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フリーダの色彩感覚(フリーダ・カーロの日記#6)

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Photo by Miguel Á. Padriñán,Pixabay

日記の中で、フリーダ・カーロは様々な色に対して抱くイメージを記しています。その中で特に目を引くのは、メキシコ人であるがゆえの彼女の色彩感覚です。例えば非常にメキシコ的だなと思われるのは、赤紫を 「 ノパールサボテンの実が流す古い血 」 の色、茶色を 「モレ」 というメキシコの肉料理に登場するチョコレートソースの色をイメージしているところなど。

また、黄色は 「狂気」 を示し、マゼンダは 「血」 の色を連想しています。特にこれらふたつの色は、フリーダの精神の極限状態と本質を表現しているようです。

黄色について

さらなる狂気と神秘
幽霊はみんな
この色の服を着ている、
少なくとも下着は。

エドゥアルド・カサール氏は、日記解説でこう述べています。

上記の「幽霊」という言葉のように、フリーダは新たな視点で日々の様々な現実を見ている。誰が幽霊の下着について考えたことがあっただろうか。そこにフリーダ・カーロの知性の独創性がある。何が彼女を駆り立てるのだろう。フリーダは自身の素材を用いて色となり、あるいは言葉となる。

赤について

血?さあ、だれが知ろう!

フリーダが色の最後に選んだのは赤でした。そして、感情の高ぶりとともに赤を突き放します。赤は血の恐怖、痛みと死をもたらすもの。

痛みは、フリーダの生涯のテーマでした。バスの事故、3度にわたる流産、右脚の切断…。彼女が赤を強調するのは、乗り越えられないほどの痛みを視覚化するためかもしれません。視覚から甦る恐怖は、嗅覚、聴覚、触覚へと続き、感覚を高揚させ、最後にはいたたまれず、突き放すのです。血?さあ、だれが知ろう!と…。

削った鉛筆の果てしなく
尖った先端を
試してみよう。
緑―ぬくもりのある、心地よい光
赤紫― アステカ。ノパールサボテンの
古い血のトラパリ。
最も活気のある昔からの色。
(茶) モレの、散りゆく
葉の色
(黄) 狂気、病気、恐怖
太陽と喜びの一部
(青) 電気と純粋な愛。
(黒) 何もかも黒くない―本当に何もかも。
(薄緑)葉、悲しみ、科学、ドイツは
全体がこの色である。
(黄)さらなる狂気と神秘
幽霊はみんな
この色の服を着ている、
少なくとも下着は。
(深緑)悪い知らせと
良い取引の色。
(群青)距離。また
優しさはこの青から
出来ているのかもしれない。
(赤)血?さあ、だれが知ろう!

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