56.みんなが働きやすい社会をつくるには

以前、下記のような記事を書きました。

4年近く前の記事ですが。
この記事の中で、私は、当時の上司から

「あなたが働きやすい会社は、みんなが働きやすい会社だ」

と言われたことを書きました。

今回は、このことからちょっと広げて、書いていきたいと思います。

心理的安全性の大切さ

下記は、今年の5月に書いた記事ですけど。

この中で私は、前職について

「心理的安全性が低い環境」である

と、書きました。

「心理的安全性」という言葉については、私は、なんかGoogle社のことを書いた記事で最初に知ったように思います。
その後、この本に出会いました。

2020年に発売されたこの本。
私はこの本で、心理的安全性の大切さについて知りました。

そもそも、心理的安全性とは何ぞや、という話なのですが、

日本の組織では、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎の4つの因子があるとき、心理的安全性が感じられる

石井遼介 著 「心理的安全性のつくりかた」より

のだそうです。

逆に言うと、これらの因子のない状態というのが「心理的安全性が低い状態」という事ですね。

確かに、職場において「話しやすさ」がなければ、「こんなことをいったら怒られるかもしれない」とびくびくして、本来言わなくてはいけない重要なことも言えなくなってしまいますし、「助け合い」がなければ、トラブルが起きた際などにみんなで協力して解決していくという事が難しいでしょう。
さらに「挑戦」ができないと、新しいことを試して現状を変えていく、というようなことも難しくなりますし、「新奇歓迎」がされない環境というのは、いま、さかんに言われている「多様性」が、ない環境になってしまうと思います。

私が働きやすいと思う環境

話が変わって、私が働きやすいと思う環境はどんななのか、書いてみます。

障害者雇用では、だいたい書類選考の段階で「障害の状況や、必要な配慮事項」を可能な範囲で書いてくださいと言われます。
また、面接の場面でも、改めてその話は聞かれます。

私はこれまで勤めてきた2社においては、障害に対する配慮事項を

・指示は具体的にしてほしい
・業務マニュアルなど視覚化した資料が欲しい
・報告・連絡・相談をする相手を1人に定めてほしい

等というような内容で、記入して応募していましたし、面接でもそういう話をしてきました。

これは、それまでの一般雇用の場で経験した失敗談などをもとに、そのように書いていたのです。
私としては、上に書いたような配慮をしてもらえれば、失敗を減らすことができ、周囲から怒られたりしなくて済むと考えたからでした。

しかしながらですね。
それだけでは働きやすいと感じられないようなことが、いろいろあったのです。

詳細は控えますが、ざっくりいうと

・理不尽なことで怒られる
・勝手な決めつけをされる
・新たにうまくいかないことが出てきても、職場側の柔軟な対応が難しい

等がありました。
報告・連絡・相談をする相手を1人に定めるという配慮をおねがいしたことで、逆にそれが裏目に出るようなこともあったりしました。

そこで「本当に自分が働きやすい環境って何なのか?」とよくよく考えた結果

・理不尽な注意をされたり、感情的に叱責されることのない環境
・頭ごなしに否定したり、一方的な決めつけをされることのない環境
・障害のあるなしにかかわらず、人として尊重される環境
・何かあった場合に柔軟な対応が可能な環境

こういったものが私には必要なんだとわかりました。

どこの職場でもあることだけど

これを読んだ方の中には
「理不尽な注意をされる」「感情的に叱責される」などというのは、多かれ少なかれ「どこの職場でもあること」と思われる方もいるかもしれません。
「そんなことをいちいち気にしてたらこの社会でやっていけないよ」と思われる方もいるかもしれません。

ただ、私は思うのです。
「どこの職場でもあること」「そんなことをいちいち気にしてたらこの社会でやっていけない」からといって、黙って耐えていればいいのか?
・・・そんなことはないはずだ、と。

そういったことに対して、一つ一つ声をあげていかないと、結局は何も変わらないままなのです。

だから私は声をあげてきました。
でも結局、変えることは難しかったので、退職してきたという感じです。

心理的安全性につながる

私の望む「働きやすい環境」というのは、「心理的安全性」につながるものだと思っています。

例えば。

業務上でなにか問題が発生して相談した場合に、「あなたが〇〇したからだ」と一方的に決めつけて個人のミスを責めたり、感情的に叱責されたりすることのない環境であれば「話しやすさ」がありますし、みんなで協力し合って問題解決することのできる環境であれば「助け合い」もあります。
そういう環境の中であれば、新しいことを任されても失敗を恐れずに「挑戦」することができますね。

あとは何か業務の改善案を提案したようなときに、そのアイデアが周囲から見て突飛なものであっても頭ごなしに否定したりせず、まずは聞いてくれるような環境であれば、やはり「話しやすさ」がありますし、「新奇歓迎」もされていると感じます。

また、障害特性ゆえか、私は周囲の人から見て「!?」と思う行動をとりがち(らしい)のですけど、私としては「理由がある」ことが多いので、そういう場面でも、発達障害のない人の物差しで判断して一方的に決めつけて注意したり叱責したりせずに、まずは「なぜそういう行動に出たのか」などと理由を聞いてもらえれば、「人として尊重されている」と感じられ、「話しやすさ」「新奇歓迎」があると思えます。

そして、一般企業だと雇用や業務の管理の点から、本人の特性や得意不得意を無視して障害者を「管理部門」に集中的に在籍させる会社もあるみたいなのですけれど、「どうしてもうまくいかない」場合に、別の部門への異動も含めて考えられるような柔軟な対応ができる会社であれば、それもやはり「新奇歓迎」につながる気がするんですけどどうなんでしょうか。
(例:座り仕事よりは動き回る仕事のほうが向いている人を、管理部門において無理やり座り仕事をさせるのではなく、本人や周囲の同意のもと、外回りなどもある部署に異動させる、など。適材適所、ですね)

こうやってひとつひとつ考えていくと、やはり私の働きやすい環境というは、心理的安全性の高い環境なんじゃないかと、おもうのです。

「みんなが働きやすい会社」から「みんなが働きやすい社会」へ

この「心理的安全性の高い環境」は、なにも発達障害者にとってだけ働きやすい環境、というわけではなく、みんなが働きやすい環境、だと思うわけです。
さらに「心理的安全性の高い環境」では、安心して発言できたり、新しいことに挑戦できたりするので、新たなアイデアも出やすく、業務改善、効率化につながったり、世の中を良い方に変えていくような仕事ができたり、会社の収益アップにもつながったりします。
そうやって、会社としても高い成果を出すことができ、世の中が良い方に変わっていったら、みんなが働きやすい社会というのが出来上がってくると思うのです。

そう考えたら

私の働きやすい会社はみんなが働きやすい会社だし、それが世の中に広まったらみんなが働きやすい社会ができる

と言えると思うのですが、どうでしょうか。

で、みんなが働きやすい社会にするためには、

心理的安全性の高い環境をどんどんつくっていくこと

結局これだと私は思っているのです。


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