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意味なし!退職面談

会社によっては「退職面談」を実施することがある。正直これは、会社、人事のためにタスクの一つで、退職者側からすると、「それって何の意味があるの?」と思う。

退職というのは、ふと思い立つものではない。日々の「???」という疑問、不審、疑念が雪だるま方式に大きくなり、ある日、その人なりの限界を超え、「もうここでは働きたくない」と、退職を決意するものだ。だが、その途中で、最低1回でも「このまま辞めていいものか?」と踏みとどまる。ここで、誰に、どんな風に話を聞いてもらうかにより、決心は大きく変わる可能性はあるだろう。

例えば、このまま働いても、やりがいのある仕事に就けないと思った時、実はまだ公式になっていないが、新たな事業展開やプロジェクトが計画されていて、メンバーは公募制だとわかったら、それに応募するまでは頑張ろうと思いとどまれるかもしれない。もしくは、社内の人間関係に悩む時、上司や同僚の態度、組織の文化や雰囲気の理由が分かったら、自分の距離の取り方を考え直したり、もしくは自分が変革したいと使命感を持つかもしれない。

だが、こういう話を出来る機会は滅多にないし、迂闊なことを言えば、話が社内に漏れ、自分が窮地に立たされることもなくはない。そうなると、誰にも相談できず、”退職”という結論になってしまう。その結論に達してしまったら、誰にどんなに説得をされても、もう手遅れだ。

だが、この「退職面談」では、どうして会社を辞めるのか、会社のどこに不満があるのか、と言うことを聞かれることが多い。名目は、「今後の組織運営、社員の満足度改善に役立てたい」だ。だが、会社を去ろうと決心した人間が、見切りをつけた会社の改善協力など、誰が快く応じるというのか。仮に退職面談で、自分と同じ思いをする人が増えないようにと、率直な気持ちを話しても、”不平不満をぶちまけた不適合者”と烙印を押され、語られたことは何処にも公表されず、なかったことにされるケースがほどんど。

では、何のために、退職者の話を聞くのだろう。もともとは、確かに、組織運営の改善と目的があったかもしれないが、面談をするものが未熟なため、退職者の気持ちを読み取れず、単なる「最後の愚痴聞きの場」と形骸化しているのだろう。

退職面談などという形式的なことをするよりも、会社に不平不満愚痴を持っている人に話に耳を傾け、それをどう健全な組織運営、社員の満足を上げる施策を考え、実行、検証する人事であるべきだ。

追記:ashikariさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。


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