コーヒーと、タバコと、微笑みを。 ー「LUCKY」
英語とスペイン語が飛び交う、アメリカ南西部の街で過ごすラッキー。90歳。毎朝起きたら欠かさないのが、ヨガとエクササイズ。行きつけのカフェでコーヒーを飲みながらクロスワードを解き、ドラックストアでタバコを買う。
家に帰ると、クロスワードの続きをやりながらクイズ番組を楽しむ。特に代わり映えのしない、ラッキーの毎日が淡々と描かれます。頑固で厄介なおじいさんですが、街のみんなから愛される人気者です。
ラッキーは多くを語りません。説明的なセリフはなく、彼と彼が出会った人々との会話だけで構成される本作。心理描写が少ないので、ラッキーの過ごす日々を、第三者として傍観しているような感覚です。
ある日のこと。朝コーヒーを飲もうとしたとき、ラッキーは自宅で一人倒れてしまいます。原因は加齢。
タバコをふかしても、たくさんお酒を飲んでもピンピンしていたラッキーですが、年齢による衰えからは逃れられません。これを機に、ラッキーは自分に近づきつつある「死」について考え始めるのです。
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人生とは、なにか
ラッキーがみつけた答えとは**
死について考えるラッキー。物語終盤で、行きつけのバーでタバコを吸おうとすると店長に注意されてしまうのですが、その時、彼の口からこんな言葉がとびだしました。
It's all going to go away. (全て、どこかにいってしまうんだ。)
You, you, you, you, me, this cigarette, everything... into blackness, the void.(おまえも、おまえも、おまえも、おまえも、俺も、このタバコだって全部… 真っ暗闇の中に。「無」に消えるんだ。)
現実主義者で無神論者のラッキーが出した、死に対する解釈です。
And what do you do with that? (じゃあ、どうすればいいの?)
その言葉を聞いたバーの店長が問いただします。この問いに、ラッキーは何と答えるのでしょうか。
この作品は、主人公を演じたハリー・ディーン・スタントンの遺作です。脚色があるとはいえ、撮影時実際に90歳だった彼が主演をつとめ、彼の等身大のありのままを描いています。
ちなみに、ラッキーが導き出す答えには、本人の経験も取り入れられているそうです。この物語を通して、ラッキー、そしてハリー・ディーン・スタントンの人生に出会えてよかったです。
予告編(日本版) https://www.youtube.com/watch?v=2KLLkj84GAo
こちらの記事は、映画メディア「OLIVE」にも掲載しています。
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