スピッツへの愛を語る②歌詞編
前回、スピッツを好きな理由の1つとして「あまのじゃくな歌詞が良い」と挙げた。
前回の記事に、歌詞を引用して、いちいち感想を述べていると、「こんなに読んでいられるか!」というくらい長くなりそうなので、ココで別出ししようと思う。
あらためてスピッツの歌詞を振り返ったところ、たしかにあまのじゃくなところが多いのだけれど、上手く例えてるな〜とか、もはや詩人だわ!と感動してしまう歌詞もあるので、いくつか紹介したい。
【あまのじゃく編】
好きなコに対して、美人じゃなくて、魔法もなくて、バカって言っちゃうところ。
しかも「すべて許してやろう」なんて、なんて上から目線。
しかも、夢に辿り着くまで、あくまでも少しずつ進むらしい。
普通は「夢に向かって全力で突き進むのだ」くらい言い切ってしまいそうなところなのに。
普通なら「君を愛したい」とか「君を守りたい」とか言いそうなところ。
「ジャマしたい」……。
しかも辿り着くところが、「美しい世界」や「輝く世界」ではなく、「ざらざらの世界」。
「世界中が口を歪める」あたりがいかにも祝福されていないラブソングだし、一応着地はするらしいけれど、「ゴミ袋」で受け止めてもらったら、それで良いらしい。
しかも、アルバム発売当時のゴミ袋は、たしか、真っ黒の、いかにもゴミです、といったものだったはず。
「普通なら」を連発しすぎてしつこいけれど、普通の歌詞なら、翼が生えてそのまま飛んでいってしまうのではなかろうか。
「間違えたステップ」って書いてしまうところが、また、あまのじゃく全開。。
好きな君に自分の言葉を刻み込んでほしいから、あえてキズつけちゃう。
たしかに、耳障りの良い言葉はすぐに記憶からこぼれ落ちる。
(これで解釈あっているのかな。)
こちらもしっかりひねくれている。
ちなみに、タイプ・ドンピシャのマサムネさんに、目の前で、猫になって夜じゅう君の腕の中にいたいなんて言われたら、私はきっと鼻血をふいて倒れてしまうと思う。
もう、何も言うことはない。
あまのじゃくだよ。
ひねくれているよ。
一度、流れるところまで流されるのだけれど、「美しい」鰭で抗ってみせる…。
コレも一筋縄ではいかないひねくれた歌詞だけれども、かすかな前向きさが感じられる。
2023年の映画「名探偵コナン」の主題歌。
(つまり、今のところ最新曲。)
私はこの歌詞にたびたび勇気づけられる。
まだまだ書けそうだけれども、キリがないのでこの辺で終わらせておこう。
しかし、こんなにあまのじゃくな歌詞を書いてしまうアーティストは、そういないように思う。
この掴みどころのないかんじが、魅力の1つである。
【詩人編】
「歪みを消された 病んだ地獄の街」とか「切れそうなロープ」とか「骨だけの翼」とか、【あまのじゃく編】に入れようか迷うところだったのだけれども、最後のサビが染みたので、【詩人編】に。
「君に見せたい」のが、「満天の星空」でもなく、「宝石のような夜景」や「美しい花畑」でもなく、夜明け前のインディゴブルーの空。
マサムネさん独特の感性が垣間見える歌詞。
初恋したとき、初恋でなくても新しい恋に落ちたときの心情を、とてもうまく例えていると思う。
「そうそう、私もこんなかんじだった!」と、初めて聞いたときに思った。
歌詞からは逸れるけれど、イントロのピアノが良くて、オススメの1曲。
漫画「先生!」原作の映画「先生!好きになってもいいですか?」の主題歌。
「フタが閉まらない」とか「タマシイ色の水」とか「君の耳たぶに触れた感動だけを」とか、純粋で、ロマンチストすぎる。
でも、やはり全体的にはマサムネさん独特のセリフ。
他にはあまりない表現の仕方、そして、やはり一筋縄ではいかない(ひねくれた)内容。
ちなみに、映画は見ていないのだけれども、ちょびっと少女漫画ヲタクの私は、この漫画が大好き。
好きなコの声が聞こえると、とっても嬉しい。
好きなコの声は、活力になる。
それは、戦闘機よりも力強く…。
といったかんじだろうか。
これもすごい比喩だな、と感じる。
「夏が終わる」の歌い出し。
これだけで、あぁ、夏が終わるんだなぁ…と、タイトルそのまんまだけれども、感じられる。
聞いているこちらも、なんだかちょっと涼しい。
自然をうまく取り入れているところも、マサムネさんの歌詞の魅力。
【引用すっとばし!すべてが詩人編】
全体的に比喩やら使う言葉やらが凄すぎて、全部を引用しなければならなくなってしまう楽曲。
当然、すべてを引用してしまうと長くなってしまうので、タイトルと、私が解釈した概要だけ載せようと思う。
「愛のことば」
私はこの楽曲は、戦争について書かれたものだと思っている。
ミュージックビデオの影響があるのかもしれないけれど。
最初に聞いたときは、歌詞についてはあまり何も感じなかったのだけれど、聞けば聞くほど、暗に戦争のことを書いているように感じられるのだ。
「焦げくさい街の光がペットボトルで砕け散る」
この「ペットボトル」は、爆弾のことを指しているのだと、私は思っている。
「みなと」
この楽曲は、ファンのあいだでも言われていることだけれど、東日本大震災について書かれたものである。(はず。)
津波が、とか、地震が、とか直接的な表現は何もない。
でも、発売日に購入して、2回聞いたあとに、私は確信した。
あとからネット検索したら、同じようなことを考えた人はたくさんいたようで。
東日本大震災が起こってから、色んなアーティストが、被災者をはじめ日本を元気にしようと精力的に活動しているなかで、スピッツのマサムネさんは急性ストレス障害と診断された。
東日本大震災の影響。
被災していない人が、自分ではどうしようもない絶望的な災害の様子に触れ続けることは良くない、しんどくなったらいったん情報から離れましょう、と最近ではよく注意喚起されること。
当時、マサムネさんのニュースが流れたときに、母にこんなことを言われた。
「他のアーティストはこういうときやから精力的に活動してるのに、あんたのマサムネさんは…繊細やな。」
仕方がないではないか。
世の中、色んな人がいる。
一般人でも、真っ先にボランティアに駆けつける人もいれば、火事場泥棒みたいな人もいるし、アーティストだってさまざまだ。
それに、いくら災害時に元気や希望を届けるような活動をしていたって、違法なクスリをしていたり、不倫をしていたり、など、身近な人を傷つけているのであれば、それは本末転倒だ。
「みなと」が発売されたのは、2016年。
東日本大震災は、2011年。
マサムネさんは、マサムネさんなりに、東日本大震災に思いを馳せていたのだ。(と思う。)
【最終章 ドン引き編】
まず、「君」をけなしすぎ。
バースデイにプレゼントをあげるくらいだから、彼女か好きなコなのだろうけれど、乙女のバースデイに「ごついハンティングナイフ」をあげるなんて、いったいどういう神経をしているの!?
……と、恋に恋する高校1年だか2年だかの私は衝撃を受け、数年間「スピッツは大好きだけれどキライな曲」認定してしまった楽曲である。
この認識は、かの「最前列ど真ん中」を当てたライブで演奏され、その独特の世界観(演出)をもって覆されたわけだが。
大人になった今の私は、「彼」はそのけなしまくっている「君」の短所(?)を魅力的に感じていたのだろうし、ハンティングナイフが似合う女の子なのだろうし、彼氏が彼女に何あげたっていいよね〜と、多様性の時代のもとに、そう感じるようになった。
【さいごに】
長い長い記事になってしまいましたが、スピッツのマサムネワールド、いかがでしたでしょうか?
ベストアルバムをかじるだけでは味わえないスピッツの世界を感じていただけたら嬉しいです!
(あわよくば、聴いていただけたら、なお嬉しいです!←身内か。)
後日、(たぶん)カンタンに「タイトル編」を書けたらと考えています。
少し気になるのが、もし、ファンの方が読まれたときに、「その解釈はちがう!」とか「魅力を伝えきれていない!言葉足らず!」と不快にさせてしまったら申し訳ないです…。
でも、作詞のマサムネさん本人が、メンバーに対してさえ、「(歌詞の解釈は)自由でいいよ」と言っているらしいので、おおらかに見守っていただけると幸いです。
そして、やはり、好きな物事を語るときは、筆(指先)がすべるすべる……。
つい、キャラが変わってしまいます…。
楽しすぎて。(私が。)
内容までスベっていないと良いのだけれど。