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用件がなくても定期的に

なぜ直接会って話そうとしないの
会って話す理由がないなんて
会って話さないでそんなのわかるわけないじゃない
#ジブリで学ぶ自治体財政

前回の「適切な分担と連携」でご紹介した私の体験談には続きがあります。

連携と分担をはき違えて連携相手の危機に気づけなかったという苦い経験をもとに,私は仕事のやり方を変えました。
それは,連携すべき相手方と「用件がなくても定期的に会う」ということです。

毎日,毎週,隔週,毎月,相手方との距離感に応じてその頻度は様々ですが,直接会うことを定例化し,話すべき用件がなくても職務として他のスケジュールに浸食されないよう時間を確保する。
特に重要なポイントは「話すべき用件がなくても会う」ということです。
我々は仕事で時間の使い方を考えるとき,重要性と緊急性の側面から優先順位を考えるため,さほど重要でなく,さほど急を要しないものは後回しにしがちで,結果として職場で定例開催が決まっているミーティングでも特に話すべき用件がない場合は開催されないことがままあります。
私はこれを「用件がないから会わない」「用件があるから会う」ではなく「会うことそのものが用件」だと考えたのです。

定期的に会えば,まず互いの心理的距離が縮まります。
心理的距離を普段から縮めておいて,いつでも何でも気軽に話せる場の安全性を確保しておくことは,情報共有,意思疎通を図るうえで大変重要な要素です。心理的距離があるとどうしても「用件があるとき」にしか連絡を取らなくなり,その場合も,その心理的距離が障壁となって「ある程度情報を整理してから持って行かないと失礼」とか「方針を固めてからでないとツッコまれる」とかろくでもないことを考えてしまい,その結果,もう動かないと間に合わないぞというタイミングでの報告・相談となって後手に回ることもしばしばあります。

特に話すべき用件がなければ互いの近況報告になりますが,そこでの話題提供,情報共有が互いの知っている,見えている情報,課題,成果の共有につながることは多く,それはわざわざそのことを協議報告する場を設けた場合には省かれるような些末なことも含まれています。
共有すべき重要な情報だけを形式的に共有するだけではなく,そういった何気ない対話の中で得られる空気のようなものまで共有しておくことが,連携に必要な相互理解,目標の共有,行動の一体化につながり,結果として連携による成果を得ることができる重要な要素となると私は思っています。
実際に,たったこれだけのことですが効果てきめんでした。
件の相手方とは私が異動してしまったこともあってその後のフォローはできていませんが,この事件があって以降私はことあるたびに仕事で連携する相手方とは用件がなくても定期的に会うようにし,その結果,たくさんの連携を実現し,成果を得てきたと自負しています。
これまで私と特に話すべき用件もないのに時間を割いて会っていただいた方々に改めて感謝申し上げます。

「定期的に」という部分も実は重要で,何かめんどくさいことをやるには日常の中に溶け込ませてルーティン化してしまうのが一番手っ取り早いというのが私の経験則です。
わかりやすいのは運動不足の解消のために体を動かそうというやつです。
皆さん,わかっていてもなかなか取り組めない,あるいは何か始めてもすぐに三日坊主になってしまうという経験,どなたもお持ちと思います。
そういう場合は,毎日やること,例えば通勤などのルーティンワークの中に取り込んでしまい,例えば一駅手前で降りて歩くとか,庁舎内の移動は階段を使うとか,自分でルールを決めてそれをやり続けること。
だいたいこういうのは始めること,途切れたものを再開することにエネルギーを要しますので,とにかく続けやすい環境を作って続けることが肝心です。

余談ですが,我が家では結婚以来ほぼ絶えることなく,朝私が出かけるときに妻が玄関先まで出てきて「いってらっしゃい」という慣行がルーティン化されています。
別にこの儀式を死ぬまで続けようと24年前に二人で決めてルール化しているわけではなく,ただ毎日やっていることが続いているだけなのですが,もしこういう慣行がいったん途切れて,それを再開するとなると相当な決意と継続のための意志の力が必要になるでしょう。
当たり前になってしまえばそれを続けることは何の苦もないので,継続そのものが継続のエネルギーになっているのだな,と改めて思います。

「用件がなくても定期的に会う」ことは,忙しいとき,余裕がないときにはついつい飛ばしがちですし,用件がないのに何を話そうかと頭を抱える方もおられることでしょう。
しかし,いざというときの連携を有効にするのは普段その素地を作っておけばこそ。
「会うことが用件」と考えその関係性構築に努めることも立派な仕事ですし,特に話題がないなかで近況報告,情報交換することも常に相手のことを知り,自分のことを知ってほしいと思う気持ちがなければならず,その心の持ちようもまた連携にとって必要不可欠な要素ととらえ,それができるようになることも仕事のうちだと考えて実践いただきたいと思います。

私が毎日のようにSNSで硬軟相混ぜていろんな投稿やコメントをしているのも,ある意味,この場で皆さんと「用件がなくても定期的に会う」ことになっているのだろうと思います。
自分として特に多くの人に知ってほしい情報でもなく,皆さんにとってもぜひ知っておくべき有益な情報でもないものを毎日のように垂れ流すことで,これだけ多くの人とつながり,交わることができ,そのおかげで,たくさんの方と心理的な距離を縮め,有益な情報を交換し,プライベートだけでなく仕事の上でもサポートいただいたり,一緒に連携して取り組んだりといったありがたい関係を構築してもらっています。
この関係性も,対話を構成する重要な二つの要素「開く」と「許す」が基本。
「開く」は,自分の持っている情報や内心を開示すること。
「許す」は,相手の立場,見解をありのままに受け入れること。
皆さんもぜひ,仕事で,プライベートで,お試しください。

今回はほとんど「自治体財政の話」になりませんでしたね(笑)

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