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【プロジェクトマネジメント】交通整理術を制せば、人間関係の悩みが減る

こんにちは。PMスキルを上げるをコンセプトに記事執筆をしている、ゆなと申します。

プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントを行なっていると、チームのメンバーが思うように動いてくれず、お互い嫌な雰囲気になるケースって頻発しませんか。
自分自身がメンバーから反発されてしまうケースや、他のメンバー間でハレーションが起きているケースは、プロジェクトマネジメントにおいてはよくあることかもしれません。
ただ、対応を誤ると、お互いの不信感が募り、対立関係が強化され、その調整に疲弊する、あるいは大きな一手を打たないと解決できないほどの喧嘩になることもあります。


この記事では、依頼した方が動いてくれない理由を解説し、その後実際に取るべきアクションをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

PMとして成果を出すためには、チームメンバーに気持ちよく動いてもらうこと、不信や疑いではなくお互いへの信頼を作ることが不可欠です。

傷が浅いうちに、あるいは事前に予防するために、しっかりと考え方を学んでおきましょう。


なぜそのメンバーは動いてくれないのか

誰かの役割に定まらないタスク(つまり誰が持つべきか定まっていないタスク)が発生した場合、メンバーの行動は2パターンに分かれます。
なんとかキャッチアップしようとする人(仮:Aさん)と、言われるまで傍観している人(仮:Bさん)、です。

キャッチアップしてくれるAさんはプロジェクトを前に進める上で、非常にありがたいのですが、Aさんが目の前にあるタスクをただこなそうとすると、Aさんに皺寄せが来て、本来のタスクが滞ります。
そこで、Aさんに手を差し伸べるA'さんもいれば、大変そうな状況を横目に見ながら(見えていないケースも)手を引くBさんもいます。

チームのバランスを取りたいPMのあなたからすると、Bさんは、
「なんて自己中なんだ。」「ずるい。」「不公平」と感じるのではないでしょうか。

Bさんに「これお願いします」と依頼をしても、Bさんは「なんで私がやらないといけないのですか?」「Aさんの仕事では?」と他人事かつ他責な態度が見えて来ます。
少しイライラが募るあなたは、Bさんがちゃんと動いてくれない理由は、Bさんの考え方、価値観が誤っていることに原因があると思えてきませんか。

でもこれ少し歪んだ見方です。(普段から約束を破り続ける人でない限り)
前置きが長くなりましたが、Bさんが動いてくれない理由は、いずれかに当てはまります。

  1. チームの目的と全体のタスク一覧(手段)が見えない

  2. 担当者に割り振られたタスクが、その人の個人目標に紐づいていない


一つずつ理由を解説します。

1.チームの目的と全体のタスク一覧(手段)が見えない

Bさんが動いてくれない理由の一つ目は、タスクや課題のゴールと、ゴールに対するアプローチ方針や作業一覧が見えず、自分ごと化できないケースです。

例えば、
なんのために行なっているのか?
何を達成すれば得たい結果が得られるのか?
どこまで行えばいいのか?
手段を実行することで、本当に目的を達成できるのか?

このような迷いが生じることで思考停止してしまい、なんとなく自分には関係ないと思ってしまう、あるいは
興味も実現性もイメージが湧かないため、近寄りがたいのです。


2.割り振られたタスクが、担当者の個人目標に紐づいていない

2つ目のBさんが動かない理由として、依頼タスクを行うことで、Bさんの個人目標達成に繋がるイメージをBさんが持てていない、ことが挙げられます。
(個人的に、タスク依頼がうまくいっていないケースの8割は、このケースです。)

例えば、こんなケースとBさんの思考を想像してみてください。

ある制作依頼が来たとします。

チームのゴールとしては、依頼内容を完遂して利益を得ることです。

あなたは、担当者のリソースが足りないことと、Bさんの余裕やケイパビリティがあることから、急遽、発注・請求タスクをお願いしました。

ただBさんは普段、別の制作の運用の担当です。
Bさんからすると、今回の請求タスクを行なっても行わなくても、評価は変わりません。むしろ、普段行っていることがいつも通りにできなくなるリスクがあるので、抱えたくありません。

なので「なぜ私がやらないといけないのですか?」「Aさんの仕事では?」と回答しました。


ここでのポイントは、Bさんがサボりたくて言っているのではなく、依頼タスクが自分のミッションに繋がるイメージがないこと、元々のタスクへ影響しないかという懸念が起因してます。


緊急性や新規性、複雑性が高いタスクほど、交通整備をしながら進める

急遽飛び込んだ開発依頼や、不慣れなタスクにおいては、プロジェクトの交通整理が非常に重要です。

「交通整理」という表現は、会話の中でよく飛び交うと思いますが、人によって定義は曖昧なので、ここでは「不確実性の高い状況(カオスな状況)を整えていくこと」と定義します。(表札などのルール作りではない)

■こうつうせいり【交通整理】
事故を防止し交通を円滑にするために、人や車などを整理・誘導すること。
②(比喩的に)複雑に入り組んだ事柄を整理して分かりやすくすること。

小学館『大辞泉第2版』より

交通整理が重要な理由は、事前にどんなタスクがあり、誰がどの範囲の責任を持つのか、といった共通ルールがメンバー間にあると、大抵のコミュニケーションの齟齬やハレーションは防げるからです。

なぜなら、プロジェクトの行程は、一人でパッと思いつくタスク一覧によって完結するほどシンプルなものではありません。どんな小さな案件やタスクでも、経験のないことやチーム状況の場合、必ず想定外が起きます。

更には、日々、様々なタスクに追われがちなPMにとって、後から想定外のタスクが発生することは、焦りを生み、周りへ丁寧にタスクを渡すことができなくなってきます。そうすると、メンバーは全体感が掴めないまま、ぶん投げられたタスクの意義を理解できずに、不満が募ります。


交通整理として行うべきアクションプラン

ここからは、具体的に行っていく内容をお伝えしていきます。

基本的には先ほどのアンチパターンを、ひっくり返していきます。

1. チームの目的と全体のタスク一覧(手段)が見えない
2. 担当者に割り振られたタスクが、その人の個人目標に紐づいていない

  1. 目的と手段の整理

  2. タスクの洗い出し・共有

  3. タスクオーナーの割り当て・調整

あれ?たったこれだけ?もっと裏技みたいな方法じゃないの?と思う方もいると思いますが、コミュニケーションの事故を防ぐ方法は、非常にシンプルで当たり前のことを抑えるだけで可能です。


  1. 目的と手段の整理

緊急タスクほどできることから急いで確認や作業を進めたくなるところ。
それをグッとこらえて、忙しい時ほど
チームとしての目的と手段をを書き出し、手段が目的化していないか確認しましょう。

この時点で、タスクのゴールを取り違えたまま進行すると、収益回収できない事態に至ることもあります。


2.タスクの洗い出し・共有

ゴールを達成するために必要なタスク一覧(WBS)を作成しましょう。

そして手を動かす前に、必ず関係者に共有してフィードバックをもらってください。完璧に最初から洗い出すことは無理でも、この時点でなるべく最大限のタスクを想定しておくことが、バッファの見積もりの精度をあげ、後々の計画倒れや炎上を防止します。
(そして何よりPMのメンタルを守ります)


3.タスクオーナーの割り当て・調整
各タスクを割り当てる際に、そのタスクが担当者の個人目標達成に繋がることを示してください。

ここがPMの一番の腕の見せ所。

先ほどの例を使うと、
Bさんに請求タスクの目標がないとしても、以下の観点からBさんの仕事に影響しうることを伝えられます。

  • タスクを完遂すると、チームとして顧客の信頼を得られること。それによって次の案件機会に繋がったり、こちらの要望を顧客側に通しやすくする関係値を築くこと。つまりBさんの悩みや要望が伝わりやすくなること。

  • 逆にBさんが実施しないことで、他の担当者の範囲が対応できず、案件全体やチーム全体の評価が下がり、自ずとBさんの評価も下がりうること。


そして、Bさんの通常業務への不安を取り除いてあげるために、
既存タスクの期日を遅らせる、あるいは優先度を落とす
などの調整を、一緒に行なってあげましょう。

調整のポイントは、相手の不安点を取り除くためにきちんと聞くことです。
Bさんは通常タスクがチーム全体としても優先度が高いと思っているかもしれません。PM自身が気づいていない事象がある可能性もあります。
しっかり聞くためには、なるべく依頼はテキストのみは避け、対面や口頭で補足しながら行いましょう。本人が納得できるまで話し合って調整することが、その後の動きだしで重要になります。


これら3つを順を追って行うことで、
普通の人であれば、目的を理解し、他の人への不満や不安を考えずに済み、依頼されたタスクに反発なく取り組んでくれるようになります。


交通整理で人間関係やマネジメントの悩みから抜け出そう

ということでいかがだったでしょうか。
タスク依頼は、シンプルなように見えて「誰かに何かをお願い!」と言うだけの簡単なものではありません。

複数人で進めるプロジェクトにおいて、適切にメンバーへタスクを落とすことができれば、よりPMとして行うべき対応に注力しながらチーム全体でタスクを完遂することができ、最終的なアウトプットの量や質も上がります。

みんなを同じ方向に向けるのは、「目標を大きな声で掲げる」ことよりも、こういった地道な相手の立場にたったコミュニケーションが作っていくものだと常々感じます。


今後も、PMの悩みを解消するための発信を続けていきますので、
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(執筆の励みになります。あと2024年、フォロワー100人を目指してます。)


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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