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大寒波とパンくず

40年ぶりの気候現象で北ドイツが寒い。ベルリンは山がなく通常はあまり雪も降らないがこの数日は雪マーク。気温下がりすぎて笑える。さっき淹れたお茶も一瞬で冷める。

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昨日は一日中風音がしていて、日本の台風の夜を思い出した。台風ほど突風ではないものの、心細い夜が明け今日は風はないが細かい雪だけが引き続き舞っていた。ヨガ勉強飯を済ませ、外に出る支度をする。

1人で外に出ず生活していると、世界から切り離され自分の部屋だけが宙に浮いている気分になる。窓に映った世界が本物なのか確かめなくてはならない。街は静かなんだろうか、雪はどのくらい積もっているだろうか、川の鳥達はどうしているだろうか。

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(宙に浮く部屋と窓に映る虚像)

雪の対策グッズやブーツなど何一つ持ち合わせていない為、足元が埋まり濡れないようにジーパンの裾をふくらはぎからくるぶしまで隙間なくラップで締め、その上に黒いゴミ袋を巻きつけ、カラフルな輪ゴムで上下を括った。遠く見は黒いレッグウォーマーに見える。

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恥ずかしくない訳ではないが寒さには勝てない。

しっかり着込み階段を降りていくと次第に刺すような寒さを感じてくる。思い切り扉を開けると一面真っ白、道を挟んだ向かいの公園で子供が遊んでいる声が聞こえた。自分の予想していた世界とは違い、多くの人々は散歩に出ているし、サラサラな雪は石畳の上で踏まれてぶ厚くなり足が埋もれることもなかった。

子供を連れた人の多くは木製のシンプルなソリを引きずっていて、散歩している犬は服を着ていた。ランニングしている人もいてみんな楽しそうに見える。

いつもの川を見ると、川底の色も通さないくらい分厚い氷が張っていて、冬のナイアガラの滝を思い出させる。かろうじて水面が残る橋の下には鳥達がもぞもぞと浮いて氷の割れ目を探していた。こんな気温でも水に浮かんでいるのか。

スーパーでパンを買い千切って橋の下に投げ入れるとカモ達が集まって勢いよく食べた。蠢く背中が若干、集合体恐怖症でゾッとした。一斤丸ごと全て千切って投げ入れた。