見出し画像

ワクチン接種とテヘランの死神

これ、似たような事を考えている人多いと思います。

まず、「テヘランの死神」ですが、これはペルシャの有名な寓話で、イランでは名作漫画の『ペルセポリス』(ここに出てくるおばちゃんたちが素敵で・・)、最近ではTVドラマ「シャーロック」でもマイクロフトが引用しています。ま、もっとも有名なのは『夜と霧』で、フランクル博士自身のキャンプ脱出の際の逸話に引用されていた部分かもしれません。


画像4

画像2

ざっくりいうと以下の通りの話です。

*****

裕福であるペルシア人が、召使をしたがえて屋敷の庭をそぞろ歩いていたところ、ふいに召使が泣き出します。「今、死神とばったり会った」と言うのです。召使はすがるようにして主人に、「どうか、いちばん足の速い馬をおあたえください・それに乗ってテヘランまで逃げていこうと思います、今日の夕方までにテヘランにたどりつきたいと存じます。」主人は召使いに馬をあたえ、召使いは一瀉千里に駆けて行きました。

館に入ろうとすると、こんどは主人が死神に会った。主人は死神に言った。

「なぜわたしの召使いを驚かしたのだ、恐がらせたのだ」

すると、死神は言った。

「驚かしてなどいない。恐がらせたなどとんでもない。驚いたのはこっちだ。あの男にここで会うなんて。やつとは今夜、テヘランで会うことになっているのに」

画像1

*****

このワクチン接種クーポンの配布、あるいはワクチン自体の分布を見ていても、本当に人間の本性が出るなあという事と、良かれとしてやった事でも裏目に出てしまう事があり得る、つまり「テヘランの死神」の様な事が散々起こっているなあと思っているので引用。

で、ワクチンの接種順番は、高齢者→医療従事者→基礎疾患・既往症持っている人→年齢順 と、政府が決めてそれに従って配布・接種されているんだけれども、当初何件かニュースになりましたよね。製薬会社の社長とか、首長とかが、クーポン無で接種したというような様な話。こういう有事の際には人間性が出るというのが明らかに。

それが「ワクチンを無駄にしてはいけない」、「もっと大規模に接種を広めるべし」と大規模接種会場が出来て、さらには「五輪関係者」「一定以上の規模の企業」「大学」「留学予定者」などという枠が出てきて、なんだか、クーポンが届く前でも接種が出来るようになった地域もあり、上記の様な「横入り」とか「ずる」はなんとなく不可視化されていきました。(が、きっとあちこちで沢山起こったと思う)でもまあ、摂取したい人はどんどん出来るようになっていっているのはいい事。地方自治体の方針によって差がついているみたいですが。

私の住んでいる世田谷区は、当初はワクチンの割り当ても多く、4月頃は接種が順調に進んでいたのですが、前期高齢者と既往症を持っている人へのクーポンは二週間前と当初の政府発表の通り、私は既往症持ちなので、クーポンを貰って予約を入れたら取れたのが7月17日の枠。しかし、基礎疾患のある人はリスクがあるから、(つまり日常的にややしんどいのよ、口には出さないけどね)そういう特例措置があるんだけれども、当初はそれに対してやっかみもあって「ずる」しているみたいな言い方をした人もいたっけ。こういうところでも人の民度を見る事に。

また、8月から授業が始まるちび子に出来たら日本で接種していって貰いたいと思っていたら、文科省が特別措置として留学予定者ワクチン接種支援事業、既存の大規模接種会場のうち東大と慶應大にこの夏からの9カ月以上留学する学生の接種を開始してくれたので、彼女も6月29日に第一回目が受けられる事に。

で、ほっとして朝、駅まで歩いていたら通り道のクリニックで「コロナワクチン予約受付開始」というビラが貼ってあり、ちょっと気になってネット検索してみたら、世田谷は6月25日にかかりつけ医やクリニックでの接種枠を大幅拡大していました。という訳で、私も急遽6月26日(つまり昨日)第一回接種を近所のクリニックで。

そんな話をしていたら、京都に住む姉(高齢者ですらない)より、職域接種会場に出向いたらクーポン無でも接種できたと言ってきた。これが私の頭の中にテヘランの死神が出現した最初。もはや、行政からの連絡に従って予約を入れ、その順番を待っている後期高齢者(80歳)の母親が一番接種が遅れて7月最終週に打つ事に。もっと早く出来るんだけれども、知っているお医者さんで打ちたいという事で本人も急いでいないし、そもそもあまり人にも会わないし、混雑大嫌いな人なのでまあそのままにしておきます。でもこれが死神出現第二回目。

そう、私の周囲に関して言えば、情報に敏感な人、ネットに日常的にアクセスしている人は大体都内でもなんらかの形で目途が立っているようです。クーポン無での接種体制の無い世田谷区ですら、クーポンが届く予定日以降なら予約を入れられるようになっていますし。あ、区の予約システムは6月29日まで動きませんが、各医療機関は受け付けはしてくれます。

少し脱線するけれど、ワクチン接種の事をFBに書いたら、所謂ワクチン反対派からメッセージがどっと・・(溜息)。私のFBは基本公開だしフォロワーさんを入れると数千名の壁に挙がる可能性があるのでまあしょうがないんだけれども、この手のものは知り合いを含めて全てゴミ箱へ。情報収集は自分で行いますし、判断も自分で行いますので、どうぞ訳の分からないメッセージやらメールやらを送ってこないでくださいね。ご自身の主張はご自身の壁のみでお願いします。

画像5

で、「死神」なんだけれども、なんせ二回も出ているし、まだまだどんでん返しがありそうなこの感染症対策、今はワクチン接種を皆急いでいるのが大半だと思うけれども、長期的、例えば来年の今頃、あるいは5年後10年後に「2021年に〇〇社のワクチンを打った人への救済措置」的な事が世界的な問題になっているのかもしれない。もしくは、この惨事に争ってワクチンを接種した先進国がどうなっているのか、後発に甘んじた国々が待っただけの甲斐があったという恩恵を受けるのか、とか。

画像4

そして、その際には、もしかしたらワクチン反対派が「それ見た事か」と雄叫びを挙げるのかもしれないけどね。特に私自身はもういい歳だからいいけれども、ちび子はこれから大学生、いくら入学先の大学がワクチン未接種者は学内立ち入り禁止としているとはいえ、そこだけは正直に言うと胸が痛む。

でも、それも人生。今持っている情報と自分の信じるものを元に判断して決めていく。という訳でちび子にも、接種にあたっては「大学がそう言っているから」だけではなく、いろいろ自分で調べて考えて結論を出す様に、必要があれば、大学入学を遅らせるのもOK と話しました。その上で彼女は今回のワクチン接種(モデルナ・慶應大学にて)を受ける事にしたそうです。

将来、何が起ころうとも「死神には逆らえない」というのが、結局は私の結論。私の事も、ちび子の事も。

#ワクチン接種 #留学生 #基礎疾患 #テヘランの死神 #ペルシャ

#シャーロック #夜と霧 #有事の際には人間性が出る


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?