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大部分は白亜紀です:西部山間地域【都道府県シリーズvol.28高知県part1】

高知県は徳島県と同様に、地質の影響を受けたと思われる東西方向の地形が目立ちます。
今回紹介する西部山間地域は果たしてどうでしょうか?

場所の確認

念のため、場所を再確認しましょう。

区分番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

高知県の西部山間地域は図のです。

市町村位置図

檮原町と四万十町の全域と、津野町・中土佐町・黒潮町・四万十市・宿毛市それぞれの一部地域です。


地形を見る

さっそく行ってみましょう!

画像3
地形_範囲

北に見える高い山の尾根は東西方向に細長くのびています(※下図では地域境界線で隠れてしまっています)。
でも北部以外は東西方向の地形は目立たないですね。

また東部では広めの谷地形が密集しているのが気になります。


大地の歴史

地質図を見てみましょう。

地質図_範囲

黄色と水色の地質が目立ちますね。
また断層(黒実線)が多く、あちこちで地層が寸断されています。
この地域は徳島県の南部山間地域と同様に、地質の大部分は、付加体です。
ただ北部の方は少し複雑なんですよ。

地質図01

赤で囲った範囲はこの地域でも一番時代が古い地質です。
褶曲(地層が曲がっている)しているらしく、少し離れた南にも同じ地質が出ています。

地質図02

拡大しました。
東西方向にのびる尾根は石灰岩(青色)の山だったんですね。
緑色は玄武岩、灰色は混在岩(メランジュ:ぐちゃぐちゃに混ざった地層)で、これらは付加体(海洋プレートの一部やその上の堆積物が大陸にくっついたもの)です。

これらの地層ができた時代は古生代石炭紀中期~ペルム紀後期(約3.3億~2.5億年前)という、まだ恐竜が誕生する前の時代です。

地質図03

次に古い地層は、ここです。

地質図04

この範囲の北と南に見える濃い紫色が東西に細長くのびていますよね?
正確に言うと、これだけ極端に古い地層で、隣の地層とは断層で接しています。なんと古生代オルドビス紀~シルル紀(約4.8億~4.2億年前)蛇紋岩(玄武岩質の岩石が化学変化したもの)で、昔の海洋プレートの欠片です。

これ以外の地質は付加体ですが、薄めの紫色とその中にポツポツ見えるオレンジや緑は変成岩になっています。
付加体として大陸にくっついた後、地下深くに潜って圧力を受けて別の岩石になりました。
薄い紫色は泥質片岩(もとは泥岩)、緑色は塩基性片岩(もとは玄武岩)、オレンジ色は珪質片岩(もとはチャート)です。
時代は中生代三畳紀中期~ジュラ紀後期(2.4億年~1.6億年前)です。

さらに内側に見える灰色や黄色も付加体です。
ジュラ紀前期~中期(約2億年~1.7億年前)混在岩(灰色)、砂岩(黄色)、チャート(オレンジ)です。

地質図05

次はこの細長い地域。

地質図06

この地層はこの地域では珍しく付加体ではないようです。

付加帯模式図

付加体はこの図のように、海洋プレートの動きで次々と大陸にくっついてできます。このときにプレートから押されて盛り上がるため、古い付加体と新しい付加体の間がヘッコミます。(※上図の赤線で囲った範囲)
そこにたまった堆積物が、この地層です。
オレンジ色が礫岩、黄色が砂岩です。
時代は前後の付加体より新しく、白亜紀前期約1億2500万年~1億年前の地層です。

これより南になると、徳島県南部山間地域と同じように南ほど新しい時代の付加体になります。

地質図07

青や赤で囲った範囲は全て白亜紀の付加体です。
青が約1億2500万年~9000万年前、赤が約9000万年~6600万年前です。

水色が泥岩、黄色が砂岩、薄黄緑が砂岩泥岩互層、薄い茶色が混在岩です。

地質図08

そして最後に南東部に残った、この地域だけ新生代古第三紀の付加体で、約5600万年~2800万年前の地層です。

以上、多少は複雑でしたが、結局はこの地域も南ほど新しい地層でした。
お読みいただき、ありがとうございました。


この地域の記事はコチラ👇


参考文献

原 英俊・青矢睦月・野田 篤・田辺 晋・山崎 徹・大野哲二・駒澤正夫(2018)20万分の1地質図幅「高知」(第2版).産業技術総合研究所 地質調査総合センター.

宮崎一博・脇田浩二・宮下由香里・水野清秀・高橋雅紀・野田 篤・利光誠一・角井朝昭・大野哲二・名和一成・宮川歩夢(2016)20万分の1地質図幅「松山」(第2版).産業技術総合研究所地質調査総合センター.

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