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まるい絵の未来

北海道・苫小牧の図書館で過ごした日と、翌日にTシャツ用のイラストを描いた様子をvlogにまとめた。

家を出た時は図書館を目指していたのに、何歩か歩いたところで海に行きたくなって、そのまま足を向けた。「消えゆくものへ」の素材も、この時の海辺で撮影したもの。

1時間半ほど海にいて、ここから図書館まで歩き続けられるか考えた。道を調べると途中までは行けるけど、どうしても海から離れた道に出なきゃならない場所があるとわかった。

ひじきおにぎり!

いっそ海で気が済むまで過ごして、家に帰ってもいいかもと思ったけれど、さすがに寒くなってきた。歩いて15分ほどのところにバス停があり、図書館の近くで降りられるとわかり、時間に合わせて向かった。

バスに揺られ、苫小牧市民文化公園へ。図書館や美術館、広場や噴水もある公園で、サンガーデンを散策した後、図書館に入った。ここには北海道の歴史を物語る古い本、画集や図鑑、アート雑誌が豊富に揃っていて、思わず長居したくなった。月に数回でも、1階のロッカーに荷物を預けて、スマホや時間を気にせずに本と向き合う時間を作るのもいいな、なんて思った。

サンガーデン
図書館

2階にはiPadで作業できるスペースもあって、持ち込んでイラストを描くことができた。広々とした机、周りに人もほとんどいない静かな空間で、絵を描くのにはぴったりだった。家で創作するのも楽しいけれど、こういう別の場所で作業する選択肢を持っておくのも悪くないなと気づいた。依頼されたイラストのラフを描き、翌日、本番の絵に仕上げることにした。

私はかつて「まるいえ」というシリーズを通して、私の心の動きや季節の移ろいを円(まる)の中に表現してきた。1000点を超える作品の積み重ねで、そこには私自身がぎゅっと詰まっている。「まる」を描き続けたおかげで、恋人や友人、そしてイラストの依頼をくれる人たちと繋がることができた。

今回も依頼者の好きなものを「まる」の中に散りばめたデザインをTシャツ用に描くことにした。

この作業をしながら、不思議な気持ちが芽生えた。もう「私」の表現は十分に描いたから、今度はまるの中に「あなた」を描いていきたい。まるい絵が「まるい輪」として繋がっていく。それが、かつて社会で居場所を見つけられなかった私が作り出せる「つながり」の形なんじゃないか、そう考えるようになった。

今まではいつも「私」だけで表現を完結させていたけど、今は外に意識が向いているのを感じる。だからこそ、まるいえの未来が「あなた」と重なるようなものになっていく気がする。これからまるの形に限らず、四角でも三角でも、どんなキャンバスでも「まるいえ」の精神を宿した作品を描いていけたら。それが一つの私の表現の道なのかもしれない。

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