この飢餓感はもしかしたら宝物かもしれない
焦っている。
気づけばもう30才が見えてきた。
20代後半以降の人生プランなんてまったくないまま、なんなら「学生時代で人生のおいしい部分は終了してしまっているのだ」というような思い込みを抱えたまま生きてきてしまったから、自分の年齢と現状(キャリアや生活)がうまく噛み合っておらず、歯がゆさのようなものを感じながら日々を過ごしている。
自分で決めたことではあるものの、会社を辞める日も刻々と近づいてきている。耳をすませば、さらさらと砂時計の砂が落ちていくのが聞こえそうなくらい。
私と一回り離れた若い子たちが、眩しく見えてしまったりする。
今まで自分は何をしてきたんだろう?あの頃から積み重ねていればもっと違う現在があったのでは?なんでいつもこんなにどんくさいんだろう。寝付きの悪い夜は、そんなことばかり考えてしまう。
もっと写真を上達させたい。まだやれるはず。もっと語彙も知識もほしい。
何気なくつけた旅行番組で、特に乗り気でもなさそうなタレントが異国の血でとりあえずiPhoneでパシャ〜〜ッと気の抜けた写真を撮ってたりするのを見るたび、「私があの場にいればもっとやれるのに」なんて意味のわからない嫉妬心を燃やしたりしている。タレントになりたいわけでもテレビに出たいわけでもないのにね。
だけど、ふと思い返してみると、この「飢餓感」こそがずっと欲しかったものなのかもしれない。1年前の今ごろ、私の気力は底をつきかけていた。去年だけじゃない。かれこれもう5、6年くらい、ずっと低空飛行を続けていた。
誰かにハッパをかけられたわけでもなく、期待されたから生まれたわけでもなく、いつの間にか自分の内側から湧いてきたこの飢餓感。手なずけるのはなかなか難しそうだけど、これこそがずっと欲しかった感情なのかもしれない。
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