見出し画像

組織開発でいかに変化をもたらすか:学習の鍵を握る「組織アンラーニング」

私が普段、組織開発のプロジェクトに直接関わったり、プロジェクトの様子を第三者から見聞きするとき、「組織開発は(大変だけど)面白いな。このプロジェクトではこんな風に人や組織が変わっていったのか」と思うことが大半です。

けれども以前、ミミクリ外で個人的に参加していた組織開発のプロジェクトで、なんだかもやっと感の残る場に居合わせたことがありました。今日はそのときのプロジェクトを振り返って考えたことについて書いていきたいと思います。


改善点ばかりがでてくる組織開発への違和感

そのプロジェクトは部署横断により集められたグループで、外部のファシリテーターが介入しながら、その組織における、ある組織課題に向き合い解決することが目的とされていました。

数ヶ月伴走するなかで、プロジェクトメンバーの中から、組織課題を乗り越えて組織をよりよくしていくためのアイデアや考えもいくつもでてきて、実行の段階にこぎつける取り組みも生まれ、一見とても上手くいっているように見えました。

しかし、そのプロジェクトでは、あくまで現在の組織のシステム・ルーティンを守りながら、現在の組織でできる改善アイデアのみで、参加メンバーの持つ価値観や、その組織そのものが持つ価値観にまで迫っていくものではありませんでした。

組織における学習の理論用語でいえば、結局そのプロジェクトでは低次学習は起きているけれども高次学習が起きてなかったと言うことができます。

画像1

組織開発は高次学習を扱うべきなのか

では、組織開発は高次学習を目指さなければならないのでしょうか。

私は、普段の業務の中ではなかなか組織の改善に対してアイデアを出しづらい環境であれば、非日常的な組織開発という場において、低次学習が起こるだけでも意味はあると思います。ただ、低次学習では組織の根底にある価値観は変わりません。

根本的に組織を変えようと思うと、その組織がどういう価値前提を持っているのかを認識し、時に価値前提から変えていく必要性、つまり高次学習を起こす必要性があります。


高次学習を起こす上で必要な「組織アンラーニング」

安藤(2019)では、高次学習を実現していく上での必要条件として「組織のアンラーニング」を挙げています。

「アンラーニング」とは、「かつて機能した既存の価値前提や知識のうち、すでに時代遅れになった知識や妥当性・効率性を欠くようになった知識を捨て去り、より妥当性の高い新しいものに置き換えること」と定義されます(参考 Hedberg 1981)。

「アンラーニング」は個人レベルで起こる事象で、それが組織として行われると「組織アンラーニング」と呼ばれます。「組織アンラーニング」は、日々変化する環境の中で生きる企業にとって、組織のパフォーマンスをあげたり、組織からイノベーションを生み出していくためには欠かせない概念です。

とはいえ、価値観や規範を捨て去るというのは言うは易し…で実際にはなかなか難しいところです。価値観や規範を捨て去るのは、過去の自分たちが行ってきたことが否定されているような気持ちになるからかもしれません。しかし、組織に本当に意味のある変化を起こしたいと思うなら、これまで依拠してきた価値観・枠組みを捨て去る勇気を持つことが重要です。

組織アンラーニングを起こす上での有効なHOWの1つとしては、専門性を持つファシリテーターが、個人やチームの心理的安全を図りながら介入することが挙げられています。なかなか組織内部の人間だけで組織アンラーニングを起こすのは難しい部分もありますよね。

 ▼

さて、今日は私がとある組織開発プロジェクトで感じたちょっとしたもやもやから、組織開発において高次学習が求められること、その鍵は「組織アンラーニング」であることについて書いてみました。

組織開発を行っても、なんだか組織が変わっていないような違和感を感じるとき、「自分たちの価値前提を所与のものとしたまま話を進めていないか?」「自分たちの所属する組織は一体どのような価値観に立脚しているのか」といった形で問い直してみるといいかもしれません。

問い直した結果、これまで前提としていた価値観を一部棄却する必然性がでてくることもあれば、同じ組織内で参加者間で微妙に価値観がずれていることが可視化される場合もあります。

組織開発の参考になれば幸いです!

参考文献
安藤史江(2019)『コア・テキスト組織学習』
Hedberg, Bo(1981)"How Organizations Learn and Unlearn"

----

最新のワークショップデザイン論が体系的に学べるファシリテーターのための探求と鍛錬のコミュニティ「WORKSHOP DESIGN ACADEMIA(WDA)」でも、組織学習や組織開発や組織デザインといった、"組織"をファシリテートする方法について、日々アップデートした知見を紹介しています。

画像2

画像3


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
25
株式会社ミミクリデザイン(Director/Researcher)|東京大学大学院 情報学環 特任研究員| CULTIBASE副編集長|最近の興味関心はコミュニティと組織。組織開発の研究にも取り組んでいます✏️