見出し画像

92歳から教わった人生の楽しみ

私が仕事でお会いしたシニアの中で
現在進行形で人生を楽しんでいる最高齢は
92歳のカモちゃんだった。

カモちゃんの毎日は忙しい。
What's Appで海の向こうとおしゃべりし、
YouTube先生に手足のリハビリを教わり、
リビングにしつらえた祭壇で
マリア様にお祈りをする。


黒電話さえ各家庭にない時代に
育ったはずのカモちゃんが
iPhoneを軽快に使いこなしているのを見ると
年齢を言い訳に使うことの勿体無さを
改めて自分に言い聞かせたくなった。


人生を楽しむ、というのは
享楽的な楽しみのことばかりではない。

自分が心から大切にしたいと思うことを
ちゃんとやれている時、
人生を楽しんでいるなあと
そう思えるものだ。


カモちゃんの一人暮らしの部屋の中は
たぶん40歳の時も70歳の時も
こうして整えていたんだろうと
想像できるような
凛としたモノの配置だった。

カモちゃんが大切にしたいことが
ちゃんと大切にされている。

手縫いの布巾。
お盆に伏せてあるお茶碗と箸。

本棚の本と、机の上のペンケース。
ベッドカバーの端にチョンと靴下が重ねてある。


きっと歳を重ねて強化されたこともあり、
反対に歳を重ねたことで
できにくくなったこともあるのだろう。

足が弱ったり腕が上がらなかったり、
心臓に不安があったりはするけれど、

でも、それがやりたいことを諦める理由には
カモちゃんの場合、ならない。


カモちゃんには
毎日やりたいことがあるし、
毎日やるべきことも決めている。

これから読みたい本もあるし、
買いたいパソコンもある。

調べたいことを自分で調べて
どうしたいのかも自分が決める。
できる間はそうやり続けたいのだと
カモちゃんはニッコリ言う。

「人生はいつ終わるかわからないからこそ
今やるのよ。」

92年という長きに渡り
一日ずつ人生を積み上げてきたカモちゃん。
私など、まだまだひよっこだ。

カモちゃんは一日にして成らず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?