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初めて夏フェスに行った時の話

 今日、今年のソニックマニアのラインナップが発表された。Flying LotusやJames Blakeを筆頭とした非常に豪華なラインナップで驚いた。自分はSkrillexとFred Again…が来ると勝手に妄想していたけど、いい意味で裏切られた結果だ。
 そんな日に自分は初めて夏フェスに行った時のことを思い出していた。今から14年前、高校の時にサマソニ行った時のことだ。

 自分は東京出身で、当時は洋楽が好き高校生であった。東京に住んでいたものの、ロッキンオンなどでレポートが掲載されていたフジロックやサマーソニックはどこか遠いところでやっているイベントくらいにしか思っていなかった。千葉でさえ、県を跨ぐイベントはほとんど行ったことがないから、交通費の検討もつかないレベルだった。

 高校2年生のとき、クラスのイケイケな友人が文化祭でサマソニのTシャツを着ているのに気がついた。COLDPLAYやThe verveとか、沢山聞いたバンドの名前が書いてあり、それらのアーティストを観たこともそうだし、「フェス」とう自分が知らない世界を知っていることへの憧れもあって、そのTシャツは眩しく見えたのを今でもよく覚えている。

 そんな文化祭の翌年、自分は受験生であったが、合格した先輩から「夏休み、1日だけ思いっきり遊ぶ日を作った方がいいよ。単語帳も持っていかないで、勉強のことを考えない日にしな!」と言われた。

 それを聞いた時「これは、サマソニに行くべきなのでは?」と思った。

 自分は毎日話している音楽友達にサマソニ行きを提案した。快諾されて、他の友達も連れて、3人で行くことになり、学校帰りにセブンイレブンにチケットを買いに行った。当時高校生だったから、1万4千円なんて大金(今も大金だが)なもので、ドキドキしながらチケットを買ったのを覚えている。(日にちが間違えていないかを何回も確認した。)自分はMy chemical Romance、Nine Inch Nails、KASABIANが出る初日に行った。今ラインナップをみるとすごいメンバーだ。

 チケットを買ってからは予習を沢山した。それが受験勉強のいい気分転換だった。当時サブスクなんてなかったから、TSUTAYAに行ったり、HMVでCDを買ったり、友達とCDを貸し借りしたり、それも含めて楽しかった。KASABIANが3rdアルバムをリリースしたばっかで勢いがあったのに加えて、マイケミと関係がよろしくないという噂もあったり、どちらを観るのか友人とよく話し合った。結局「The Black Parade」をよく聴いていたのと、トレント・レズナーが「トリを食ってやる」っていうことでマウンテンのトリを断って、マリンのトリ前を希望したエピソードを聞いて熱くなり、Nine Inch NailsとMy chemical Romanceを観ることにした。

 今でも覚えている。サマソニの前日は全く寝れなかった。重度の遠足病だった。楽しみ過ぎて寝れないのだ。当時の自分、可愛過ぎないか。朝になったら、兄ちゃんに借りたバッグを持って、チケットがあるかを何万回も確認して、未知の世界への旅に出航した。もはや冒険だ。もちろん単語帳の速読英単語は置いてきた。

 京葉線で海浜幕張に着くと、人の多さに驚いた。(海浜幕張っていう駅名、何かワクワクすることが起こるんじゃないかって思ってしまいます。)エントランスでリストバンドをもらった時は本当に嬉しかった。まさに旅の重要アイテムだった。(ゲームでよくある捨てられないアイテム的なやつ。)

 まず、幕張メッセに着いた瞬間。新天地に降り立った気分だ。暗い幕張メッセにかっこいい音楽や企業のブースや出店が沢山出ていた。「なんてイケてる空間なんだ。。。。。」、感動で無意識にため息が出た。あと高校生にして、この空間に身を置いている自分の「イケてる」と思っていた。(そのときに「おしゃれだ!」って思い、買ったフェスTを「ダサい」と思う未来なんて想像すらしなかった。)

 まず、1バンド目はRed Light Companyというバンドだった。初めて見るフェスのバンド。始まる前、割とガラガラで前が空いてて「あれ?こんな前行っていいの?」となった。ステージから少し距離をとって聞いてるとき友人が楽しんでいるかが不安だったが、隣で「めちゃかっこいい」と声が聞こえてきた。目を合わせて「前に行こう!」となり、できる限り前でライブに「参戦」した。

 その次にはKiteを見て、マリンステージのあるマリンスタジアムに向かった。道中食べ物と飲み物が高過ぎて、ビビっていたが、大した問題ではなかった。マリンステージに着いてまず感じたこと。「ステージデカ過ぎだろ」であった。しかも、その後はParamore、Boom Boom Satellites、Nine Inch Nails、My chemical Romanceを観れるのだ。信じられなかった。

 特にBoom Boom Satellitesは当時あまり邦楽ロックを聞いていなかった自分には衝撃的だった。今でも大好きなバンドだ。Nine Inch Nailsは1曲目の「Somewhat Damaged」から鳥肌立ちまくりで、良過ぎて記憶にない。途中から豪雨が降って、夜になったけど、食い入るように観ていた自分は全く気にならなかった。最後「Hurt」で雨が止んだのも素晴らしかった。野外フェスらしいストーリーだ。最後に観たMy chemical Romanceも最初から最後まで楽しかった。ボーカルのジェラルドがアンコールのときに客席に置いてきてくれて、すごく近くで観れたのは覚えている。本当に夢のような時間であった。楽しい時間というのは一瞬なのだな。

 終演後はペットボトルのゴミがちらほらあって、雨の後の水たまりもできていた。ストレスが吹っ飛んだような気がしていた。最後にステージをバックに友達と写真を撮って、サマソニを後にした。今でもサマソニで学生っぽい人たちが写真を撮っていると、この時のことを思い出す。

 帰りは満員電車にカルチャーショックを受けた。みんな汗臭く、ライブよりも、もみくちゃになった気がしたが、友達とサマソニ余韻を語り合いながら旅路に着いた。

 今はサマソニよりフジロックの方が楽しいと思ってしまっているけど、高校生の夏、お金がない中チケットを買って、音源を集めて、ワクワクしながらフェスに参戦した思い出は一生物だ。

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