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表情はつかわなくてもだいじょうぶだよ

嬉しいから笑うのではなく、要件を伝えたいから笑うという、実に頭のよろしい赤ちゃんに出会いました。にんげんってふしぎです。

私は最近、保育園で保育士さんのお手伝いをする仕事をしています。資格はないパートさんです。なので専門的な知識はないのですが、縁があって働くことになって、もともと好きな子供たちとワサワサ戯れることができてとてもしあわせです。

働いてみて気が付いたのですが、子供って素直で、好奇心旺盛で、なんにも分からない真っ白な存在、、、というイメージが勝手にありましたが、そうでもありませんでした。

たしかに、子供や赤ちゃんというのは、本当に素直で優しくてかわいくて新しくて、素敵な存在ではあるのですが、ちゃんと、ちゃんと人間なんですよ。大人の喜ぶことはなにか、目の色をしっかりうかがっているんです。(もちろん、もちろん人それぞれなんですが!)

まだ人生1-2年目くらいの女の子がいました。

小さくて、ぽたぽたと歩く、笑うと本当に天使みたいにきらきら輝く明るい女の子です。でもちょっと淋しがり屋さんで、優しい先生がいるとぱっと追いかけて取られまいぞと膝の上に乗っかってくる子なんです。

その子が笑うと、撃ち抜かれるほどかわいくて、誰もが抱きしめたくなるし、なんでもしてあげたくなる。そうゆう雰囲気の持ち主です。(羨ましい)

でも、その子がある日ヘソを曲げてしまって(もっとおもちゃで遊びたかったのに給食の時間になってしまった。)ご飯を全く食べなくなってしまったんです。デザートしか食べない。本当にご飯に一切手を付けない。

「美味しいよ?後でお腹すいちゃうよ?」

なんて声をかけても食べません。そのかわり、笑うんですな。

「へへっ」と言って笑うんですな。あの天使みたいにかわいい顔で。しかも何回も何回も、連続的に「へへっ」「へへっ」って笑うんですな。

そんで目はぜんっぜん笑っていないんです。ただただ「私は食べませんよ」と穏便に伝えたいようなんですね。笑えば大人は怒りませんから。おまけに友達を指さして〇〇ちゃん、〇〇ちゃんって名前を何度もいうんですね(赤ちゃんなので日本語はまだほとんどしゃべれません。ぱぱままくらい)。それは大人に「そう〇〇ちゃんだね、おともだちの名前覚えたんだね、すごいね」と言われたいから、そうしてご飯のことから話題をそらしたいから、そう連呼しているように、、なんだか見えてしまうんですね。考え過ぎかしら。

でも、子供のこと、まだ何もわからない存在なんて思っちゃいけないと学びました。小さいけれど、いろんな人とかかわって、うまくやっていく方法を自分なりに試して、身に着けて。なんとかして空気を読んだり、大人の目の色をうかがったり。都会の真ん中にある保育園っていうのもあるのかもしれないんですけど、驚きです。感心しました。

でも、もうちょっとのびのびと育っていってほしいなあなんて、なんの資格もないけれど思いながら接しています。できれば、めちゃくちゃ嬉しいときに笑ってほしいし、不服にギャン泣きしてほしい。表情を道具みたいに使わなくてもいいんだよと伝えたい。

おとなだって、そんなことばかりしていたら疲れちゃうんだから。
というか、表情を道具みたいに使うことが疲れるということを知ってほしいですよね。

人間を育てるって、すごい難しいことなんですね。

ちなみにその子は、なんだかんだお腹が空いていたようで、ちゃんとご飯を食べて無事寝ました。

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