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”任せる”と”丸投げ”の違いはどこに?

仕事での経験を重ねると、あれこれ細かいことが言われなくなる。新しい業務を担当することになると、ざっくりと簡単に概要を説明される、「細かいことは大丈夫だよ?」「適当によろしく頼むよ」「あとはお任せで」という言葉を最後に添えて。以前、「大丈夫だと思って、今日まで何も言わないで黙ってやらせておいたのに!」と、上司にキレられたことがあった。口には出さなかったが、「あなたのいう”任せる”とはどういう意味だったんですか?」と、ホントは聞きたかった、あの時。

「任せる」を別の言葉にするなら、”一任する”、もしくは”権限移譲するる”だろうか。上司にかかわらず、誰かに、自分の得意なこと、能力や経験を全面的に信頼をされ、仕事を任せられたら、人は喜び、モチベーションが上がり、期待に応えようと頑張る。そのまま、ことがうまく運び、完了すればいいが、そうばかりではない。そんな時、”任せた”人は、かつての私の上司のような言葉を投げつける。

私はそれを”丸投げ”と呼ぶ。丸投げは、まさに、仕事をどさっと、投げ渡し、あとは全く関心を示さない。進捗の確認もしないし、なんならその仕事の話題さえ出そうとしない。そんな面倒で、責任を取りたくない仕事を押し付けたのか?こいつにやらせてうまくいけば、ラッキーぐらいに思っているのか?と不審が募る。業務をきっちりやるが、モヤモヤが残る。

では、この”任せる”と”丸投げ”の違いは何か。思うに、「すぐに相談できる体制にあるか、否か」が大きいと思う。任されたとはいえ、ホントに自分のやっていることが正しいのか、不安に思う時がある。その時に、まずは話を聞いてくれる人がいる、それは、モチベーションを高く保てる大きな糧だ。

では、どうやってその「相談体制」を作っていくか。

①スキを作る

業務の依頼者は、なるべく”暇そう”にしている時間を設けて、部下などが話しかけやすい”スキ”を作る。例えば、朝、決まった時間にコーヒーマシーンの前で、ゆっくりとコーヒーを飲んでくつろいでいる”フリ”をする。そうする部下は、「あの、ご相談したことがあるんですが、今、少々よろしいでしょうか」と、声をかけやすい。多くの人は、上司や周りの人はいつも忙しそうで、話をかけたら悪いかなと、遠慮がちに思ってしまう。だからこそ、”今が話しかけるチャンスだ!”を思わせる演出を自らする。

②接触時間は短く、マメに、そしてカジュアルに

一度でも、話すきっかけができれば、「で、今どんな感じ?」と、依頼した方も気軽に進捗が確認しやすくなる。「あ、この人は自分を見てくれてる」という安心感が生まれ、部下もマメに”報連相”をしてコミュニケーションを取りたいと思う。となれば、例えば、”毎週金曜の朝9時半から5分間だけのミーティング”などを設定してもいい。もちろん、重要な進捗報告や問題が発生した時は別だが、こうした「短くても話をする時間を定期で持つ」ことで、問題になりそうな芽が発見しやすくもなる。その時は、改まって会議室を取ったりせず、オフィスの隅にあるテーブルセットのところで、コーヒーでも飲みながら話せれば、部下も緊張することなく、ちょっと気になことが言いやすくなる。

③褒めたいときに褒める、無理に褒めない

こうして信頼を深め、進捗の確認、相談ができれば、細かい指示をしなくても自ら動いていく。そうなると「褒めた方がいいのかな?」と思うかもしれない。別の記事に書いたことがあるが、ホントに褒めてあげたいと思える時だけでいい。褒めることは義務化すべきではない。「褒める時は、みんなの前で、その人の目を見て」などという人もいるが、褒め方のスタイルは人ぞれぞれ、なんでいい。めったに笑わない、褒めいない人が、「いいね」とたった一言、ぼそっと言ったとしてら、もう既に信頼関係ができているので、言われた側は、「この人は本気だ」とすぐに分かる。

丸投げの似た言葉に「放任主義」もあるが、口を出さない、何もしないことではない。「自分の話をちゃんと聞いてくれる」、そういった安心感の上になりたった信頼関係を構築した上で見守り、何かあった時まで、手出しをしないことだと、私は思う。

追記:golchikiさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。




「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。