見出し画像

イギリスのコロナ状況:ロンドンとイングランド南東部が本日ティア4に突入。事実上の3度目のロックダウンへ【無料公開】

昨日(12月19日)「16時(イギリス時間)にジョンソン首相から発表がある」との報道が入り、すわ来たかと思いました。日本では午前1時だったのですが、これは起きて見ておかないとと👀最初に書いておきますが、今回はあまり明るい話題は出てきません。

ところで、イギリスの政治と報道の関係は面白くて、通常、大きな発表の2~3日前から「こういう内容の発表があるらしい」とどこかのニュースメディアが報道を始めます。すっぱ抜くのは常にBBCとかタイムズとか決まっているわけではなく、たぶん順繰りにリークしているのかと。ですから、実際に首相が話すときには国民はどんな内容かをほぼ把握しているんです。

ただ、今回に限っては十分な前フリをする余裕のなさが見られました。さすがに発表の数時間前には「感染拡大が止まらないロンドンとその周辺地域にティア4が導入されるらしい」という点は各種メディアで取り上げられていたものの、開始時期などはわからない状態で実際の発表を聞くことに。

今までイングランドではティア1(Medium)、ティア2(High)、ティア3(Very High)という3段階のシステムを使ってコロナ感染の拡大を防止してきました。しかし、ロンドンやケント州などの地域はティア3が実施されているにもかかわらず、感染拡大が続いている状況。そのため、あらたにティア4(Stay at Home)を導入したというわけです。

ティア4の内容は、今年11月5日~12月2日に行われた2度目のロックダウンとだいたい同じです。以下に簡単にまとめます。

・飲食店はテイクアウトを除いて閉店
・生活必需品を販売しないショップや娯楽施設、美容院なども閉店
・公園などの屋外で1人の人と会う場合を除き、他世帯の人とは交流不可
・1人暮らしの人は他の1つの世帯の人と同世帯と見なして交流可
・学校は続行
・地域から出ることは禁止(ロンドンの人ならロンドン内に留まる)
・国内旅行・海外旅行共に禁止。

このティア4はこの発表の翌日、つまり本日12月20日から開始しています。当面の適用地域はロンドン全域と、イングランド南東部と東部の各州。次回のティア見直しは12月30日を予定しています。

まあ、上記の措置は冷静に考えて仕方ないことではあります。実効再生産数「R値」が下がらないと、すなわち感染者が増え続ける→重症者や死者が増え続けるということなので…。

とは言え、今回の発表でいちばん辛いのが、ロンドンを含むティア4地域ではクリスマスを他世帯と祝うことができなくなったという点。イギリスのクリスマスというのは本当に日本のクリスマスとは比較できないほどの重要な行事で、早い人は夏から少しずつ準備をしています。「家族でハッピーなクリスマスを過ごすために1年間辛くてもコツコツ働いている」という人だって少なくありません。

そのクリスマスまで(イギリスでは25日にクリスマスを祝います)1週間を切ったタイミングでのこの発表。ほとんどの人が時間をかけてツリーを飾り付け、大枚をはたいてクリスマスのご馳走やその材料を買い込んでいました。それより何より、家族に再び会えることが楽しみで楽しみで、家族にウイルスを移さないようにと有料でコロナ検査を受けたり、早くから休みを取っていた人たちも多数。それがすべて水の泡になってしまいました😢

当該地域に住んでいる友人たちには本当にかける言葉も見つかりません。ただ、現実としてほとんどの家では準備を終えているタイミングなので、多くの人は規則を破って集まるんじゃないかなと思います。警察もそこはチェックしきれません。もともと慎重な家族は「今年はざんねんだけど別々にお祝いしましょう」と11月ごろから決めていましたし。

なお、本来は12月23日~27日の5日間は人の往来が緩和される予定でしたが、昨日の発表によって「ティア4以外の地域の人たちも3世帯が集まれるのはクリスマスデー、すなわち12月25日のみ」ということになりました。まあ、でも集まってお祝いできるだけ良いですよね🎅💦

首都で人口が多いにもかかわらず今までさほどひどくなかったロンドンの状況がなぜ急激に悪化したのか…。みんなが12月2日のロックダウン明け以降にこぞってクリスマスショッピングをしたからかな?と思っていましたが、政府の科学顧問はこの悪化は、今回のティア4地域およびスコットランドの一部で見つかった新型コロナウイルスの変異種が原因ではと考えています。

現在判明しているのは、この変異種は今までのものに比べて感染率が最大70%高いようだということ。もしそうであれば、ロンドンや周辺地域でティア3の規制では食い止められない猛スピードで感染が広まっていることに説明がつきます。

なお、この変異種によって重症化・死亡する率が高くなるというエビデンスは出ていません。また、ワクチンがこの変異種に対しても有効か?という問いに対しては、「有効でないという証拠はない」という段階のようです。

繰り返しになりますが、いずれにしても地域ごと、そして国全体の「R値」が1を切らない限りはロックダウンはやむを得ないことです。この痛みを伴う措置によって状況が改善されることを願ってやみません。

また、ワクチン接種が続いていることは言うまでもなく大きな希望であり、「4月初めのイースターまでには状況が改善し、家族でお祝いできますように」と多くのイギリス人が願っているでしょう(※「多く」と書いたのは国民全員がクリスチャンではないからです。状況の改善自体はもちろん万人の願いかと)。

以下の有料部分はわたし個人の思いや状況についてです。

ここから先は

410字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?