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アゼルバイジャンとカザフスタン大統領会見から見るテュルク系民族

8/26/22 カミル・ガリーヴ(@kamilkazani) のツイートの翻訳です。

アゼルバイジャン大統領とカザフスタン大統領の興味深い対話。ロシア語ではなく、それぞれの母国語で会話しているのだ。どちらもテュルク系の言語だが、異なる言語小集団に属している。アゼリ語はオグズ語、カザフ語はキプチャク語。だから、発音もずいぶん違う。

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オグズ語圏はウズベキスタンのフワラズムから東トラキアまで広がっている。トルコ語、アゼリ語、トルクメン語が最も多く話されている。オグズ語はキプチャク語よりも荒い発音をする。

キプチャク語圏は、南東部のキルギスから北西部のタタールスタンまで広がっており、コーカサスにも多くの飛び地がある。キプチャク語のアクセントはかなりソフトだ。私の目から見ると、アナトリア・トルコ語は、タタールを知らないロシア人がタタールを話そうとしたように聞こえる。

もう一つの著名なグループはカールクである。大きな言語は2つだけだ。ウズベク語とウイグル語。ウズベク人の知人には、自国の方言よりもウイグルの方がはるかに理解しやすいという話もある。

オグズ語、キプチャク語、カールク語は相互理解が可能だが、チュバシ語はそうではない(相互におかしな音ではありますが)。タタール人はカザフ人や、アナトリア・トルコ人であってもゆっくり話せば理解できる。私達はチュバシュ語を理解することができません。

チュバシュ語が孤立しているのは、古ブルガリアの最後の名残りだからだ。古ブルガリアの滅亡に伴い、ある集団はドナウ川へ、別の集団はヴォルガ川へと移動して行った。1400年頃までにドナウのブルガール人はスラブ語(=ブルガリア語)に、ヴォルガのブルガール人はキプチャク語(=タタール語)に移行している。チュバシュ族だけが、ブルガリアに移住しなかった。

オグズ語、キプチャク語、カールク語、オグル語(=チュヴァシ語)の他に、シベリアの言語もある。しかし、他の言語と異なり、イスラムのやペルシャ語・アラブ語の語彙を共有していないため、より遠い存在となっている。

トルコ系文化圏の多くはペルシャ系が多い。だから、彼らは「スタン」ゾーンに属し、このペルシャ語の作品を正式な国名に採用している。唯一、古代テュルク系の国名を守っている国がある。マリ・エルだ。興味深いことに、彼らはフィン・ウゴル族である

マリはヨーロッパで最後の本格的な異教徒であり、今でも神聖な森で礼拝をし、ガチョウを神に捧げているのかもしれない。しかし、その歴史はあまり知られておらず、一般に誤解されている。

現在、マリ族はマリ・エル共和国に集まっているが、16世紀にロシアの征服から逃れてきた現在のバシコルトスタンにも大きな飛び地を持っている。1500年頃には、おそらくもっと多くなっていただろうが…

カザン・ハン国の人口の大部分は、おそらくフィン・ウグリの人々であり、トルコ文化やイスラーム文化の影響を部分的にしか受けていない。彼らがイスラム教に大量に改宗したのは、後のことである。少なくとも、文書化されている部分は、ロシアによる征服のずっと後、18世紀ごろから始まっている。

これはあまり知られていない、やや直感に反する話である。ヴォルガ川中流域の大規模なイスラム化は、予想されたようにイスラム教の勢力下で起こったのではなく、数世紀後のイスラム教が二流宗教で迫害されていたモスクワ・ツァルドムやロシア帝国で起こったのである。

ヴォルガがイスラム教になった経緯については、次回、詳しく説明する予定。終

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