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コロナと“イタリア音楽界”-イタリア国内のイベントは7400公演が中止、損害額は約10億円


ミラノでの隔離生活が始まって、1ヶ月半が経ちました。
日本も全国で緊急事態宣言が出され、様々なところに影響が出てきていますね。

先日イースター(復活祭)のホリデーがあったイタリア。
いつも通りであれば、小旅行に出かけたり、家族のもとへ帰省したりするそうですが、今年はみんな家での休日を楽しんだようです。

イタリア語で“隔離”を意味する“Quarantena(クゥアランテーナ)”と、
“イースター”の“Pasqua(パスクア)”をかけて、
Pasquarantena(パスクゥアランテーナ)”といわれたりしていました。

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(イタリアでこの時期に食べられるコロンバという鳩の形のお菓子)



コロナでどのくらい影響を受けた?“イタリアの音楽界”

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(イタリア・ミラノ大聖堂、Il fatto quotidiano 公式サイトより)

さて、前回の投稿では、

・コロナウイルスによって影響を受けたイタリアのオペラ座の状況
・ヨーロッパ各地の芸術・文化の分野に対する政府救済策
・各地のコンサートやオペラ公演の”無料アーカイブ配信” ピックアップ(詳しいまとめはこちら

について書きましたが、


今回は、「イタリアの音楽界」にフォーカスして、コロナウイルスによってイタリアの芸術・文化が受けた影響について書いていきます。
多くの音楽家にとって、生のコンサートができない=仕事がなくなる、ということになるので、今はとても難しい時期ですね...。


コロナによって中止されたイタリア国内のイベントは7400公演、損害額は約10億円

4月14日のインターネット新聞”OPEN”によると、演劇やコンサートなどコロナウイルス によって中止されたイタリア国内のイベントは 7400公演、損害額は1000万ユーロ(日本円で約10億円)にもなるそうです。

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(タイトルは、“コロナウイルス 、危機的状況の劇場”)

記事から気になる部分をピックアップ↓

«Fermi il 90% dei lavoratori»
La Fondazione Centro Studi Doc parla del 90% dei lavoratori dello spettacolo fermi. Dunque, ci sarebbero oltre 300mila persone, impiegate nel settore dell’intrattenimento e della cultura, che non stanno lavorando. 
《(エンターテインメント業界や文化・芸術分野などで働く)90パーセントの人が休業》
La Fondazione Centro Studi によると、エンターテインメント業界や文化・芸術分野で働く90パーセントの人が休業の状態で、人数にすると30万人以上

Per Agis, inoltre, la perdita calcolata è di circa 20 milioni di euro la settimana: quindi, facendo un rapido calcolo, al 19 aprile 2020 il danno potrebbe aggirarsi intorno ai 150 milioni di euro. Quasi una “calamità” (economica).
これらの人たちが働けないことにより、(給料など通常であれば支払われた金額は)1週間で合計約20億円、2020年4月19日までで約175億円になる予想。

4月14日のインターネット新聞”OPEN” より



イタリア政府から、この分野で働く人への補償は?


前回の記事で書いた”政府からの補償について”。

進捗としては、1ヶ月1人当たり600ユーロの補償が発表され、4月1日に申請サイトがオープンしました。私は現在、学生なので自分自身は申請していませんが、周りのフリーランスの方の話だと、申請方法がとても複雑で大変だそうです。


また、4月12日の新聞”il fatto quotidiano”ウェブ版によると、1箇所の劇場で通年の”契約書”があれば、申請しやすいそうなのですが、複数の劇場で”1公演のみ”の仕事(例えば一夜限りのコンサートなど)の場合は、給料の減額が証明しづらく、申請が難しいとのこと。

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(4月12日の新聞”il fatto quotidiano”ウェブ版より)


この業界で働く人はフリーランスがほとんどなのですが、今回のコロナは、初期の段階で政府からイベントの中止命令があり、かなりの打撃を受けています。

現状(4月19日現在)としては、3月8日から始まったイタリア全土でのロックダウンは5月3日までとなっていますが、外出が解禁されてもコンサートなどのイベントが通常通りでできるようになるまではさらに時間がかかりそうですね…。

私も他の音楽家の方々と同じように、これからについて模索中なのですが、この状況を受け入れて、これからのコンサートや文化・芸術のあり方などを真剣に考えていく必要があると感じます。今回のことが何か大きな転換期になりますように...。


ミラノ・スカラ座のプロジェクト

さて、暗い話ばかりでも寂しいので、イタリア・ミラノのスカラ座が始めたプロジェクトを最後にご紹介して、今回の記事を締めくくります!

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(1778年開館の伝統あるオペラ劇場)

スカラ座は、イタリア国営テレビ局Raiとコラボして、過去の公演のアーカイブ映像を配信しています(3月23日(月) 〜2020年4月21日(火)まで)。

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配信先:(Raiplay) https://www.raiplay.it/ricerca.html?q=teatro+alla+scala
内容詳細: (イタリア語) http://www.teatroallascala.org/it/calendario-trasmissioni-rai.html


イタリア国内ではインターネット上(アプリ)だけでなく、テレビ放送もあったので、個人的にはどの世代にもやさしくていいなと思いました。


また、スカラ座の公式Twitter・Facebookでは、更新日と同じ日付の過去の公演について、出演歌手やエピソード、写真を交えて紹介。伝統ある劇場ならではの、素敵なプロジェクトだなと思いました。


次回は、5月20日。状況が少しでも良くなっていることを願っています。

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