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研究者のいらぬ見栄?後継者を困らせないで…

ゆーです。

前回に引き続き、研究者のちょっと悪いクセを書きます。

大学で働いていようが、企業で働いていようが、社会人だろうが、学生だろうが、研究に従事してる人はみんな、報告書って書きますよね?
形式は、文字がメインだったり、図や式が多いっていう場合もあったりで、様々だとは思うんですけど、必ず書いてると思うんです。

で、昔から思ってるんですけど、しょうもないデータとか、残念だったデータって書かれないことが多いんです
注:ものすごく大事なことなので、きちんと書いておきますが、これは決して、悪いデータを隠蔽してるとかそういう話ではありません。悪いデータは、“悪い”という意味を持つので、絶対に隠してはいけません。これは倫理的に大きな問題です。大事なことなので、もう一度。“悪いデータ”を絶対に葬り去ってはいけません。

例えばですね、わかりきってることの検証などがそれにあたります。
水に大量の氷を入れると0度付近まで下がります。(正確ではないので、あえて“付近”と書いてます。)
でもこれって研究者じゃなくても、多くの方が知ってるものじゃないですか?
それをお金使って大真面目に「検証しました!」なんて言いながら、報告書に書いてあったら、「大切な資金使って何やってんの?」って怒られます。
まぁそりゃそうです。
なので、書きませんね。
これは問題ありません。(検証したこと自体は無駄なので、問題ですが。苦笑)

このほかに、誰も気にならないだろうという判断のもと、自分が気になる仮説を検証した実験結果が記載されないことがあります。
これの扱いは少し難しい。
自分の仮説が、あまりに雑な設計になっていたりして、誰が見ても「そんなのうまくいくわけないでしょ!」みたいなやつ。
これ、恥を晒さないといけないので、載せたくない。
問題は、恥をかきたくないけど、そもそも恥をかくほどのレベルなのか、その判断ができない
こういう時、どうしても記載しないことが多いです。
まぁほとんどのケースで、その判断は正しく、恥ずかしい想いをしてしまうので、仕方ないんですかね…。
ただですね、エジソンでしたっけ?
失敗したのではなく、うまくいかない方法を見つけた」って言ってたのって。
ホントこれで、うまくいかなかったことは後になって、役に立つこともあるので書いておいた方がいいかと。

ちなみに、学生時代ボクは一応、全て載せてました。
後輩にも載せるように言ってました。
その挑戦心を、先生はかってくれてたみたいで、どんどんやらせてくれましたし、ありがたい存在でした。
おかげで、トライ&エラーの精神だけは定着しましたね。

話を戻しますと、もう一つ、最も良くないケースがあります
企業なんかで良くあるんですけど、社内向けの報告書に書くか書かないか問題です。
社内向けなので、社員間の情報共有なんかがメインの目的になるんでしょうか?
ただですね、これ「自分たちは、ちゃんと考えていて、しかも結果まで出してるんだぞ!」っていうアピール合戦になりがち

え?社内で?無駄ちゃいます?
でも、結構な数の企業がコレやってますね。(いろんな企業で聞きます。)
社外向けじゃないですし、もちろん製品化するときにはきちんと必要な全てのデータ(必要なネガティブなデータも)を取るので、社会的には何も問題はない。

ただね、社内向けで、基本的に問題にならないからって省かないで欲しいんですよ。
企業でやる実験の多くなんて、よっぽどでない限り本当に無駄なデータなんて無いんです。
つまりですよ?
良いところしか報告書に書いていないと、うまくいかなかったのはやらなかったのと同じ扱いになる

でも、やらなかったというのは、第三者から見ると、うまくいくのか・いかないのか、それすらわからない。

そうなるとですね、担当者が異動していなくなり、もし研究が引き継がれてしまうと、後任の人は状況を把握できない
「ん?どこから確かめれば良いんだ?これはやったのかな?」みたいな。
時間もお金も無駄ですし、あとで「あーそれやったよ。うまくいかないよねー。」とか言われることも。
「“うまくいかねー”じゃねー!ちゃんと書いとけ!」って心底思うので、やる気も無くなります。

いや、ホントこれね、細かいことですけど、小さい話じゃないんです…。
社内向けなのに、アピールしたいという理由だけで、結果的に他人の生産性を下げている
勘弁してよ…ってめっちゃ思います。

なので、ボクはきちんと書くべきだと思ってますね。
仕事なんて、自分だけで完結しないこと、多々あるんでしっかり記録して共有しましょう!

そうした方が、結局みんな楽です。

しょうもない見栄のために、他人の足を引っ張るなんてあってはならない。
研究に限らず、どんなことでも面倒ごとを作らないようにして、きっちり取り組みたいものです。

気づきなどのきっかけになれば幸いです。やはり応援していただけるのは、ものすごく嬉しいですし励みにもなります。またぜひお立ち寄りいただければ… (いただいたサポートは、今後の活動資金にさせていただきます。何かしらの形で還元させていただければと思ってます。)