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ビジネスセンスのあるヲタクを狙え

数年前、スポーツ関連会社の採用業務の立ち上げを担当したことがあった。当然だが、スポーツ好きの応募者が殺到した。あるスポーツで輝かしい成績を残した人、とあるプロスポーツクラブの熱狂的なファン、データアナリストもびっくりするようなデータマニア、様々だ。

それに引き換え、私は全く申し訳ないくらい、スポーツに興味がない。この1年で、自宅近くのスポーツジムに行くようにはなったが、それまで学校の体育の時間以外で、体を動かすことはなく、国民的なスポーツの試合があっても、競技場はおろか、テレビ/ネットで観戦すらしない。

スポーツに興味のない採用担当が、スポーツ好きを採用する。心の中では、大変恐縮していたが、採用部署のマネージャーが私に言ったのだ。

「ビジネスセンスのあるヲタクを採用してください」

応募者は、ただならぬスポーツへの愛がある人達。会社の商品、サービスが好きだという”愛”が大きいことはいいことだ。しかし、企業は利益を上げてなんぼ。その事業で収益を上げるために、役割を果たせる人を選ぶとなれば、愛だけでは不十分だ。愛に加え、「いくら儲かるか」という”金勘定”ができなければ、ただの「同好会」になってしまう。

ならば、「熱狂的なファン」は、ファン目線の購買欲やクラブチーム運営に対する改善点が提案できるかもしれないし、「データマニア」は、みんなが知らないデータを分析して、今までないアディアが出せるかもしれない。だが、どちらも「自分の思い」だけで業務をするば、成果に偏りが出るし、ビジネスの成功率は下がり、結局は「ただのヲタク」に成り下がってしまう。

興味の持てないことに毎日の大半を費やすのはつらい。だからこそ、「好きなことを仕事にする」時は、その”好きなこと”への客観性を持てるか、いったん考えてみるのがいいだろう。仕事となれば、その”好きなこと”のイヤな面、裏の世界を見てしまう場面がきっと出てくる。その時に逃げずに、真正面から向き合えるか。

「好きなことで金もうけなんて!」と思うなら、純粋に、その企業の製品やサービスのファンとして、事業を支える。それも立派な経済活動だと思う。

追記:lazy_planetさんの画像を使わせていただきました。ありがとうございました。


「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。