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ロシア検察、クリミア・タタール人指導者ナリマン・ジェリャルと拷問を受けた従兄弟2人に15年の刑を要求

ハリキウ人権保護団体の8/19/22のニュースの翻訳です。写真:(左)Nariman Dzhelyal, (中央)Aziz Akhtemov (右)Asan Akhtemov クリミア連帯より

ロシアの政治ショー裁判の「検察官」は、有名な人権活動家でありクリミア・タタール人「メジェリス」の指導者であるナリマン・デジェリャルと、市民ジャーナリストアサン・アクテモフとその従兄弟アジズ・アクテモフに対して15年の刑を要求した。 「検察官」であるローマン・ロボフは、男性達の関与はおろか、妨害行為の証拠すらないにもかかわらず、男性達の「有罪」が証明されたと主張した。 容疑と申し立てられた「妨害行為」は、独立した弁護士に会うことを禁じられている間に2人のいとこから拷問で聞き出した「自白」と、完全に秘密の3人の「証人」の想定された「証言」だけに基づいている。

この「裁判」は、ロシアが支配する「クリミア高等裁判所」で行われている。同裁判所は既に、デジェリャルの(クリミア人自治組織)メジュリスの同僚であるアクテム・チイゴーズを含む他のウクライナ人達に対しても意図的に非難される判決を下しているのである。 8月17日、ロボフは最終“討論”を開始し、「裁判所」に対して、3人に15年の刑を科すこと、最初の3年間はロシアの最悪の刑罰施設である刑務所で過ごすことを要求した。更に、占領下のクリミアにあるペレバルネのガス管に妨害工作を行ったとされる事件で、実際に被害があったという証拠は何一つ提出されていないにもかかわらず、一人当たり60万ルーブルという高額な罰金を要求してきたのだ。 更に、この立証されていない犯罪の被害者であると主張するクリミア・ガス・ネットワーク社に対して、各人から35,000ルーブルずつ、合計105,000ルーブルを要求している。

ナリマンの妻、レビザ・デジェリャロヴァは、ロボフが事実上、起訴内容を繰り返しただけだと指摘した。 ロボフは、実際の証拠や、「自白」は拷問で得たものだと明言した本人達の証言は引用していない。 実際、デジェリャル被告の弁護士の一人、ニコライ・ポロゾフが指摘するように、この事件には文字通り、ビデオ映像も、DNAも、それに類するものも、何一つ重要な証拠がない。「 証言」を確認できない、被告を見たこともないような「秘密の証人」が3人いるだけである。 また、自分の選んだ弁護士と接触することなく不法に囚われの身となり、欧州人権裁判所の介入でようやく接触が許されると、即座にそれ(自白)を撤回した男達の『自白』もある。

注目すべきは、二人が証言を撤回した後、アクテモフ夫妻の罪状が著しく重くなったことである。その後、証拠がないにもかかわらず、更に多くの容疑がかけられた。 3人はいずれも、組織的集団の一員として破壊工作を行った罪(第281条第2項a - 12年から20年の刑を科す)と、組織的集団の一員として爆発物を不法に購入、譲渡、所持した罪(第222条第1項第4項 - 10年から15年の刑を科す)に問われている。 11月8日には、組織的集団の一員として爆発物を密輸した罪(226条1項1号、禁固7年から12年)と、「クリミアのガス網に多大な損害を与えた(約1425米ドル)」罪が追加された。 ポロゾフは12月に、彼らが、(その結果生じたとされる)軍部隊へのガス供給削減が「ロシア連邦の防衛能力に対する攻撃」にあたると主張していることも報じた。 ポロゾフは、この起訴状はスターリンの「テロ」の際に使われた資料を彷彿とさせると指摘した。

ナリマン・デジェリャルはクリミア・タタール人の自治組織であるメジリスの第一副首席として、ロシアが迫害し、祖国への入国を禁止していない唯一の著名なメジリス指導者であった。 2021年8月23日にキーウで開催された国際クリミア・プラットフォーム設立総会に参加し、45カ国の高官と会談し、ロシア占領下の弾圧について公然と発言した後、彼も政治的迫害を受けるのではないかと長い間懸念されて来た。 彼はそのわずか10日後に逮捕されたが、このタイミングは、ロシア連邦保安庁がこれが復讐であることを隠す必要がないと考えたことを示唆している。

破壊行為の疑いがあるのは、クリミア・プラットフォームの会議と重なり、その日の報告書では、せいぜい破壊行為の疑いがあると示唆されている。妨害行為とは、重大な損害を与えるか、恐怖を与えることを目的とする。 しかし、この事件では、ガス管が破損したのであって、中央回路にあるわけでもなく、簡単に修理できるものだった。 しかも、ガスの供給が止まっても不便を感じないような、夏の時期に行われた。

おそらく、これは「裁判所」が検討することを期待できるものではないが、このケースの 3 人の「裁判官」は以下の通り:Viktor Ivanovich Zinkov(裁判長)、Aleksei Viktorovich KozyrevとSergei Nikolaevich Pogregniakは、弁護側が検察側のケースに大きな欠陥を示すことを積極的に妨げ、2人のアクテモフと同時に誘拐された他の2人のクリミア・タタール人は拷問を受けて「自白」したという有力な証拠を無視しようとしているようである。 アクテモフ夫妻は、彼らが受けた電気ショック、殴打、模擬処刑、そして若者の家族への直接的な脅迫について説明した。 他の2人も、検察側に呼び出されたものの、先に行われた「証言」は強要によって得られたものであることを明らかにしている。

しかし、検察と「裁判官」の協力が最も衝撃的だったのは、唯一撤回されていない「証言」が3人の「秘密の証人」によるものであるという事実である。この3人の「秘密の証人」の身元を明らかにしないことに何の説得力もなく、「裁判所」は彼らの嘘を証明するための弁護側からの質問を積極的に妨害している。

次の審問は8月24日に予定されている。

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