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ウィンド・オブ・チェンジ FSBの内部告発:件名「日本」

フランスに亡命したロシアの人権活動家ウラジーミル・オセチキンへ宛てたFSBの手紙「Wind of Change FSBの内部告発」連載の第10弾を翻訳したものです。日付は 3月17日。件名:日本
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説明のための翻訳者イゴール・スシュコのコメントは[括弧]の中に書きます。

ウラジミール、こんにちは。これから、半年前の出来事について情報を共有します。
2021年8月、ロシア は日本との局地的な軍事衝突をかなり真剣に準備していました。両国が深刻な対立、さらには戦争という段階に入るという確信がありました。
なぜ最終的に、ウクライナ が戦争に選ばれたのか [シナリオはあまり変更されていない]、それは他の人が答えるべきことです。
それで、2021年8月のこと:東部軍管区には、電子戦システム”Rychag-AV”(Рычаг-АВ)を搭載したMi-8MTR-1ヘリコプターが調達され、FSBは、第二次世界大戦中の日本軍司令官、山田乙三の尋問データを機密解除し、

ウィキペディアから

米軍撤退直後にタリバンが、アフガニスタンを占領し、米民主党が評判を落としました。同じページに属さないような(お互い関係のない様な)出来事の数々。しかし、まずは本題から入りましょう。モスクワと東京の間の鍵となる障害物は、クリル諸島です。

日本にとっては、ここに現代の地政学の礎があります。第二次世界大戦の敗戦国であるために、日本はいまだに正式な軍隊、対外諜報機関、その他多くのものを持つことができないのです。
「日出ずる国」日本にとって、千島列島の返還は戦後のステイタスの見直し(あるいは取り消し)を意味します。

モスクワにとって、クリル諸島は交渉の材料。日本との交渉材料だが、中国との交渉材料でもあるのです。天の国(中国)は、戦後の協定を修正しようとする試みを非常に否定的に受け止めています。

そして、クリル諸島をめぐる紛争で東京が勝利する可能性があることは、北京にとって受け入れ難いがたい事なのです。中国はそのような「ギフト」(北方領土)のためには、ロシアの生活を簡単に複雑にするほど受け入れられ難いのです。

日本の安倍晋三元首相はすでに、クリル(北方領土)問題でロシアと「交渉」しようとする事と、国内の諜報機関を改革することの2点を重視していました。「改革」とは、英国のMI6のような対外諜報機関を独自に創設することです。歴史的に見れば、日本の軍事情報は常に高い能力を誇っていましたが、第二次世界大戦の敗戦後、戦勝国の意向であっさり廃止されました。
そして、7月末(2021年)の段階で、プーチンがまだ千島列島の「前代未聞の興味深い」オファーで、日本の興味をそそろうとしていたとしたら、アフガニスタンを背景に、全てが急変し始めました。しかし、それがどう関連しているのでしょう。
まず、何が変わり始めたかを具体的に紹介します。我々(FSB)は、第二次世界大戦中の日本軍の司令官であった山田乙三の尋問データの機密指定を解除しました。当初、8月8日(2021年)の時点で、ロシアのマスメディアは、日本が1938年からソ連との戦争の準備をしていた、攻撃の計画が練られていた、資金流用が行われていたなどと、かなりケチをつけていました。
しかし、8月16日、ロシアのメディアは文字通り爆発し、同時に機密解除された文書について全く別のトーンで論じたのです。
日本軍はソ連人捕虜にひどい生物実験を行い、ソ連人捕虜を極めて粗末に扱ったというのです。
囚人拷問に使われたペストシラミの詳細があちこちに書き込まれていました。
国際プロパガンダの主役であるロシア・トゥデイ(RT)もそれに参加していました。
実はFSBには、ロシア社会で対日情報工作を展開するという任務がありました。唐突に、突然に、ほとんど予期せぬ形で。つまり、アフガニスタンでの出来事を考慮しなければ、です。
アメリカ人は、少なくともこの状況に関しては、明らかに正しく理解していませんでした:
彼らが支持した(アフガニスタンの)政権は、アメリカ人が脱出する前に、なんとか崩壊させられた。
抵抗に合わなかったタリバンは、獲得した権威を行使するのに必要な中間管理職の不足に困らないように、終盤はペースを落としたほどでした。
バラク・オバマでさえ、自分に対する批判の嵐に嫌気がさし、自身のソーシャルネットワークのコメントを消しました。
我々は米国の可能な地政学的なゲームについて議論しているわけではなく - 我々はイメージと、何が起こっていたかの全体像について話しているのです。[トランプは勿論、バイデンを情報分野で即座に攻撃した。]
そして、ここで [ロシアの目を通すと] アメリカにとっての日本という問題が、好都合だったのです。
しかしその前に、同時期にロシア空軍がMi-8MTPR-1ヘリコプターを積極的に配備していたという話に戻りましょう。
このヘリコプターに搭載されている電子戦「Rychag-AV」の技術的な特徴を説明すると、このシステムは半径数百キロメートルにわたって敵の電子レーダーを妨害することが可能です。

そして、そのような行動の理由は、アメリカのミサイルシステムに対する恐怖であり、ごく近い内にロシアの国境(日本周辺)に迫っていたかもしれないのです。"先制攻撃 "といったところでしょうか。
米国は実際に、この地域での(作戦)計画がありました。勿論、優先順位は中国との対立の激化であり、そのピークは中国の習近平国家主席が再選を目指す時期、2023年です。
はっきり言うと、習近平はアメリカの民主化陣営の鍵となる敵対人物ですから、選挙で中国共産党のトップが勝利すれば、米中の対立は非常に熱くなります。
だからこそ、ワシントンにとって、日本の支持を得るだけでなく、中国と対峙するかなり複雑な機能を(日本に)委任することが非常に重要であると見なされたのです。
東京は、北京との間で特定のレッドラインを越えることを熱望しているわけではありません。
しかし、もし米国が日露紛争に最も重大な [もしくは正確に目に見える形で] 貢献を、すなわち日本側の勝利 [たとえそれが極めて局所的なものであっても] させた場合、日本側は自動的にワシントンに対して過大な債務を負うことになります。
そして、国内の人々の関心を、アフガニスタンでの失敗から、アジアでの成功に移すことが出来たでしょう。
ここで注意点:ロシア当局 [PolitBureau 2.0で言及されていた様に] は、アメリカに協力する全ての周辺国が、ロシアを攻撃することを望んでいると本気で考えています。(←過大な被害妄想)
日本にとって、このような仮想的な紛争における「勝利」の概念は、たった一つ:それは(第二次世界大戦からの)降伏国としてのステイタスを事実上「終わらせる」国際条約に調印し、いくつかの結果を再考することを可能にすると言うことです。
これらの成果は、純粋に形式的なものなのかもしれませんが、クリル諸島は(その目的を達成させるのには)誠に完璧に見えます。
少なくとも、状況を最大限にエスカレートさせるために、戦争の危機だと脅かしてから交渉を開始することは(ロシアでは)いつもやられていました。(結局)戦争は防げませんでしたが、ちょうどウクライナとの戦争前と同じようにです。
ロシアは東アジアで遅れをとっているので、「極東の空を黙らせる」というのは、モスクワにとって大きな意味を持つ仕事なのです。
そして、アフガニスタンの出来事によって、アメリカはクリル問題の解決に向けたプロセスを多少早めるだろう事を、クレムリンはどうやらようやく納得したらしいのです。
軍事衝突の可能性はゼロではないとされ、ロシアの情報空間では日本に対するスピンが活発に行われました。
日本人が残虐な生物実験を専門に行い、非人間性を示し、ナチズムの気質を持っていたことに賭けたのです。
そして、戦後非武装化したはずなのに、この規制に違反し、ロシアにリスクを与えていると。

(2021年8月のロシアで)見出しを飾った題:ロシアが世界を生物兵器戦争から救った、日本によるソ連への攻撃準備の証拠を機密解除した、など。

イランのメディア8/16/21の記事

軍事衝突となった場合、勝利の電撃戦となるとは、あまり信じられていませんでした。どうやら、それがあの時あの場所での戦争が始まらなかった理由らしい。[当時--2021年の夏--誰もそれを信じていなかったし、ウクライナとの戦争も信じていなかった]。
しかし、全体としては、指導層の狂信的な戦争への欲望によって、ロシアにとって戦争は避けられないものでした[プーチンだけではありませ
ん]。これは今日決定的に明白になったことで、当時は狂気のレベルを過小評価していたに過ぎなかったのです。

スプートニック 8/20/21の記事

2021年8月にロシアのメディアに掲載されたこのような参考文献はもっとたくさんあります。

そして、今その方向からの戦闘準備ユニットの大部分はウクライナに再配備されました。

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