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村上茶が誘う未体験の陶酔感 国内旅行記・新潟編Vol.1.5

こんにちは。日本の色々な地域を巡りながら、感じたこと書き綴っています。

前回のVol.1で紹介した通り、新潟県村上でたくさん鮭といくらを堪能したあと、瀬波温泉か県内の別の場所へ行く予定でしたが、村上鮭塩引き街道で気になるお店を発見。

見るからに敷居が高い店構えのこちらは『茶館きっかわ 嘉門亭』。鮭加工品の老舗、千年鮭 きっかわが手掛ける御茶サロン。日本北限のお茶である「村上茶」を堪能することができます。

村上といえば、鮭があまりにも有名ですが、実はお茶も名産品のひとつ。

<村上市観光協会HPより>

産業的な視点で見れば茨城県大子と共に国内茶の北限である村上のお茶は、北国特有の短い日照時間により、甘みを葉にため込んでいるのが特徴のひとつ。また摘み取る回数もほかと比べて少ないため、多く出回らない貴重なお茶なのだそう。いざ入店。

■非日常!奥深いお茶の世界を誘われる『茶館きっかわ 嘉門亭』

伝統的な家屋を改装した店内は、趣ある和の空気を残しつつ、シャンデリアや椅子など洋風のインテリアが置かれ和洋折衷な雰囲気。普段ではまず来ないであろう、お洒落すぎる内装にビビりつつ、村上茶と茶菓子を存分に味わえるコースを注文。約1時間かけてゆっくりお茶を楽しみます。

まず運ばれてきたのは、店の中庭?から汲んだ井戸水。口当たりまろやかで雑味がない清らかな水で、これを使ってお茶が淹れられます。

続いて登場したのは、村上の伝統工芸品である「村上木彫堆朱」の茶筒と茶葉を乗せるやつ(たぶん)。木地に直接彫刻を施す村上木彫堆朱は、躍動感と細かな装飾が特徴で、見るからに高級感が漂う一品。演出が格好よすぎ。

さて、これからいよいよお茶が振る舞われるます。

村上では家主自らが客人に対してお茶をもてなす文化があったそうで、その名残でお茶は目の前で店員さんによって淹れられます。しっかりとした作法で淡々とお茶を淹れる姿は、撮影はおろか、呼吸することも忘れてしまう美しさ。思わず背筋が伸びる…。

一番煎じ

まずは一番煎じから。「たったこれだけ?」と、にわか丸出しの感想をもちつつ、戸惑いながらも口に運んでみると衝撃! 薄味そうな見た目からは想像できない濃厚で上品な甘み、芳醇で爽やかな香りが鼻を抜けます。

二番煎じ

二番煎じは、先ほどよりもお湯の温度が高いからか、一番煎じに比べて、色や渋みがちょっと深くなります。甘みとのバランスがよく、個人的には一番のお気に入り。

ゆっくりお茶を口に運びながら贅沢な時間を過ごしていると、店員さんから「よろしければこちらの茶葉をいただきませんか?」というお誘い。

茶葉を食べる? 聞き馴染みのない言葉に混乱しながら待っていると、急須からふたつまみほどの茶葉が小皿に盛られて登場。

どんな味なんだろう? ものは試しで食べてみると……ほうれん草のように青々しく、ほんのり苦い不思議な味! さらにチョロっとおすすめのポン酢をかけると、渋みがまろやかになり爽やかな香りが鼻にすっと抜けてまた違う味わいに。

茶葉を食べる、っていままで考えたことすら無かったけど、京都や静岡などお茶の名産地では食べる文化があるんだそう。色々な文化がありますね。

三番煎じ

さて、1時間のコースも後半戦へ突入し、まず出てきたのは三番煎じ。お湯の温度もグッと上がり、飲み慣れているお茶に近づいてきました。でもまだまだ甘い。

よくよく見てみると、お茶碗の形と大きさ変わっているのに気づきましたか? ビールスタイルによってグラスを使い分けるように、煎じの段階に合わせてるんでしょうね。実に芸が細かい!

3種類の茶菓子も。左からイチジクとクリームチーズを合わせた美味しいやつ、地元のバジルとクリームチーズを練った中にあんこが入っている美味しいやつ、一番右はクリームチーズ(だった気がする)を使った美味しいやつ。

あまりにもリラックスしすぎて写真を撮る前にひとつ食べてしまう痛恨のミス……。皆さんは撮影を忘れずに。

御茶請け

お茶請けは鮭とばと、木苺(たしか)のゼリー。ちびちびとつまみながら残りのお茶をゆっくりと飲み進めます。

あー、なんて贅沢…!

店内が静かなのもいい。調べてみると、お店のルールでは団体客の最大人数は6人まで。さらにそのグループを2〜3人に分けてそれぞれを対応するのだそう。他の客への配慮もあるだろうけど、お茶に集中させるためですかね? 徹底した雰囲気作りも素敵です。

いやー、本当に最高でした。お茶や茶菓子はとにかく美味しかったし、なによりお店の雰囲気が素晴らしかった!

2年前にできたばかりで、いまのところは超有名なお店ではないけど、店内はとにかく写真映えするし、アフタヌーンティーもあるし、ここは間違いなく流行ると思う。魅せ方が上手い本当に。

地元の伝統文化を、今の時代に合わせて新たな観光資源に昇華する。こういった取り組みこそが美しい日本文化を守っていくのだろうな、としみじみ感じます。

村上に来たからには、絶対に寄って欲しいお店です。必ずまた行きます。

今回はここまで。次回は新潟駅周辺のグルメを紹介します!

Tsuchinoco

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