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事実をしっかり書き出せれば、問題は半分解決したようなもの
先日、D・カーネギーの有名な本『道は開ける』の英語版オーディオブックをよく聞いているという話を書いた。
「道は開ける」というのは、たぶん松下幸之助翁の「道をひらく」に似せているのだろうが、この本はああいう話とはちがう。「丁稚奉公から身を起こし、一代で世界的なメーカーを築き上げた立志伝」みたいなものではない。
原題は「How to Stop Worrying and Start Living」なので、ざっくり訳すと「クヨクヨしないで前向きに生きる秘訣」となる。
「悩み事を消す」ための具体的なノウハウがこれでもかと列挙されており、有名人のだれそれや、著者の生徒のだれそれが
この人はこうやって悩みを克服しました
あの人はこういうふうにやりました
みたいな実体験が数多く載っている。全体に1つの法則みたいなものがあるわけではなく、おたがいにやや矛盾している場合もあって、唯一の共通点は「ぜんぶ実体験だ」ということ。
その意味では実話怪談とにているかもしれない。実話怪談も体験者によって言うことはバラバラだけど、
ホントに体験したんですよ
という点だけは共通してるので、似ていると言えば似ているかもしれない(いや、全然ちがうな・・)。
いずれにせよ、ありとあらゆる「悩みを消す方法」が列挙されているわけだ。
さて、それでですね。。。
第四章を読んでいて・・というか聴いていて、グッと来た方法があったのでぜひ紹介したい。この方法はフェイクニュースがはびこる現代にぴったりだと思える。
第4章のテーマは「悩む前に観察せよ」というものだ。クヨクヨ悩んでも時間の無駄だしかえって問題を悪化させるだけであり、逆に問題を正確に把握できれば半分解決したようなものなのだ、ということなんだけど、それが口で言うほど簡単なことではないんですね。
問題解決の流れは、全体としては以下の4段階だ
1問題を書き出す
2やれることを書きだす
3やることを決める
4すぐに行動に移す
ありきたりのようだが、著者はページの大半を「1」に費やしている。1がちゃんとできれば問題は半分解決したようなものだと言っている。ポイントは1にあるのだ。
なぜなら、事実を客観的にとらえるのはとても難しいからで、フランスの作家アンドレ・モロワもこう言っているそうだ(以下、原文+拙訳です)。
“Everything that is in agreement with our personal desires seems true. Everything that is not puts us into a rage.”
人は、自分に都合のいい事実は「真実」だと感じ、都合の悪い事実には腹を立てるものである。
したがって、問題を正確に理解するためにはまず、
We have to keep our emotions out of our thinking
感情に流されずに判断しなければならない
わけだが、悩みを抱えている時に冷静でいるというのはそんなに簡単なことではない。そこで「一歩引いて事実を確認する」ために役立つヒントが2つ紹介されている。
まず1つめとして
When trying to get the facts, I pretend that I am collecting this information not for myself, but for some other person.
自分ではなく、他人の悩み事についての情報を集めているのだ、と考えてみること
である。そして2つめが
I sometimes pretend that I am a lawyer preparing to argue the other side of the issue.
自分は相手側の弁護士として訴訟の準備をしているのだと考えてみること
である。言い換えれば、
I try to get all the facts against myself-all the facts that are damaging to my wishes, all the facts I don’t like to face.
こいつ(自分)に不利な情報は逃さず集めるぞ。こいつの思い通りにいかないように、都合の悪い事実をすべて集めてやるぞ、と思ってみる
のである。
さて、そうやって「自分に不都合な事実」をしっかりと確認したら、「解決策」を練るわけだが、その前に大事なのが、集めた事実を
すべて紙の上に書き出してみること
なのだ。なぜなら
it is much easier to analyse the facts after writing them down.
書き出したほうがいい考えが浮かぶ
からであり、発明家のチャールズ・ケタリング氏いわく、
“A problem well stated is a problem half solved.”
問題をうまく描写できれば、半分解決したようなもの
だからである。というわけで、1の「事実を書き出す」がとてもだいじで、1がうまくいけば、2の考えは浮かんでくるものであり、あとは決断し(3)、すばやく実行に移せばいい(4)。
ところでその直後にものすごーく大事なことが書かれている。これだ。
Then I write down both my side of the case and the other side of the case-and I generally find that the truth lies somewhere in between these two extremities.
そこで問題を自分の側と反対側から書き出してみると、真実はどちらの極でもない中間のあたりに見つかることが多い。
これは現代のフェイクニュース対策に通じるものがあり、ぼくの経験にも合致するので、おもわずうなってしまう。そう、真実ってだいたい中間あたりにあるものなのである。
たとえば、「イエスキリストは日本で死んだ」という伝承があるが、これをバカにする人もいるけど、信じている人もいる。
僕の知っている範囲で言うと、イエス本人は日本に来ていない。ただし「カトリックの礎を築いたかなりの重要人物がこの島国に流れ着き、そこで一生を終えた」ということがどうやら真相らしい。
また、「ヒトラーは生き延びて南米にわたった」というトンデモ説もあり、信じる人がいる一方で、バカにもされている。
しかし、これも僕の関知している範囲で言うなら、ヒトラー本人は歴史に刻まれているとおりに死んだのだが、彼には多くの影武者がいて、そのうちの一人がどうやら生き延びて南米にわたったらしいのである。
そんなわけで、たとえトンデモな情報でも探っていくと全肯定と全否定の中間あたりに真相があるコトが多いわけで、ならば、ウクライナ侵攻だって、ワクチンだって似たような可能性がなくはない。
とにかく1で決まる。
そもそも殺し合いは良くないし、戦争に善悪はないが、今回のウクライナ侵攻にあたっては、いくらなんでもアメリカがあくどい動きをしているように見える。
しかし、そうとばかり思っていると冷静さが失われるので、逆の方向からも見てみるのだ。
毎朝、BS1のウクライナ公共放送で、「ウクライナ人が何人死にました・・ウクライナがこれだけやられました。ウクライナがこれだけがんばっています」という、ウクライナ果汁100%の偏向報道もかかさずに見るようにしている。
あれを見ていると、ウクライナ人は世界一善良で、犯罪を犯すウクライナ人なんか一人もおらず、ウクライナにはそもそも刑務所など存在したことがないように思えてくるけど、実際、ウクライナのKGBにあたるSBUの職員数は3万人で英国のMI6より多く、しかも、SBUとウクライナ検察庁を合わせて少なくとも60人がロシアに亡命しているのが実態だ。
でも、一歩引くためにあえてウクライナ公共放送も見ている。今のような複雑な時代には、1の重要性はさらに増す。
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