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NineSols:とびきり丁寧に作られた高難易度タオパンクアクション

ようやくリリースされましたね!タオパンクアクションNineSols(ナインソール)。2022年のSteam Next Festでデモ版を遊んで以来ずっと待ち続けていました!長かった……!けど、待っていて良かった!

難易度は全編通してノーマルモードでプレイ。トゥルーエンドまで30時間ほどでした。

NineSolsのアートには一切の妥協がない

パリィで銅鑼が鳴るのがオシャレ

本作で最も目を引く要素が世界観とそのアートワークです。開発自らがタオパンクと呼ぶ道教とSFが融合した世界は、奇妙さと美しさが同居しておりどこか退廃的。特に各所に散りばめられた色彩や文様は素晴らしく、回路基盤や人体を中国伝統の模様のように昇華させています。

ストーリーは最初はわけが分かりませんでした。しかし中盤以降、新崑崙とは何か、故郷の蓬莱に何が起きたのか、災禍とは何か、猿人とは何か、妹はどこにいるのか、と謎が明らかになると激的に面白くなっていきました。ストーリーを補完するフレーバーテキストも十分で、これを見るのが探索のモチベーションのひとつでしたね。

道教らしく太極図のモチーフがチラホラ

ストーリーの内容は道教の思想に忠実だと感じました。行き過ぎた科学によって起きた諸々の災厄をなんとか元に戻そうというもので、老子の『無為自然』ぽいな~と思いました。復讐に燃えていた羿が仲間との交流を通じて、喧嘩別れしてしまった妹を理解し、道(タオ)に戻っていくのがすごくカタルシスがありましたね。ボスキャラにも自分の道があり、その道同士がぶつかっていくのが良かったです。安易に妥協して勧善懲悪に走らなかったのはえらいです。

イベントで挿入されるコミックも良い感じで、2Dのアニメーションでは表現しきれない迫力を見事にカバーしています。全編を通して世界観やストーリーを演出する上で一切の妥協や違和感を感じなかったです。

急にホラーになったり

本作は結構グロかったりエグかったりする表現が多いのですが、これも妥協していません。ザクロめいた物はしっかりと描写していますし、何よりもグロ/エグいシチュエーションが画一的ではなく多種多様です。開発者の癖、というか度し難い変態性をすごい感じました(特に各ボスの末路)。

エンドロールは楽曲がカッコよくてぶち上がる!

NineSolsはギリギリセーフの高難易度

本作は2Dのアクションゲームですが、その難易度はかなり高いです。特にボス戦が厳ついです。敵の攻撃力が高く、さらにはノックバックも強いので、一発でも喰らえばそのまま押し込まれることが多かったです。一応、回避もできますが、無敵時間が短く、攻撃が苛烈になると使い物にならなくなりました。なので、覚悟を決めて全ての攻撃をパリィする気持ちで挑んでいました。小細工なしで正面から殴り合うのが本作の最大の攻略法だと思います。

大変だったのは蚨蝶と易公。それぞれ3時間くらいかかった

マップのギミックは意地悪なものが多く、特にダメージ床の仕様が厄介です。ダメージを受けると直前の安置まで戻されるんですよね。この仕様のおかげでマップ探索のテンポが悪かったです。新アクションを手に入れて次のマップに進むタイプのゲームなので、未入手状態でのゴリ押しを防ぐためなのでしょうけど、もう少しやりようはあったんじゃないかなと思います。

では、本作は理不尽な難易度なのかと言われると……ギリギリセーフだと思います。というのも、一度攻略したボスやマップは次は簡単に攻略できるからです。つまり、プレイヤーが上達すれば攻略の再現性があるんですよね。なので、理不尽には感じませんでした(攻略中に「どうすんだこれ」と途方に暮れることは多々ありましたが……)。この辺りの手触りはSEKIRO及び、ソウルライクですね。

遊びにくいところはある

軒軒のイベントを進めると拠点が繁雑になっていく

本作には欠点、というか遊びにくい点がいくつもあります。まず、マップの詳細(残りの宝箱の個数とか)を確認できるまでが長いです。エリアによってはボス戦後なんてこともあります。これのおかげで、ボス戦に詰まったときの稼ぎに時間がかかります。ただでさえボス戦に時間がかかるのですから、稼ぎは短時間でできても良かったと思います。

稼ぎにも繋がりますが、篝火間のワープは最初から使えても良かったと思います。あのタイミングで開放されたのは正直意味がわからなかったです。本筋が厳つい分、QoL周りはもうちょっと甘々でも良かったんじゃないかなと思います。

あと、地味に呪符攻撃で相手の動きが一瞬止まる仕様があり、特にボス戦でのパリィのタイミングを狂わさせられるのは厄介でした。この仕様のせいで特に易公戦での呪符攻撃が微妙になっていました。

実績については取り返しがつかないものが結構あったので、一周(+α)で取り切れるようにして欲しかったです。流石に二周丸々はしんどいです。

大満足!

堕ちた八つの太陽と、残った一つ

2022年のデモ版のクオリティがかなり高かったにも関わらず、それから開発に2年近くかかっていることから正直心配していました。開発に時間がかかりすぎたゲームって、大体微妙な出来じゃないですか。しかも前作は返校というホラーゲームです。畑が違いますよ。

しかし、蓋を開けてみれば本作はどこまでも丁寧で、納得の開発期間だと思いましたね。価格も三千円とインディーゲームでは高い部類に入りますが、価格以上の満足感がありました!大満足です!

高難易度アクションができる方は遊んでみても良いかもしれませんね。では!また!

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