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[TeaTime #6]イギリスの生活ってどう?『仕事編:マイノリティ』

先日、ある知り合いの方のつぶやきを読んで、心が痛くなり、自分自身の経験がフラッシュバックした。

つぶやきを要約すると、

「職場は白人ばかりで長女さんは唯一のアジア人。上司に何かと辛く当たられ、先日あからさまな仲間はずれをされたが、同僚たちが心配してくれた。アメリカで生きていくには日常茶飯事」


この長女さんは、海外(スイスやオーストラリアや様々な国)で教育を受けられた才女。アメリカの大学と大学院を卒業されて、アメリカで働いていらっしゃるようだ。

このつぶやきを読んで、心の中でその長女さんにエールを送った。そして、もう忘れてしまっていたイギリスでの初期の頃の経験を思い出した。

私が初めて正規で働いた職場はある大学の図書館。学生は外国人やイギリス人で構成されている大学だが、大学行政事務職員はほぼ白人のイギリス人で構成されていた。そして私の部署は、私以外は全員白人のイギリス人(一人スウェーデン人)。私もその長女さんのように、職場唯一のアジア人だった。

私の場合は、たかだか2年程度しかイギリスでの生活経験がなく、日本で培った価値観で行動していたと思うので、私は彼らにとって「異星人」みたいな存在だっただろうと、今だからそう思う。これは社会文化が少々異なる国(アジア諸国やアラブ諸国など、日本ですら)からイギリスに来たばかりの人たちと話すと、かなり彼らの母国での価値観が見え隠れするのに気がつく。上手く説明できないが、母国の文化に引っ張られて英語でコミュニケーションをとっているイメージ。でもこれは仕方がないことだ。

そういうわけで、既に作り上げられた共通の社会文化の職場に、異文化の私が飛び込んでくると、そのメンバーたちは私をどう対応していいか、どんな話ができるのかなど戸惑うのはわかる。でも、ある意味外国人だからと特別視しない(全く日本のことを聞かなかった、興味を示さなかった)。

自身が外国に行ったり、以前はロンドンに住んでいて、外国人との友人が沢山いる同僚は、戸惑いもなく、自然に私と接してくれた。ロンドンは異文化都市なので、彼女はそれに慣れていたのだろう。田舎の小さな地方都市に住んでる大半のイギリス人たちは、わざわざ移民たちとかかわる必要がないので、自分たちの単一文化だけで生活するので十分だろう。これは、日本で日本人同士のグループだけで生活するので十分と同じであろう。よほど興味がない限り、日本に住んでいる外国人たちと交友しようと思わないのではなかろうか。

だから、大学自体は異文化組織なのだが、大学事務職員は意外と単一文化だったりする。私の直属の上司は50歳代の白人イギリス人女性。最初から不機嫌そうな表情で私を見て、そっけない冷たい言い方で仕事の説明をした。「私嫌われているな」とダイレクトにわかった。

「どうせ、日本に帰るんでしょうから、大学の年金は関係ないわよね」と言われたのは忘れられない。

そして、もう忘れてしまったが、何か些細なミスをした時、その上司から物凄い剣幕で皆の前で「ぎゃーXXX」となんと言われたかもう忘れたが、怒鳴られたのは鮮明に覚えている。それを聞いた他のイギリス人職員たちは、驚愕の表情で私たちを見ていた。その目はどちらかといえば私を心配しての目だったような気がした。心配してくれた長女さんの同僚のように。

その当時は「日本の職場」で怒鳴られるのはある意味暗黙の了解の雰囲気だったので、イギリスの職場で怒鳴られた時、悲しかったが、「負けるものか!」と奮起して頑張り続けた。

でも、約10年たった今、イギリスで部下を怒鳴る、ましてや皆の前で怒鳴るのは、「いじめ」や「パワハラ」と言われ人事部に訴えられてもおかしくない行為だとわかり、今の私なら、その直属の上司の上司に訴えるであろう。

国がどこであろうと、日本にだって、構成しているグループの主なメンバーとどこか少々異なる部分がある人に対して、グループメンバーはその人を「まず排除しようとする」のが人間の弱さの一つではなかろうか。

「人間は弱い生き物」という前提で「いじめ」や「差別」は存在する。だから、イギリスでは、「法律」で厳しく取り締まっているのだろう。大学では数年ごとに、「差別やいじめ」の研修が何回も義務付けられている。一度受ければよいのではなく、その何度も何度も研修を受けることで「いじめや差別」をさせないのだろう。

いじめをする上司は、いじめられた部下が最終的には人事部に訴え、正式に調査されることもある。でも、素晴らしい上司や同僚も沢山存在するのを忘れてはいけない。

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