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鮭と生きる町・村上で鮭を見て、食べる!! 国内旅行記・新潟編Vol.1

こんにちは。日本のいろいろな所を旅しながら見たこと、感じたことを書き綴ってます。

今回から新シリーズがスタート。新潟でほぼ2泊3日した記録を紹介します!

■旅のはじまり

12月某日、東京駅。上越新幹線の始発に乗り新潟駅へ。上越新幹線ってあまり乗る機会がなく、いつもとは違う窓からの景色が楽しいです。

時刻はまだ朝7時ですが、新幹線に乗ったからにはビールと駅弁はマスト。今回食べたのは、茨城県奥久慈のブランド鶏「奥久慈しゃも」を使った「しゃもべん」。

食べかけですみません…!!

歯ごたえと旨味が強いお肉、ふんだんに入っているそぼろ、キリっと濃い味付けの野菜たちが美味しいお弁当でした(特に山菜がうまい)。

ロマン補正もあるけど、駅弁ってやたら美味しく感じるんですよね。幸せな気持ちになります。

新潟駅で特急「いなほ」に乗り換えて約50分。最初の目的地に到着です。

■鮭と共に生きる町・新潟県村上市

さて、やってきたのは村上市! 新潟県の北部に位置しており、山形県鶴岡市と隣接する町です(駅は市内の真ん中)。

古くから市内を流れる三面川に多くの鮭が遡上してくること、世界で初めての鮭の人工増殖に成功したことなどから、「鮭の町」として全国的に知られています。

自分が訪れた目的ももちろん鮭! 村上の鮭文化、憧れの光景、そしてグルメを求めてはるばるやってきました。

駅前にある観光案内所で情報を復習したあと、いざ村上を散策開始!

■イヨボヤ会館

さて、まずやってきたのはこちらの「イヨボヤ会館」。”イヨボヤ”とは村上地方で「鮭」を指す言葉で、日本最初の鮭をテーマにした博物館だそうです。村上に来たからにはここは無視できないスポットです。

入館して順路に従って歩いていくと、すぐに「ミニふ化場」なるスぺ―スに到着。ここでは毎年1月~3月の間、いくらのふ化作業が行われることもあり、館内でも人気のスペースだそう。

部屋にはたくさんの水生生物が飼育されていて、ハサミに毛が生えた「モズクガニ」や、錦鯉の稚魚?未成魚?がゆらゆら泳いでいました。

そういえば錦鯉も新潟県が原産でしたね。写真の鯉は「黄白」という2022年に誕生したばかりの品種。人の動きに合わせてチョロチョロ動き回る姿が愛らしい。

中央の大きな水槽にはチョウザメが優雅に2匹泳いでいらっしゃいました。1mほどの大きさでとっても立派。なんと背中であればお触りOKです!

シーズンの都合でふ化作業の様子は残念ながら見られませんでしたが、大切に飼育されている水生生物たちにとても癒されました。

■村上の鮭文化を築いた男

館内では村上の人々が受け継いできた鮭文化についても学ぶことができます。その長い歴史の中で、青砥部平治(あおとぶへいじ)という男の存在を避けて通ることはできません。

<村上市観光情報ページより>

今から約250年前、三面川では鮭の漁獲量減少の問題に直面していました。状況改善すべくして鮭の回帰性に目を付けた武平治は、三面川に支流をつくることで産卵を促す「種川の制」というシステムを考案し、遡上数と漁獲量の回復に貢献しました。

鮭の大漁を祝う様子の写真

魚の増殖というものが一般的でなかった頃に彼が生み出したこのシステムのおかげで、今日まで村上の鮭文化が受け継がれてきたのです。

鮭漁で使われていた漁具など

館内を巡っていると設備に驚きます。三面川?種川?の川底の様子を見られる場所があったり、順路の装飾に手が込んでいたり……。要するにとてもお金がかけられている施設です。

順路

それほど村上にとって鮭は重要な文化であり、大切な観光資源なんですね。内容は紹介しきれないほどのボリューム。ぜひ自らの目で村上の鮭文化を体験してみてください。

あと当施設の公式Twitterがキレキレで面白いので、一度でいいので覗いてほしいです(笑)。

■村上の冬の風物詩「塩引き鮭」

腹を掻っ捌かれた鮭たちが、家屋の軒先に吊るされている写真などを見たことがある人もいるでしょう。

<高橋由一『鮭』 Art Plaza Timesより>

昔、中学生の時に高橋由一の『鮭』を目にしてからずっと憧れ続けていて、やっと実際の様子を見ることができました。

町中を歩けばところどころで吊るされた塩引き鮭を見られますが、おすすめは駅から徒歩で15分ほどの場所にある「越後村上塩引き街道」です。趣のある家屋が立ち並び、それらの軒先には立派な塩引き鮭がずらり。村上の原風景を体験できます。

古くから村上地方の人々にとって鮭は貴重なタンパク源でした。冷蔵庫などの保冷設備が無い時代、どうにか鮭を長期保存できないか、と生み出されたのが「塩引き鮭」。

遡上してきた鮭の内蔵を処理したあと、大量の塩をすりこみながら塩漬け。その後、ちょうどよい塩加減になるまで塩抜きをし、1週間ほど陰干し経て完成します。

干す期間で重要になるのが村上ならではの気候環境。塩引き鮭をこしらえるのはおよそ12月上旬から中旬まで。その期間の村上は気温はおよそ3℃~10℃ほどになり、鮭が腐りにくいかつ、凍らない絶妙な気温で塩引き鮭を干すのにピッタリの環境。さらに日本海から吹き込む寒風にさらされることで、身の熟成が深まるそうです。正に村上ならではの伝統食なのですね。

より迫力のある光景を見るために鮭加工を販売する老舗「千年鮭 きっかわ」へ。

店内の奥にはこれでもかと吊るされた塩引き鮭! 行った時にはだいたい200尾くらいの鮭がいました。熟成された鮭の芳醇な香りが充満しており、お腹からは思わず音がなってしまいます。

日本はおろか世界でもなかなか見られる光景ではないので、写真映えすること間違いなし! 

店内では塩引き鮭やはらこをお土産として購入できるので、ぜひ足を運んでみてください。

■絶品の塩引き鮭とはらこをいただく!

さて、お目当ての塩引き鮭も見られたので、ここらで腹ごしらえ。 

伺ったのは「海鮮一鰭」。創業200年の歴史を持つ水産加工品を扱う「越後村上うおや」が直営しており、鮭をはじめ鮮度抜群の海鮮をリーズナブルにいただける人気のお店です。

オープン直後に行ったのですんなりと入店できましたが、行列ができることもあるそうなので、事前にリサーチしておくといいかもです。

塩引き鮭とお刺身が楽しめる「うおや塩引き御膳」を注文。ランチメニューには「海鮮はらこ飯」もありました。 

お刺身はマグロ、タコ、鯛(たぶん)、南蛮エビの4種類。どれも新鮮でとっても美味しい! 特に旬の南蛮エビが濃厚で最高です。 

塩引き鮭はかなり強めの塩味。ギュッと鮭の旨味が凝縮されていてご飯がどんどん進みます。

はらこはもう説明はいりませんよね。北海道のものと比べると粒自体は小さいけれど、濃厚な旨味が頭を突き抜けます。なんでいくらってこんなに美味しいんですかね。もはや美味しすぎて愛おしい。

個人的に気に入ったのがこちらのお吸い物。スッキリとした出汁と柚子の香りで、濃厚なおかずとのシナジー抜群。

間違いない美味しさのランチを堪能できて大満足! すべてが主役級の味なので、ご飯のペースを意識しないとすぐになくなるので注意です!

■鮭と村上の未来

旅行前、村上市について情報を集めていると、あるツイートを発見しました。

イヨボヤ会館の公式ツイッターが投稿したもので、ツイートは「鮭がいません!」という内容。 

鮭の町で知られる村上ですが、実は近年深刻な「鮭不足」に見舞われています。特に昨年(2023年)はこれまでにないほどに鮭の遡上が少なく、漁獲量は例年の3分の1ほどまでに減少。

温暖化による海水温度の上昇、大雨で河口付近の地形が変動など、環境の変化が影響していると考えられているそうですが、明確な原因はまだわかっていないそうです。 

三面川

このまま漁獲量の減少や気候変化が続いてしてしまうと、塩引き鮭や、いくらのふ化、稚魚の放流といった、村上の人々がこれまでに築いてきた伝統文化が消えてしまうかもしれません。 

村上に住んでいないし、漁業もやっていないし、環境問題を解決することもできない自分ができるのは限りなく無いですが、今回の投稿を読んで少しでも感心を持っていただければ嬉しいです。

 村上の鮭文化を守るためのクラウドファンディングもあります! もし余裕があればチェックしてみてください。
 
今回はここまで。次回は日本北限のお茶「村上茶」を飲んだ記録を紹介します!

Tsuchinoco



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