6,逃げられない現実と向き合うと…

ある時は首を絞めつけられ、ある時は背後から馬乗りになられて手足を骨折したこともあった。そして、ある時は頬を平手で何度もたたかれたときには耳の鼓膜が破れて、耳鼻科へ行くと米粒大ほどの穴が開いていると言われ、自然治癒するまで無理をするなと言われた。思い出すだけでも、まだまだ怖い思いはい数々蘇ってくる。それでも一緒に暮らしたのは、親に言われた言葉で今は逃げ場が無いんだと諦めたこと、小さい子供を抱えて生活力が無かったこと、逃げたところで、どうやって子供を育てながら現実と向き合っていったら良いかを考える力がその時には無かったこと。本当に未熟で情けないなと、自分のことを恥じた。でも、ある程度の自分の貯金と居場所が確保出来たら必ず子供と出ていくと、心の奥で毎日の様に思いながら、夫を怒らせない様にしばらく言いなりになることにした。まるで女優。自分じゃない自分を毎日演じて、子供の笑顔だけは絶やさない様に、夫の前は女優でいながら自分に経済力がつくまでの忍耐だと耐えた。自分らしく笑顔でいることは日に日に無くなっていった。あの頃の写真を見ては驚くほど、自分の顔も眼も無表情であることを感じる。そんな親の元で育つ子供の心は健全に成長できるのだろうか…と思うとごめんね…必ず抜け出すから…と思いながらも必ず夫とは離れると心の奥で思いを固めていった。


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