川の流れが変なんです!:篠山川の意外な歴史part1【地元再発見の小旅行vol.9】
ここ最近は六甲山地とその周辺についてお話してきましたが、今回はその北の方にある「丹波篠山(たんばささやま)市」を流れる篠山川(ささやまがわ)についてお話しします。
篠山川盆地と篠山川
ではさっそく地形を見てみましょう~
これが丹波篠山市の中心部である篠山盆地(ささやまぼんち)です。
広い谷といったイメージですね。
そしてこの中では篠山川(ささやまがわ)が流れています。
盆地周辺にはたくさん谷があって、盆地内に水が流れ込んでます。
そしてぱっと見では南の方に広い谷が伸びているので、そちらへ川が流れているように見えます。
ただちょっと変です。
南へ伸びる谷筋、2本ありますよね?
篠山盆地南部を詳しく見る
詳しく見てみましょう。
まずは東の谷を見ます。
これだけでは良く分からないので、国土地理院の地形図をかぶせてみます。
あれ?赤丸部分は最上流部の1つで北へ・・つまり篠山盆地方面へ流れてます。そして東隣の谷も同様。
でも南西の方が谷が広く、いかにも川の下流って雰囲気ですが・・。
では西の方の谷も見てみましょう。
う~ん・・・。
南北ではそれぞれ川筋がはっきりしてますが、赤丸で囲った場所はのっぺりしていますね。
明らかに広い谷地形なのですが、川が流れていないのでしょうか?
地形図をかぶせアップにしてみたら・・なんと!
こんなところで川の流れが逆になってる!
普通はもっとハッキリした山を挟んで、それぞれ逆方向に流れるのですが。
変です!
でもとにかく、篠山川からの水は南へは流れていないということですね。
騙されました(笑)
ではどっちに流れてる?
気を取り直し、もう少し詳しく盆地内を見ていきます。
分かりやすいように図示しました。
むむ!実は西に流れていたんですね。
う~ん、それにしてもまぁ、なぜ流れやすそうな南の広い谷を流れずに、わざわざ西の山の中を流れるのでしょう?
なんだかムリヤリ流れてるようにも見えますよね。
篠山盆地周辺の地質
だいたい、こういう場合は地質が関係してるものです。
では篠山盆地周辺の地質を見てみましょう。
篠山川を青線で図示しました。
最初に南に流れていると考えた時の西側の谷を赤丸で囲みました。
この谷は白色ですね。
白色は沖積層(ちゅうせきそう)と言い、約2万年前から現在までに堆積した泥や砂や礫です。(少し昔に川が流れて土砂がたまったと考えられます)
一方、実際に流れている西の方は緑色や青色で、これはジュラ紀~白亜紀(恐竜がいた時代)の古くて硬い地層です。
う~ん・・・
地質図を見たら、なおさら疑問が深まりました。
やっぱり、篠山川は流れやすい沖積層ではなく、わざわざ硬い地質をムリヤリに流れている!
これは篠山盆地周辺の歴史の中で何か事件が起こったのでしょう!
今回はここまで!
次回は篠山川の謎を解き明かします。
お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
栗本史雄・松浦浩久・吉川敏之(1993)篠山地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の1 地質図幅),地質調査所,93 p.
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?