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私の窓からみた春 夏 秋 冬

春になると心のタンクが開いて、
滲んだ水彩画のように
いろんな色がまざりあう。
選ばなかったこと
選びたかったけど 選ばれなかったこと。
いつもは気にならない
そういう気持ちたちが
この季節になると浮かび上がってきて、
懐かしさと もう戻れない悲しさと
だけど「選びとってきたもので
作られている今が
ちゃんと好き」という思いが、
滲んで、混ざって、
ちょっと苦しくて、
あたたかな雨に溶かしてしまいたくなる。

空を見上げると、夏だ。
青が濃くて、白が明るくて、
心が開く季節が夏だ。
ノースリーブのワンピースで
走り出したくなる。
水を感じる。伸びやかさを感じる。
色と光が生きる力が強い。
私がいちばん好きな季節。

おひさまの光が黄色くなる頃、
秋がやってくる。
穏やかな波のような光と
人々が集う 街のざわめき。
秋という季節がもつ安定感で、
人が最も落ち着く季節。
夏に遠くに行きたくなるなら、
秋は足もとが愛おしい。

気づいたら冬はそこにいた。
空気も風もみんな冷たい。
煮込むとかこもるとか重ねるとか
内にとじこめることが心地よくて、
思考も心も内を向きがち。
もぐる と捉えて
上手く付き合えたらいいなぁと思うけど
私にとってはちょっぴり苦手な季節だ。

冬に疲れてもうダメだって思う頃、
春の足音が聞こえてくる。

そうやって季節は巡り 時間が巡り
同じ場所にいるのに
違う景色をみるようになっていたりする。

「わかったつもりになっていたことも
実は全然わかっていなかったんだな」
なんて少し昔を振り返れるようになった頃、
あの頃見ていたのと同じ景色を
何段か上から眺めるようになっている。

生きるって螺旋階段を登り続けることに
よく似ている。

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