【短編】命の長さ

生まれるときを選ぶことはできない。
死ぬときも選ぶことができない。

好きなことを一生懸命頑張って、思いっきり笑って、大好きな人たちに囲まれているとき、ふと思うこと。

今、この瞬間に死ねたらいいのに。

神さまはそんなにやさしくない。
簡単に死ぬことを許してはくれない。

幸せの中にいるとき、ふと死にたくなることがある。

今の幸せの裏に、見えない陰に潜んでいる悪魔がいて、虎視眈々と私を不幸のどん底へ突き落とそうとチャンスを窺っている。

生きたくても生きられない人がいる。
病気で苦しんでいる人もいる。
健康で、平凡に毎日を過ごしている私が死にたいと思うなんて、毎日死ぬことばかり考えているなんて、きっとおかしいと思われるだろうし、もっと前向きに、真剣に与えられた命を生きることを考えなさいと言われそうだ。

でも、これは今に始まったことではない。
子どものときから、いつも頭の片隅に、不幸な結末を迎える自分が住んでいて、それはまるで終わりのない映画のように何度も何度も繰り返し目の前に浮かび上がってきて、いつか本当にそうなるんじゃないかと怯えて生きてきた。

この夜に、笑顔のままベッドに潜り込み、そのまま静かにゆっくりと自然に呼吸が止まって、朝を迎えることができたらどんなに幸せだろう。

今夜も静かにベッドに横たわり、胸の上で指を組んで神さまにお祈りした。


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