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仙台市の端っこ?を巡るツアー~はじめに~【ジオ散歩vol.1:仙台市No.0】

新たに始めるジオ散歩とは、「市街地を実際に散歩しながら地形・地質を楽しむ」をテーマにしています。
健康のために歩きたいけど、何か目的がないと続きにくいという人もいるでしょう。例え有名な観光地ではなくとも、その土地の成り立ちを知るための個人ツアーで、散歩を楽しんでみませんか?

まずは第一弾として、私が住む仙台市を舞台に散歩にでかけます♬

仙台市はどんな感じ?

はじめに仙台市の概要を見ていきましょう。

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

仙台市って実はこんなにデカいんです(笑)
宮城県のほぼ真ん中を、海から山までズドン!と貫いてます。
昔はこんなんじゃなかったんですが、政令指定都市になるときに周辺の市町村と合併して、こうなりました。

拡大しましょう。

海から山まで続いてるだけあって、地形はバラエティに富んでいます。
この中でも、多くの人が「仙台市」と聞いてイメージするのは仙台駅周辺の市街地ではないかと思います。
県外の人が自家用車や高速バスで来る場合、高速道路を降りてトンネルをくぐれば「仙台市に来た」と感じませんか?
かくいう私は子供の頃、そんな感覚でした。あのトンネルが外界との境界というイメージ。

そんな「イメージの仙台市」の範囲は、だいたいこんな感じだろうと思います。これはかつての城下町の範囲と概ね同じかも知れません。
タイトルの「端っこ?」とは、まさにこの範囲の端っこのことです(笑)

もちろん、現在では周囲にも広く街が広がっていて道路や鉄道が縦横無尽に張り巡らされています。でも旧城下町は、この一部です。

赤で囲ったこの範囲を拡大してみましょう。

赤丸が仙台城(青葉城)の跡地で、この一帯は青葉山と呼ばれています。
さきほど話したトンネル(仙台城の北西)は、この青葉山を抜けるためのものだったんですね。
そして青葉山の北東を流れているのが広瀬川です。
仙台市の南西部は、青葉山と広瀬川が地形的な障壁になっています。

地形を見る

仙台の城下町がなぜこの場所につくられたのか?
実は地形図を見るとけっこう納得できるんですよね。見てみましょう。

どうでしょう?何か気づきませんか?

実は仙台市の中心部(≒城下町)は、沿岸部の平野より一段高いんです。
昔は今ほどの土木技術がないため、平野部は洪水しやすいし水はけが悪いしで、住むには適していない場所が多かったようです。
ですので一段高いこの場所が選ばれたのでしょう。仙台城の立地を考えても、ちょうどいい場所ですしね。

西や北も丘陵地に囲まれていますし、まさに、街の範囲と地形が深くかかわっているのをイメージしやすいですよね。

地質は?

地形的な特徴は、当然地質も関係しています。

スーパー地形の機能でシームレス地質図V2(産業技術総合研究所)を表示

広瀬川周辺の薄いベージュの「N3」と書いてあるのは新第三紀の後半の約700~258万年前の地質です(※Nは新第三期の英名"Neogene period"のNだと思います)。
その上に第四紀の段丘堆積物が載っていて、青葉山に分布する「Q22」が一番古く、約13万年前~数万年前(※Qは第四紀の英名"Quaternary period"のQだと思います)。
仙台市街地の「Q32-33」は木片で年代測定されており、約19,200 年約25,600年という値が出ているそうです(北村ほか1986)。
つまり仙台市の中心部は約2万年前の地層の上に建っているのですね!

ちなみに青葉山の地層からは旧石器時代の石器が発見されています。もとが英語の文献なので正確かは自信ないですが、約14~4万年前の地層から出土しています(OGAWA et al.,1985)。
そんなに昔から人が住んでいたのか!と思いましたが、私たちの直接の先祖であるホモ・サピエンスが日本に来たのは約4~3.5万年前と考えられてますので、石器の主は別の人類のものなのでしょう。

では次回以降では、現地写真も交えて仙台のジオ散歩をしてみましょう。
お読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

北村 信・石井武政・寒川 旭・中川久夫(1986) 仙台地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の1 地質図幅),地質調査所, 134p.
OGAWA, I., KAJIWARA, H. and NAKAGAWA, H. (1985)  Discovery of Early Paleolithic artifacts from Nakamine and Aobayama sites, northeast Honshu, Japan. Proc. Japan. Jour. Acad.,vol. 61, ser. B, p. 200-203.

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