最大の武器は銃でも爆弾でもない、本だ。
レイ・ブラッドベリの『華氏四五一度』は、本が禁じられた近未来が描かれたディストピア小説だった。焚書によって人々が失ったのは本ばかりではなく、思考能力だったことの方に、大きな衝撃を受けたものだ。そして本作『戦地の図書館』を読んで、第二次世界大戦中、実際に行われた焚書と、それに対抗するべく戦地へと本を送った人々が存在したことに、さらなる衝撃を受けた。本書は、文字通り本を片手に戦場で戦った兵士と、彼らのために本を用意し、送り続けた人々の記録である。
第二次世界大戦時代、ナチス