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待っていたのは真夜中の煌びやかな祭り【夢日記】

 鉄製の建物の中はモスグリーン色に見えた。事業内容とは裏腹に鉄のカチッとした雰囲気。そこは小柳さんが経営する会社内で、私は小柳さんの後について社内を案内されていた。どうやら私はこの会社で働くみたいだった。
 小柳さんの社屋の構造は、大きな螺旋階段状になっており、通常通路と言われる場所がとても広く、その通路にデスクを一人、二人分置いていた。下の階の人々の働いている姿も見え隠れしていた。デスクも鉄製で大きい。みな、黙々と仕事をしていた。私の席もひとつ大きなデスクを用意されていた。私は新卒のような気分で、「ここで働くんだぁ」と緊張とわくわくと入り混じった気持ちだった。もちろん私は新卒ではないけど、新しいところで働くのは久しぶりのことだった。

 でも、これでよかったんだっけ? とこの場面の外側から私が思っている。私は在宅で仕事がしたかったのに、これじゃぁいつもと同じだ、と。でも、この場面の中の私は、こんなところで働けて! と少しだけ得意気になってる。小柳さんは、とある界隈では有名な人だった。

 家に帰ると母がいた。母は、就職状況のことを何も聞かなかった。母がなにも聞いてこないなんて珍しいなぁと思いながら、でも安泰だよ〜決まったし。と心の中で思っている。すると電話が鳴った。出てみると自分宛の大事な電話だとすぐわかったので、洗面所のある個室に入った。洗面所は明るくて、入って左側はさらに明るい電灯が点いていて鏡も光っていた。
 それは、小柳さんの会社からだった。部下の二重(にじゅう)という人からで、舌足らずのとてもたどたどしい口調で、「採用したい」旨を告げられた。あれ、私はまだ正式に採用されていなかったんだ、とその時初めて知った。

*  *  *

 母が寝ていた部屋に入ると、母が寝ぼけて何か家電を倒し水浸しになっていた。続けて母が寝ぼけて「スターバックスで 鯖(?)を、2個」と言って私を見た。私はその寝ぼけ具合に爆笑した。そんな母を見たのは初めてだった。

*  *  *

 江藤さん、菊池さん、岡、あともう1人女性と渋谷と思われる場所で遊んでいた。この面々は懐かしい繋がりで、昔のバイト仲間や小中の同級生もいて、現実では混じり合わない人たちだった。でも、夢の中では「仲間」という連帯感があった。途中、菊池さんのお兄さんの家のある場所を通った。工事中になっていて、防音布の中は解体途中だった。それは結構なニュースだったみたいで株価も動いたとか。菊池さんは感慨深そうにそこを見ていた。

 そこを通りすぎると観光地にある小さなお土産屋さんのようなお店があった。食べ物も飲み物も売っている。岡はそこで当然のようにペットボトルの飲料水を2種類ほど飲み干した。買ってもいないし、そこに置かれていただけの何の保障もない飲み物を喉の渇きの勢いで一気に飲むなんて。事前に約束してそこに置いておいてもらったかのようだった。岡はご機嫌だった。
 私たちは道々のお店でおやつを買いながら歩いた。私はあるお店で大量の唐揚げを買ってしまった。袋にいっぱい。後でこんなにたくさんとは! とちょっと後悔した。

 その後、皆でスタバに寄った。初めは席がなかったので、5人散り散りに座ったが、少しずつ人がいなくなり5人近くに座ることができた。低いテーブルのソファ席。隣に座っていた岡は、怪我して手術した跡をもう1人の女性に見せて話をしていた。私も話を聞きながら見ていた。青いアザが、鉄板を釘で貼り付けるような位置関係で見えた。痛そうだったけど、岡はケロッとしていた。

 実は私はこの時どこか疎外感を感じていた。目の前の席に江藤さんが一瞬座ったのだけど、避けるように菊池さんのところに行ってしまい、「よかったら唐揚げ食べて」の私の声が虚しく響いた。菊池さんもこちらの席が空いているのに合流しない。岡ともう1人の女性は近くにいたが、私はひとりを感じていた。

 人がさっきよりも少なくなり、だいぶ空席が見え始めお店も落ち着いた雰囲気となっていた。渋谷のスタバでも人が少なくなる時間があるんだなどと思い、時計をみると20:30だった。

 その後、江藤さんともう1人の女性がスタバに寄る前に寄った店の隣にあるソフトクリーム屋さんにソフトクリームを買いに行った。私は遅れて後をついて行ったが、なんだかうまく合流できずそれを見ている。
 江藤さんともう1人の女性は、3人分ほどのソフトクリームを受け取り、さっき立ち寄った隣のお店に、みんなの傘を預けていたようでそれも受け取って、戻って行った。あそこに私の分のソフトクリームはないなと思った。

 私は気を取り直して、中岡さんと帰路に着いた。中岡さんは知らないおじさんだったけど、親しみがあった。中岡さんと帰れることで気分を変えることができた。私は中岡さんを台車に乗せて走った。スイスイ走る。途中、向かいからトラックが来て、通り過ぎた後に孔雀に似たコンドルが美しく現れた。真夜中にコンドルの金粉のような光が舞った。
 その道を通りすぎると、アフリカンかブラジリアンかそんな感じの陽気な人々が音楽に合わせて踊っている列がこちらに向かってくるのが見えた。色とりどりでとても楽しそう。皆、笑顔で私たちにも笑いかけてくれる。
 そしてとても印象的だったのは、音楽がすごくよく聞こえた、ということ。耳元で鳴っているかのようだった。「中岡さん、聞こえる?」と聞いたけど、中岡さんはニコニコして明確な返事はない。それでも聞こえているのは私たちだけみたいに感じた。
 
 そこを通り抜けて馴染みの道にでた。音楽は終わり、辺りはすっかり明るくなっていた。馴染みの場所まで来たのでもう後少し。ここから少し先の正面にひとつだけ高いビルが見える。ちょっと古びていただろうか。すぐ手前には駐車場があり、一段上がってその駐車場に入り車道に抜けようとした。ふうと一息ついて、そこに立っている時計を見ると朝の7:50をさしていた。

//夢ここまで
at 20240605

~筆者雑記~
 有名な人の会社で働ける、私はそういうところでまだ喜んだりするんだ、と目覚めている私は思う。そういうところからは抜け出したと思っているのだけど。と、これを書きながら、もしかしたら過去の自分が映し出されているのかもしれないとも思えてきた。
 母の謎の寝ぼけ発言を挟んで、まったく別世界の話になるのだけど「スタバ」で繋がっているのが面白い。私のスタバへの印象は「いつも混んでいて座れない」である。滅多に行かないけど、この夢を見たので、またこの夢を見た後に現実世界でもスタバが議題に上がったので、久しぶりにスタバに行ってみました。そしたら、思いの外混んでおらず、しかもいい席に座れて2時間ほど読書することができました。(だからなんなのか、真相はまだ不明…)
 最後の中岡さんとの帰り道は、まるで夜の遊園地にいるような煌びやかさと希望のあるものでした。音楽があんなにはっきり聞こえていた夢は初めてといってもいいんじゃなかろうか。とにかくよく聞こえていた。そして最後には無事にホッとできる場所に辿りつけた。
 中岡さんが誰なのかはわかりません。現実にもいないし、夢の中でも突然現れた人です。でも、とても温かみがあって親しめるおじさんでした。

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