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イベント・交通・飲食 業界のビジネスモデル変容から見る「顧客が価値を決める時代」の到来

直接人に会うこと、現地に赴くこと、大勢が一堂に会すること等が制限される中、イベント業界、公共交通・運輸業界、飲食業界は大きな打撃を受けています。この記事では、事業の根幹を揺るがす状況に立ち向かう事業者の工夫について紹介し、その中で見えてきた新しい時代のビジネスの作り方についてまとめます。


人が動けない状況下での”価値”

ブライダル業界は、式場というアセットを持ち、関連するサービスをワンストップで提供するビジネスモデルです。多くの人を集めることをビジネスの前提としている為、業界としての事業継続のための業界基準設定等の工夫をしています。会合や宴会自体を否定される状況下で、結婚式の構成要素の一つであるフルコース料理を切り出して、式場周辺の世帯を含め全国にケータリングサービスを開始する事業が始まりました。同事業者は、参加者の時間や費用の負担を大幅に削減するオンライン挙式のサービスも開始しています。

公共交通の一つであるタクシー業界は、ほぼ密閉の空間で人を運ぶサービスを提供します。乗客を乗せるには徹底した除菌アピールが欠かせません。タクシー利用者は、自身が移動することで何を達成したかったのかということを見つめなおして始まったサービスが、タクシー運転手による買い物代行です。タクシーに乗らずに、タクシーに乗って達成しようとしていた買い物、薬の受領、荷物の授受が出来るようにしています。業界での動きを捉え、タクシー業界に対し貨物配送事業進出コンサルを開始した事業者もいます。

飲食業界は、食材を仕入れて、顧客のニーズに合った場や雰囲気を作り出し、飲食及び場の提供対価を受けるビジネスモデルです。テイクアウトを始めたり、来店を予約制にしたりする事業者も出てきています。「将来お店に行く」権利を売るサービスを提供している事業者もあります。食材が生産されて飲食店を経て消費者に届くまでをサプライチェーンとしたときに、飲食店の経営に響くのが中間マージンです。マージンなしで、農家(食材生産者)とシェフ(飲食店)をつなげるアプリは、飲食店経営者の経営を支援するだけではなく、最終消費者が店舗というショーケースを通じて直接シェフや生産者とつながって購入する世界を作り出していくかもしれません。


顧客にとっての価値は何か

事業者の工夫を整理すると下記のようになります。

1.サービスパッケージを分解し、競争力の高い部分を切り出して全国展開
2.地元のことを熟知しているという強みを押し出して、顧客が得られる価値はそのままに、提供方法のみを切り替え
3.消費者に価値が届くまでのサプライチェーンを分解し、各パーツを最適な形につなぎかえ

三つの事例から、これまでの価値提供のプロセスを分解して再構成し、顧客自身に価値を選び取ってもらえるようにしたことがポイントだと整理できます。すなわち、消費者にとってはより最適な選択肢が選べるようになったということですね。

小見出しの「顧客にとっての価値は何か」という問いかけは、ドラッカーの書籍の頻出ワードです。製品やサービスを一番よく理解しているのは顧客である。事業について説明がつかない好調や不調があるのであれば、理由を顧客にききなさい。という文脈です。クリステンセンのジョブ理論も、ドラッカーに影響を受けているのでは無いでしょうか。

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まとめ

目の前の顧客に真剣に向き合うからこそ、提供サービスの再定義ができたり、新しい価値を創出出来たりするのですね。

本記事作成にあたり、やわエネサークルにご協力いただきました。有難うございます。

少しでも共有できる思いがあったのであれば嬉しいです。 電気を届けるしごとに思いをはせる「白金プラチナ電設」もご贔屓に。