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大変だけど面白い!フィリピンでマネジメントをする時に気をつけること10選

はじめに

これは、私が前職でフィリピンに行き、実際にマネジメントに携わった中で得た経験を元に、現地で人を雇用する上で大切なことを説明しています。

他の国の出身者でも当てはまることもあると思いますので、外国人労働者、特に東南アジア出身者と一緒に働く機会のある方も、共通点を探してお楽しみいただければと思います。

ここでは、日本では当たり前とされていることが通用せずに驚いたことと、実際に行って効果があった対処法を書いています。

まずは、驚いたことと対処法を箇条書きで紹介します。

正直、これだけでも読めば少しは参考になると思います。

①時間を守らない →集合時間を15分前に設定、日本人は5分前に到着!

②言い訳から始まる →言い訳できないように質問はYes/ No クエスチョンで。

③無断欠勤する →病欠は一定程度出ると思っておいた方が良い。皆勤手当をつけると少し防げる。従業員の家族構成などよく把握し、休みそうなイベントを予め確認しておく。

④自撮りが過ぎる →自撮り自体はOK。ただ、職場で撮影した写真などをSNSにあげないよう注意。

⑤英語が通じてるか通じていないかわからない →タガログ語を話せる通訳を雇おう!真意にたどり着くまで、しつこく質問しよう。

⑥人前で怒らない →個別に部屋に呼んで簡潔に指示しよう。

⑦前借りを要求してくる →ルールを決めて、常識の範囲内で貸してあげよう。

⑧すぐ転職する→会社に対する帰属意識を持たせるために、イベントを企画しよう。

⑨採用が難しい →未経験を育てるのはかなりハードだが育て上げれば楽。最初は同業者からヘッドハンティングも可能。

⑩愚痴が多い →聞いてくれる人とスペースを置いて、一旦そこで解消してもらおう。

以上の項目を、上から順番に解説していきます。

①時間を守らない

これは外国だと結構あるあるですよね。フィリピン人も同じです。集合時間に来ることはまずないです。

気長に待てる人は、来るまで待ちましょう。待てない人は、集合時間を15分くらい早めに設定すると、ちょうどいいと思います。

来ないときは、テキストメール(ショートメール)を送ってみましょう。電話は、お金がなくて出れなかったり、電波がなくて繋がらない可能性があります。テキストが大好きな人が多いので、返事は結構すぐ返ってきます。

相手が日本のことを知っている人だと、「日本人は時間を守る」ということを知っている可能性があるので、こちらが遅れるのは厳禁です。集合時間の5分前には行きましょう。日本と同じ感覚でいた方が良いです。待つのが苦痛な人は嫌かもしれませんが…。

相手が取引先の場合、こちらが遅れると急に信頼をなくす可能性があります。注意しましょう。

また、報酬を付けると少し効果があります。絶対に時間を守って欲しい場合は、ご飯奢るとか、ジプニー代奢るとか、なにかメリットを持たせる工夫すると良いです。

電話代(スマホ代)をプリペイドで払っている人も多く、その残高がゼロになってしまうと、通信ができません。従って、通信量無制限のwifiを貸してあげると、かなりテンション上がる人が多いです。

仲良くなりたいとき、約束を守ってほしいときなどは、wifiを貸したり、ご飯をおごったりするのがいいと思います。

私の場合は、休日にどうしても仕事をして欲しいとき(いろいろあって締め切りに間に合わない、など)に、無断欠勤を防ぐために、私のホテルに泊めさせて食事もおごってあげました。

言い訳できない状況を作るのが1番ですが、これは結構ハードル高いかもしれません。

②言い訳から始まる

仕事の進捗を確認する時、質問すると基本OKと返ってきます。しかしOKではないことがほとんどです。悪気はありません。彼らはポジティブです。楽観的で、物事をあまり深く考えません。良い方向に考えます。

本当にOKなら良いのですが、NGの時も、とりあえずOKと言ってしまう事があります。なんとかなると言う気持ちや、その場を穏便に済ませたいと言う気持ちがあるのだと思います。

色々質問されて、核心を突かれそうになっても、本当のことを言わないようにどんどん話題をすり替えてしまいます。いつまで経っても核心にたどり着きません。堂々巡りです。そして、核心にたどり着いても、言い訳から始まります。

言い訳は聞きたくない、原因や理由が知りたいと思う日本人は多いと思いますよが、なかなか聞き出すのに苦労します。

とくにwhy?で聞くと迫られているような感じがするそうなので、how come? と聞いた方が良いそうです。

らちがあかない時は諦めて、△△ではダメだ。〇〇のようにしろ。とか、〇〇までにしろ。とか、明確に指示するだけにしましょう。

もし、ミスを認めて謝ってほしいだけなら、ミスを認めた所で減給や降格などの不利益はない、と最初に言っておくと、あっさり謝ってくることもあります。

そんなことすると、減給するぞ!とかいう脅しは逆効果なので、やめましょう。

ここからは実際にあった会話です。

私:10月1日にフォークリフトを納車してほしいので、見積書をください。いつまでにできますか。

ジョン: わかりました。お任せください。明日見積もり出します。

数日後…、

私:依頼してたフォークリフトの見積もりは?

ジョン:今から作成してお送りします。

私:今から…?いつできるの?

ジョン:明日送ります。

次の日

私:見積もりは?

ジョン:明日か明後日送ります。もしくは来週。

私:いや、今日って言うたやん。なんで遅れるの?

ジョン:担当ではないのでわかりません。

私:え?じゃあ担当は?連絡先教えて。

ジョン:担当がタイに出張行ってて来週帰ってきます。

私:いやいやいや、いない人を担当にするなよ。来週の月曜も怪しいやん。。ていうか担当の連絡先教えて。

という感じで質問に対する答えがすぐには返ってきません。読んでて筋が通ってないのでイライラしたかもしれません。その感覚です。本当はもっと長いです。2、3ターンしても答えが返ってこないこともあります。しかもこれが、英語で行われます。お互いに第二言語で拙いので余計にイライラします。

さすがに本当のことを言うのが気まずいのか、ワンクッションいや、ツークッションくらい挟みます。こうなったら自分が意図した答えが返ってくるまでしつこく聞くしかありません。根負けしないように頑張りましょう。嫌われても良いくらいの勢いでぐいぐい聞きまくりましょう。

ちなみにこの話は続きが延々とあって、見積もりの内容がおかしくて何度も作り直したり、実は見積にあったスペックのフォークリフトは今納車できないとか後で言われたり、いざ納車されたら希望してたスペックと違う!なんて事まで色々ありました。

本当に日本では起こり得ないありとあらゆる事件がたくさん起こり、ドタバタでした。

現場では日系企業のT社の関連会社の人にもお世話になりましたが、フィリピンにあるT社はフィリピンの会社でした。日本のスケジュールオンタイム!とかは一切なかったです。

むしろ、他の企業より期限守らないし、管理がゆるゆるな感じがしました。日本の、個人の能力や道徳観に依存してあれこれ言わないビジネススタイルは、フィリピンには合わないような気がしました。もっとアメとムチでビシバシやった方が良いです。ドゥテルテ大統領の政策のように、分かりやすい方が効果があるようです。恐怖政治はダメですけれども。

話が逸れましたが、なにかを聞いた時、その答えが本当かどうか都度確認してください。

指示を出した事に対して、OK!と即答されても、ちゃんと現物を見て確認する、

できてなかったら理由を聞かずに明確な指示を出す

期限が近かったら一緒にやる

期限に余裕があるならゴールだけ提示して、進捗は確認しながら気長に待つ

仕事に必要なお金(資材購入など)を要求してきたら理由を聞いてなるべく払ってあげる

仕事を頼む時、指示を出す時は、最初からそれを見越して頼まなければ間に合いません。従って、納期はかなり余裕を持った方が良いです。フィリピン人に、大丈夫!一週間でできるよ!と言われても、1ヶ月くらいは覚悟した方が良いです。

え~!と思うかもしれませんが、ここまでしないとダメです。特に、手取り足取り教えて見届けて一緒にやるのはかなり面倒くさいです。悪いですが、相手が子供だと思って接した方がいいです。

先生や親に怒られないように適当に返事をする子供だと思いましょう。

大人だからやってくれてるだろう、ではなく、本当に怪しいので、この目で見てちゃんと確認するのが我々の仕事です。

ここで注意したいのが、自分でやってしまわないようにしましょう。まさに教育と一緒で、面倒だからと言って自分がやってしまうと、相手がいつまでも成長しません。教えながらやらせましょう。

それも、日本式を押し付けるのではなく、彼らなりのやり方を尊重しながらです。これは結構難しいのですが、なるべく意見を吸い上げながら指示を出しましょう。

まとめますと、とにかく指示をしたら、自分の目で完了まで見届けることが大事です。進捗を確認し、ケツをたたくことが、日本人が外国人をマネジメントする上での求められていることだと思います。

③無断欠勤をする

これは本当に多いです。そして、これに関しても、全く悪気はありません。

さらに驚くことに、周りはそのことに対してほとんど怒りません。仕事に穴を開けられて、しわ寄せが自分に来ても、怒りません。

仕方ないよ。よくあること。という人がほとんどで、本当に驚きました。明日はわが身、なのでしょうか。とにかく相手のミスにも自分のミスにも寛容な人が多くて驚きです。

しかし、それは経営陣になるともちろん違います。

リーダーと普通のスタッフとの間にかなりギャップがあることも多いです。リーダーも、仕方ないね〜と言って寛容過ぎると、仕事として成り立たないです。

かといって、厳しすぎてもみんなが付いて来れなくてダメなんですけどね。難しい。

どう防ぐかというと、基本的には、ノーワーク、ノーペイです。働かざるもの、食うべからず。正社員でも、無断欠勤した日は、給与払わなくて良いです。

対して、有給の考え方に近い物もあります。人は病気にかかるもの、という考えで、1ヶ月に一回程度は病欠が許されます。地域や会社で回数は異なりますが、フィリピンでは一般的な考えのようですので、周りの同業の会社の制度を調べながら足並みを揃えたらいいと思います。

もし、こうした福利厚生の部分をしっかりしていないと、従業員が他の企業にすぐ流れる可能性がありますので、同業他社の動向はできるだけ探っておくことをお勧めします。(元従業員とかに話を聞く)

私も日本で考えれば、各々の体調管理も仕事のうちだろうから、病欠が有給はあり得ない!と最初は思ったのですが、郷に行ったら郷に従え、です。環境も賃金も違います。衛生面も悪いです。体調を崩しやすいのは環境のせいもあるので、ある程度は仕方のないことだと思います。

病欠以外の当日欠勤を未然に防ぐには、厳しくてわかりやすいルールを作るのが良いと思います。

日本は、コロナで東京をロックダウンするかしないか話題になりましたが、日本のルールは強制力が弱いです。

会社も、従業員を保護する観点から、能力がないなどの理由で簡単には解雇できません。

あくまでも、退職は労働者側の意思でする必要があります。

しかし、フィリピンでは、ある程度企業側の裁量で解雇することができます。

とは言え、厳しくできるのは理由があります。

そのルールの内容は、かなり最低限の制限です。無断欠勤だけではなく、上司に対する暴言や職場内での喧嘩、職場で寝る、薬物の使用、賭博行為などの問題行動を禁じるルールです。

上記のルールを逸脱すると、停職処分、それが続くと解雇します。

私の職場では、それらの問題行動をレッドライト・ビヘイビアと呼んでいました。

なにがレッドライト・ビヘイビアに当たるかは企業により様々ですが、細かくルール化されており、従業員全員に周知されます。

内容は、企業側で決められるので、日本式で時間には厳しくしたい!と思うなら、10分遅刻×5回で10%減給!とか決めることもできます。

国によって法律は違うと思うので確認は必要ですが、ある意味、経営陣の裁量で、従業員をコントロールしやすい部分です。

日本は儒教文化で性善説、キリスト教文化圏は性悪説、という話も聞きます。

人は過ちを犯すもの、という考えが根底にあるので、それを犯したら罰則。目には目を。的な考え方です。それが受け入れられるので、すごいですよね。

逆に外から見たらそれが受け入れられない日本ってかなり特殊です。良い意味でも、悪い意味でも。

ちなみに、欠勤理由は、家族の1人が誕生日だから、というのが結構多かったです。

他にも、大雨で家が流されたから行けません、とか、子供が生まれたので行けません。とかもありました。

仕事より家族を大事にする人が多いので、家族のイベントごとで欠勤する人は多いです。それ自体は良いことなので、逆手に取って、イベントごとは事前にリーダーと共有させてシフトを組み、しっかり休ませたり、会社にも家族写真を飾って誕生日を一緒に祝うなど、家族思いの会社というイメージで愛社精神を上げるのが良いみたいです。

ちなみに、9月〜10月は出産ラッシュです。

フィリピンは原則、中絶が禁止です。従って出生率も2.64と高ければ、平均年齢24歳と若いです。

クリスマスに子作りするカップルが多いらしく、9月〜10月は出産ラッシュです。これはフィリピン人の中では常識らしく、教えてもらいました。

我々のチームは10月1日業務開始だったのですが、9月の研修中や、業務開始直後に出産ラッシュで欠勤が相次ぎ、唖然としました。

そしてこの国では父親も育休を取ります。何回も言いますが、これ自体は素晴らしいことなのです。事前に休むとわかっていたら、周りに仕事ふっておくなり、準備させましょう。

対策は、9月〜10月は従業員の家族の出産の予定がないか事前によく確認し、シフトを組むことです。

④自撮りが過ぎる

暇さえあればセルフィ撮ってます。

自分の机に鏡を置いている人も多かったです。

写真を撮ること自体は別に良いのですが、仕事中に、しかも職場の中を撮影するのはコンプラ上ご法度です。

日本でも、ツイッターなどに、バイト先でふざけている写真をあげて炎上しましたよね。

炎上目的でふざけて撮影することはまずないですが、従業員同士で仲良しアピールのように、暇な時間に写真を撮りまくってます。

全くもって、悪気はないです。

悪気はなくても、得意先の設備内で仕事をさせてもらっている身としては、撮影は辞めさせなければなりませんでした。

彼らはフェイスブックが好きなので、撮影した写真はすぐアップして友人にお披露目していました。

対策としては、やはり明確なルールを設けることでした。撮影までは目を瞑りましたが、SNSへのアップロードは禁止としました。

そして、実際に撮った写真をSNSに上げてないか、フェイスブックパトロールをしました。会社内で撮影した写真を発見したら、本人に削除を依頼しました。

こういう指摘をコツコツ続けていけば、投稿は徐々になくなって行きました。

私的にはこういう指摘をするのが仕事上1番苦手でしたが、我慢して続けることで、一定の成果が出ました。

まぁ、社内で撮影した写真でも別にSNSに投稿しても構わない場合もあると思いますが、もし当てはまる場合は、パトロールでチクチク対応してください。

⑤英語が通じているかわからない

これは、②でお話しした内容と少しかぶりますが、話が脱線することが良くあります。

フィリピンは英語学習のための短期留学先としても有名ですが、あくまで第一言語はタガログ語です。

タガログ語はほぼ全員話せますが、英語が話せるのは60%くらいだと思います。

たしかに大学を出た人たちなど、英語をしっかり勉強した人たちは、なまりの少ない、きれいな英語を話します。そういう人たちがフォーカスされがちですが、実際はそういう人たちばかりではありません。

地域にもよりますが、高卒の人たちは、日本人よりも気軽に話している感じはありますが、間違ってても気にしない、またはわかってるふりをしているだけで、正直、レベルは大半の日本人とそんなに変わらないのではと思います。

タガログ語しか通じない人もいます。感覚としては3割くらいでしょうか。タガログ語も、方言があるらしく、お互いの言葉がわからないこともあるそうです。

タガログ語しか通じない人は、もちろんなのですが、英語が話せる人も厄介です。同じ言語を話しているのに、通じないことが多いこと。

お互い第二言語だからなのか、議論をしても一向に主旨にたどり着きません。

わざとはぐらかされているようにも感じました。どうせ通じないと舐められていたのかもしれません。これは、一人に限ったことではなく、ほとんどの人と話が通じないと感じる場面がありました。

対策として、タガログ語と日本語が話せる通訳を入れてタガログ語で話してもらうことで多少は意思の疎通が取れるようになりました。

もごもご言っていること(こちらに対する悪口など)もすべて訳してもらうことで、真意が見えてきます。

しかしそれでも、そもそも考えていることが違うという致命的な溝を感じたこともあります。

1番良いのはタガログ語を勉強することですが、なかなか難しいと思いますよね。

しばらく滞在していれば、その内数十個くらいは単語がわかってきます。特に、悪口に当たる言葉を覚えていくと良いかもしれません。私は、悪口言われてる!と思ったら、今私の悪口言ったでしょ!と言うだけで少し効果がありました。

⑥人前で怒らない

フィリピンの人に限ったことではないと思いますが、ミスなどに対して、みんなの前で怒るのは良くないです。逆効果です。

怒られた人に嫌われるのは当然のことながら、周りで見ている人からリーダーとしての資質がないと評価されます。

職場で感情のコントロールができない人は排除されます。

従って何かを指摘する際は、個別で部屋に読んで一対一プラス通訳、くらいのなるべく最小人数で話をしましょう。

それも、理由を聞いて原因を潰して行ったり、ダメなところをダラダラというのではなく、「ココがダメだからこうしなさい!」で終わらせましょう。

フィリピン人は何事にもイージーゴーイングかと思えば、意外とプライドが高い人たちなので、みんなの前で面目を潰すような事をしてはダメです。

日本人は会議の席などで感情的になったり、従業員をみんながいるフロアで怒鳴り散らしたりすることもありますが、絶対ダメです。

かく言う私は、得意先との会議中に、日本から来た上司に怒鳴り散らされた訳ですが。みんな引いてました。もちろん上司に対しての評価も下がりますが、私も仕事ができない人というレッテルを貼られ、一部のフィリピン人からは馬鹿にされるようになりました。私がポンコツだったのもありますが、仕事へのモチベーションがかなり下がりました。本当に悪影響です。

絶対にやめましょう。

⑦給与の前借りを要求してくる

フィリピン人は常にお金がない人が多いです。

なぜなら、入ってきたお金をすぐに使ってしまうからです。

フィリピンの人は、家族や友人、部下などに奢ったりするのが好きです。

優しい人柄と、注目を浴びるのが好きなナルシストな性格が相まって、どんどん奢ります。そして、常に手元にあまりお金がありません。

後先のことは考えないので、貯金もできません。

全ての人に言えることではないですが、私の職場では、約半数の人が半年の間に前借りを要求してきました。

前借りをすると、容易に想像つくと思いますが、当然、次月の家計が厳しくなります。

しかし、そんなことはどうでも良いのです。なんとかなる、という考えです。

これには呆れましたが、そういう文化なので仕方ないです。

対策としては、月いくらまで前借りできる、1人月一回まで、2ヶ月連続での前借りはしない、前借り後に退社を申し出た場合は、返金することなどのルールを設けました。

これを行うことで、際限なく貸すことはなくなりました。

会社の資金力によって貸せる額は変わると思いますので、会社の財務部と相談し、よく考えて決めてください。

これは、フィリピンの企業では特殊なことではないです。お金を貸してあげると、会社への帰属意識が少し増す効果はあるようです。

⑧すぐ転職する

基本的にお金が全ての人たちなので、仲の良い従業員がいても、やりがいのある仕事があっても、良い上司に恵まれても、今より給与の良い仕事があれば、飛びつくところがあります。

そうやって従業員がなかなか定着しない時期が長くありました。

対策としては、社内表彰などのイベントをする、アウティングをすることです。

アウティングとは、ざっくり言うと休みの日に従業員と少し遠くへ行って一緒に飲み食いすることです。

社内の懇親会、慰安旅行みたいな感じです。

小旅行やBBQなどは家族参加OKにすると、さらに絆が深まります。写真もたくさん取れるので、たくさんSNSに上がります。そして、従業員の知人にも良い会社のイメージを持ってもらえるという効果もあります。

また、クリスマスはボーナスを必ず渡しましょう。フィリピン人はクリスマスを一年で一番買い物をします。

ルールを犯した場合のペナルティーとして、ボーナスから減給というやり方もあります。

⑨採用が難しい

人の採用は、職種にもよりますが、専門的であればあるほど、最初はツテの方が良いと思います。

信頼できる従業員の前の職場の同僚を紹介してもらうなど、同業種で働いた経験が豊富な人を採用しましょう。ライバル企業で働いていた人を狙いましょう。

ただし、現在もライバル企業で働いている人を高い給料によってヘッドハンティングするのは、ちょっと微妙です。ライバル企業にバレると制裁を下される場合があります。同業種だとどこかで繋がってら可能性は大です。そこで不当な扱いを受けたり、契約を切られたりする可能性があるので慎重にしましょう。1人くらいなら大丈夫だと思いますが。(リーダーかどうか、など役職にもよる)

紹介は1人から1、2名にしましょう。あまり多くの人が来てしまうと、そこで派閥ができてしまう可能性があります。多少は仕方ないですが。

未経験者を採用するのはリスクがあると言えます。職種にもよりますが、フィリピンで仕事をするのには教育にお金と時間をかけるのはナンセンスと言えます。

特にリーダー格の人間は熟練のベテランを揃えた方が良いです。こちらがタガログ語を話せない限りは、リーダーの言葉で従業員は動きます。そのため、ある程度リーダーを信頼して任せなければなりません。自分たちがいない時にでもしっかり仕事を見れるような人を採用しましょう。

⑩愚痴を聞いてあげる

そもそもお喋りが好きな人たちなので、話ができるスペースは必要です。

いまた、噂好きなので、誰かが昇級したりするとすぐに広まります。

お互いの給与を教えないように言っても、なかなか難しいです。

適切な給与を決めるのは難しいですよね。我々は下請けだったので、得意先から予め明示されていた金額から利益を逆算して設定していました。もし、そう言った縛りが無く、雇い主が自由に給与を決められるからと言って、最低賃金だけを元に各々の能力によって差を付けるのは危険と言えます。

役職が同じであったり、同じ作業をするものに対して給与も同じにしないと不平不満が出ます。

まずは不平不満がでないような体制を整えるのは前提となります。給与は特にデリケートなのでできる限り不公平感のないようにしましょう。

それでも小さなことへの不平不満は尽きません。そこで、従業員からの不平不満を聞いてあげる人(アドミン)とスペースを置きましょう。

大抵のことはそこで一旦解消してもらいましょう。それでも解決できない問題だけ、上に相談するような仕組みを作っておきましょう。

また、社長と従業員が面談できる機会を設けましょう。年一回、社員全員とするのが良いでしょう。聞いてあげるだけでも違いますし、聞かないとわからないことは沢山あるので、そこから学びになる事はあります。時間はかかりますが、それなりのメリットはあるでしょう。

さいごに

ということで、私がフィリピンで驚いたことと対処法を長々と書きました。途中かなり主観が混じっておりますし、たまたま一緒に仕事をした人を例に挙げたので、偏っている部分もあることは、重々承知しておりますが、今回は日本とのギャップをより鮮明にするために、極端な例も出していることをご了承ください。ただ、全部実話です。

何かのお役に立てれれば幸いです。

念のため言っておきますが、フィリピンでの仕事は大変だったものの、日本での仕事に比べたらかなりやりがいはありました。

また、一緒に働いていた従業員を始め、関わった全てのフィリピン人のことは、基本的には好きです。優しいし、あったかい。日本人を立ててくれるし、悪い人はあまりいないです。

従って、仕事をするなら日本よりフィリピンでまたしたいと思っているくらいですので、そこは誤解のないようにお伝えしておきたい部分です。

仕事以外で、生活の面で厳しい部分があり、それは別の記事でもお伝えできればと思っておりますが、結果、泣く泣く帰国することとはなりました。しかし、いつかまた、フィリピンを始め、東南アジアの国々の人々と一緒に働きたいと思っております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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