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いい加減、ポジティブの押し売りやめませんか?【後編】

前回の記事、“いい加減、ポジティブの押し売りやめませんか?【前編】”を読んでいない方は是非こちらから。


私たちは、今や現代の忙しない生活の中にするりと溶け込み、気づけば日常生活の中のルーティンと化したソーシャルメディアの存在が生んだ「劣等感」を抱えながら、日々手の中にある小さな画面越しに映っては、私たちに"夢"と"理想"を一方的に投げかけてくる存在に一喜一憂する。

自分の住む世界とは違う、創られたモノに自分を重ね合わせては勝手に疲弊する愚かな自分に、「待ってました!」と言わんばかりに現れた「自己肯定感」や「ポジティブ」、「自信」という言葉たちは、私たちを救ってくれるのだろうか。

3. 「自信」という正体

前回ご紹介した、“自分に自信をつける方法 力尽く編”は、その名の通りパワー勝負である。

自分で責任を持って決断するというリスクを取り、実際に行動することで結果的に「自信」というリターンが返ってくるというこの方法は、「自信」という結果を得る為に、必ず何らかのアクションが必要となる。

そして、その“自分で決断した”、“実際に行動した”という事実を基に「自信」を得たとしている為、それは言わば、“そういった事ができる自分”という自分の能力というものに価値を感じ、それが結果的に「自信」というものに変換されているという事だ。

ちょっとややこしく聞こえるかもしれないが、言葉を変えれば、そういった自分の言動を一切無くした、真っさらな状態の自分に自信を持てているわけではない。

そりゃあ私も、こういった自分の言動を全て抜きにして真裸の状態になった時の自分に「自分は生きている価値があると感じられるか」と聞かれたら、答えは迷わずNOだろう。


結局、私にとって「自信」というものは、「生き様」なんだ。


自分の意思や考え、感情、行動、経験。

「私は、こうやって生きてきたんだ。」と胸を張って自負できるものこそが、今の私を造っている。

そして、そこで一旦考えてほしい。

あなたにとって「自信」とは何か。

その「自信」を持つ事で、一体どうしたいのか。

そして、あなたはその目には見えない「自信」に何を期待しているのか。


4. 自分に自信をつける方法 絶望編

とはいえ、案外意外と簡単に自分という人間を受け入れて、そんな自分に自信を持つことのできる方法が他にもある。


それは、自分に必要以上に期待をしないこと。


自分自身がしっかりと現実を知り、上手に絶望することで得られるメリットというものは実は非常に大きい。

「自分のこんなところが嫌だ。」

「自分のここを直せば、もっといいはずだ。」

こんな言葉をよく聞くが、勿論それが何らかの悔しさや嫌悪感から放たれる時もある。でも、心の何処かで自分を過信してやしないか?

それって結局、「私は、本当はもっとできるのに。」という自分の理想を自分に課して、それが却って自分の首を締めているということはないか?

確かに、大きな目標を掲げそれに向かって努力していくことはとても素晴らしいことだけど、その中で必要以上に落ち込んだり自信を失う必要はない。


だって、あなたは天才じゃないから。


そして、私も天才じゃないから。


もし私が天才だったなら、恐らくこういった場所でちまちまnoteを書くこともなく、悠悠自適に既に隠居生活を楽しんでいることでしょう。

あなたがもし天才だったなら、こんな何処の馬の骨かも分からない人間がつらつらと書く文章を、わざわざ時間を割いて読むことはないでしょう。


そう、私たちは天才なんかじゃない。


この世で今を生きる、ちっぽけなひとりの人間でしかないんだ。


もっというと、明日もし私が死んだとしても、世界や社会は何一つ変わることなく日常という時を消化し続け、「私」という唯一無二の存在にしろ、ただの過去として薄れ消え去っていく。

つまり、“自分という存在は、結局のところその程度のものだ。”という元々自分が持つ存在のスケール感や価値を現実的に理解することで、自分に無駄に課していたハードルを取り下げ、自分そのものをスッと受け入れることができるのだ。(決して私たちに存在価値がないという意味では決してない。)

巷には、自己肯定感やポジティブになれる方法として、"自分の良い部分を探す"、"自分はできるんだと唱える"など様々な手法が紹介されているが、そういった内容に興味があり、自分に自信を持ちたいと言っている人間にとって、"自分は生きる価値がある人間だ"と信じ込ませる為の材料を自分の中から探すというのは正直辛いものがある。


そこまでして、自己肯定感やポジティブシンキングが必要なのか。


ポジティブが正義なのか。


要は、自信の有無にかかわらず、自分というものをきっちり自分自身が理解し、認めてあげられる環境作りが重要なのかもしれない。

勿論、この方法を全員に試して欲しいとは言わないが、もし自分に自信が持てなかったり、自分をなかなか受け入れることができない方がいたら、是非一度考えてみて欲しい。


5. おわりに

あなたはきっと存在している価値がある。

でも、世はあなたが想像するより遥かにあなたに期待していない。

社会もあなたの存在に価値があるとは言ってはくれない。

それなら一層の事、そんな目に見えない理想や期待というものに縛られることもなく、他人に決められたあなたの価値にすがる事も無く、自由にあなたのできる範囲であなたの生き様を好きなように描けばいい。

今、自分の手の中にある小さな画面の中の世界に翻弄されることなく、鏡に映った自分だけをただ信じればいい。

それが自ずと「自信」となるまで。


窪 ゆりか

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