
また地質の種類も堆積岩火成岩変成岩とバラエティに富んでいるため、色々な地形がありそうです。

今回はモコモコと不定形な地形の中でひと際目立つ「ポッコリ山」を見に行ってみましょう♬

場所は?

再確認しましょう。

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。 なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト) ※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

東部山間地域は上図のです。

②地域は上図に示す7市町それぞれの一部地域で、今回は上市町(かみいちまち)が舞台です。

地形を見る

では行ってみましょう!

地形図①:スーパー地形より

上市町から立山町にかけての地形図です。
東の山地ほど標高が高く、西へ向かって徐々に低くなっているのが分かります。
また地形も東と西では雰囲気が違いますよね。東の方が尾根筋がしっかりしていて、尾根と谷が大きめです。一方、西の方は尾根と谷が規則的に並んでいますが間隔が狭く、小刻みな地形です。

地質図①:スーパー地形アプリ上でシームレス地質図V2を表示

地質を見ると明らかで、東の紫・赤・青などの地質は時代が古くて硬い地質です。
真ん中あたりの茶色から、北西~北へ行くほど新しい地層になります。
地層の入り方が途中で曲がるので、北北東ー南南西方向から東北東ー西南西方向で、茶色→ベージュ→水色→薄いベージュと徐々に新しい地層になっています。新しく軟らかい地層なので地形が小刻みなのでしょう。

ちなみにこれら新しい地層は北西~北方向に傾斜しているのが分かります。
これは北西~北ほど新しい地層が出てるのが理由ですが、分かりますか?

これについては長くなりそうなので、日曜地質学で話そうと思います。

もう少し詳しく!

もう少し拡大して見てみましょう。

地形図②:スーパー地形より

このスケールになれば分かりやすいかと思いますが、東や西に比べて、真ん中あたりのは不規則な地形が目立つと思いませんか?
尾根と谷がハッキリしていない、モコモコした地形があちこちにあります。
この中の、北西の方をもう少し拡大して見ましょう。

地形図③:スーパー地形より

ほら、不規則な地形普通の地形、見比べると全く違いますよね?

地形図④:スーパー地形画像に筆者一部加筆

不規則な地形を赤点線で囲みました。やはり、違いますよね。

でも今回は、この不規則な地形全体ではなく、ひとつの山に絞り込んで見ていきます。

地形図⑤:スーパー地形より

これです!
大岩日石寺石仏と書いてある右にある標高292mの山です。
ポッコリしていて可愛らしいですよね。

しかし題名にもある通り、この山がどのようにしてできたのか?を調べる中で「あれ?」と混乱してしまうことがありました(;^_^A

地質図を見る

まず、あえて5万分の1地質図から見ていきましょう。

地質図②:5万分の1地質図幅「五百石」(地質調査所より)

ポッコリ山は赤丸です。
これを見ると茶色の「Tk」と書いてある地質で、第四紀更新世(約258万~1万年前)高峯山火山噴出物(安山岩質溶岩・凝灰角礫岩)です。

なるほど・・第四紀火山の中でも古いもので、侵食で岩脈が残ってポッコリ山になったんだろうか?という感想を持ちました。
が、スーパー地形でシームレス地質図V2を確認すると、年代が全く違っていたのです・・アレレ??(;^_^A

地質図④:スーパー地形アプリ上で表示したシームレス地質図V2画像に筆者一部加筆

赤丸がポッコリ山です。
大部分が水色で新第三紀の前~中期あたりの約1500万~730万年前泥岩です。山頂部だけが安山岩質溶岩類(茶色)ですが、年代は新第三紀前期(約2000万~1400万年前)です。全く違いますよね。

上で示した5万分の1地質図は、実は昭和35年発行のもので古いものでした。
地質学分野では良くあることで、その理由等について、次回へ続きます!

お読みいただき、ありがとうございました。


次回はコチラ👇


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