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お金の話②~複利のチカラと分散投資

前回に続き、お金の話第2弾。

複利のチカラ~投資の極意

前回「つみたて投資」で、時間を味方につける「ドルコスト平均法」などについて書いたが、時間を味方につけるのは、リスクの分散だけではなく、投資を続けることによる「複利のチカラ」を利用することも大きい。「複利」とは何だろう?以下に分かりやすくまとまっているので紹介したい。

複利
複利とは、「利子にもまた利子がつく」ということです。
たとえば、100万円を年利3%で銀行に預けた場合、1年後には103万円になります。では、この103万円をそのままもう1年預けた場合、いくらになるでしょうか。
答えは、106万円ではなく、106万900円です。1年目の利子3万円にも、2年目に3%の金利がつき、これが900円になるためです。

複利の効果は、金利が高いほど、期間が長いほど、大きくなります。下のグラフが直線ではなく、上に反る形で上昇していくのは、複利(利子にもまた利子がつくこと)のためです。

「知るぽると」金融広報中央委員会サイト
複利の力(出所 「知るぽると」)

かのアインシュタインも、「人類の最大の発見は、複利である」と語ったとか。この「複利効果」を最大限利用するには、できるだけ「長く」投資を続け、お金を増やすことが大切だ。そして、投資の「原本」を増やせば増やすほど、得られる利子も多くなり、投資総額が増える。そのためには、利子や配当が得られたとしても、それを「臨時収入」として受け取るのではなく、投資の「運用原本」(タネ銭)に回すことがとても重要になる。

卵を1つのカゴに盛るな~分散投資の必要性

もう一つ、投資をする上で大事なのは「分散投資」という考え方だ。お金(資産)の管理では「卵を一つのかごに盛るな(Don't put all eggs in one basket)」ということわざがあるが、性質や値動きの異なる複数の資産に分散することがリスク管理上、とても大切だ。そこで必要なのが「対象」と「時期」の分散だ。

[ 対象の分散 ]
「対象の分散」とは、投資の対象を、異なる性質を有し、価格の動きが異なるものに分散することです。

「知るぽると」金融広報中央委員会サイト
このような対象に分散することにより、投資対象の価格の動きが打ち消し合うなどにより、保有している資産全体のリスク(価格のフレ)を減らす効果が期待できます。(出所 「知るぽると」)

対象となる投資商品として、株式、債券、不動産、コモディティ(金など)、預金などが主な選択肢となる。また、同じ株式や債券でも、上図のように、「地域」を分散することも必要だ(例:日本と海外、先進国と開発途上国など)。

一方、こちらは前回「りんごの話」で紹介した「ドル・コスト平均法」の考え方。

[ 時期の分散 ]
「時期の分散」とは、投資する時期(タイミング)を分散することです。
価格が変動する金融商品を買う場合、時期によって価格が異なるため、買う時期を誤ると大きな損失を被ります。
こうしたリスクを軽減する方法として、たとえば「定期的」に「一定額」で、価格の動きに関係なく価格変動商品(たとえば株式、外貨建て資産など)を購入していく方法があります。「定額購入法」といいます(「ドル・コスト平均法」と呼ばれることもあります)。

「知るぽると」金融広報中央委員会サイト
出所:「知るぽると」

投資はどうしても「最安値で仕入れ、最高値で売りたい(=最高の状態)」と思うのが人間の常だが、時期の分散を行うことで、「最高値で仕入れ、最安値で売る(=最悪の状態)」リスクを回避することができる。つまり、「リスクを平均化」することができる、という考え方だ。

日本にはまだ「投資はキケン!」「怖いから一生銀行預金で」という人が多く、現金・預金に偏っているのが現状。2021年8月実施の日本銀行「資金循環の日米欧比較」では、日本人の個人資産の54.2%が現金・預金だという(同米国13.3%)。また株式は10%、投資信託に至っては4.3%(同米国37.8%、13.2%)。ただし、上述のように、投資は「対象」と「時期」を分散し、できるだけ長期保有することで、様々なリスクを回避することができる。

コストとうまく付き合う

これまで「投資をすべき理由」について述べてきたが、投資にはリスク以外にコストも伴う。投資をする上で、想定されるコストは以下の通り。

お金を金融商品で運用する場合、さまざまなコストがかかってきます。たとえば購入時や解約時の手数料、運営管理費用(信託報酬など)、信託財産留保額などです。配当や売却益に対してかかってくる税金もコストです。

「知るぽると」

特に税金に関しては、株式等の売却益それぞれに対し、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率がかかってくる。20%強とはなかなか小さい率ではないが、有難いことに、今は売却時にその税金がかからない(非課税の)商品(「NISA」、「つみたてNISA」、「iDeCo」)も登場している。それらは以下の通り。

『NISA』(ニーサ、少額投資非課税制度)や『iDeCo』(イデコ、個人型確定拠出年金) を活用すれば、税金というコストを抑えることができます。「長期運用」「時期の分散」ができるしくみとなっており、「対象の分散」も行えます。

「長期運用」「分散運用」の観点からも、これらの制度の利用は有効です。「長期運用」については、iDeCoは老後に年金として受け取るために原則60歳まで運用することを想定した制度です。つみたてNISAも、運用益が20年間非課税となっています。NISAも、運用益が5年間非課税となっており、5 年経過後の継続保有にも非課税枠を乗り換えて使用できます。

「分散運用」についても、3制度はすべて「対象の分散」ができる商品が提供されています。「時期の分散」の観点からも、3制度はすべて投資時期を分散でき、「定額購入法」を採用できます。

「知るぽると」

残念ながら、現在海外在住の私はこれらの制度をまだ利用できていないが、20%の非課税枠は大きいので、帰国した暁には利用したい。そして「これは?」と思うものがあった皆さん、まずは、「証券会社に口座を開設する」ところからお勧めしたい。それが「初めの第一歩」である。


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