見出し画像

トランプ・カントリーにて(4日目)

3日目のエントリーは、こちらにアップしました。

ノースダコタ州ファーゴのモーテル。チェックインを済ませ、外に出ると、口笛とともに「ママシータ」という声がする。声が聞こえたほうを見ると、灰皿の横に、サングラスをかけた白人男性二人が立っている。周りを見回すと、女性は私しかいない。車に乗り込んで、what the fuck is wrong with people とつい言葉が出た。男友達が「なにか言われたのか?」というので、起きたことを説明すると、「気のせいだよきっと。あっちの方向に女子たちがいたし」という。そうかもしれない、と思った。

前日、プールで、巨大な短銃2丁のタトゥーを胴体に彫った白人男性を見てゾゾっとした。彼に「あれに恐怖を感じる自分はパラノっているのだろうか?」と聞くと、「you are paranoid」と笑われた。田舎の若者がやりがちな、子供じみてバカげた自己表現だろ、と。ずっとニュースを見ていて、トランプが我が国の首相や韓国の文大統領のアクセントを真似したり、トランプ政権の高官が、自由の女神が刻印された詩の中で歓迎したのは、ヨーロッパ系の移民だとか言い出しているのを見ていたから、パラノっていたのだとしても不思議はない。

車から荷物を出して部屋に運ぶ間に、スペイン語を話す白人の家族とエレベーターで一緒になった。「ほら、気にしすぎだって。外国人いるしさ」と男友達が言う。「ニュースは、一番悪い人たちのことばかりやるけれど、大半の人たちは善良な人たちなんだよ。一人が差別的なことを言ったら、10人がそれを拒絶し、かばってくれる。アメリカはそこまで酷くなってはいない。レイシズムが正当化されている時代だからこそ、ビクビクしちゃいけないんだよ。君らしくないよ。自分自身らしくしてろよ」

彼の言う通りだ、とその時は思った。

ここから先は

2,061字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?